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第二幕 あやかし兎の京都裏町、舞妓編 ~祇園に咲く真紅の紫陽花
11.アヤカシ刑事部・捜査第七課(2)
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抗議を申し立てて、映像を切り替えさせました。切目さんは「そやった。こっちにも女性がおった」と百々目鬼なのに盲目になっていたようです。
切目さんが改めてキーボードを操作すると、左上にある画面の一つが緑色に点滅して拡大されました。どうやら一週間くらい前の祇園東の路地裏のようです。路地裏の置屋の前にいる舞妓さんは――
音兎ちゃんでした。
鈴屋のお母さんと、鈴華さんと鈴夜さんに微笑ましく囲まれて、狭いながらも路地の出入りをギャラリーが固めています。音兎ちゃんは平静を装いながらも頬を赤らめて、今にも感涙しそうになっていましたが、唐突に、頭部にピョコンと兎の耳が二つ現れました。
同時に、周りの人達は驚いて、爆竹を巻かれたかのように飛び跳ねています。人の輪が広がって、その真ん中にはウネウネと動く縄のようなものが。
もしかして、蛇、かな?
「完全に耳が出てるな」
ハルがそう言うと、切目さんが溜息と一緒に席を立ちました。
「これでも誤魔化せへんレベルでは、ないんやけどな」
棚からグラスとウイスキーを取り出しています。
「それでも写真を撮られているだろ」
「周りは常連ばかりや。それぞれ顔を認証して追跡したけど、いつも祇園東の界隈に映っとる連中やから、多少の事情は知っとるやろ。舞妓の世界にアヤカシが入るんは、別に初めてのことちゃうしな」
ですよね、高千穂の事例がありますし。
「どうして、そんなに騒ぎになったんでしょうか?」
私が聞きました。
「騒ぎ立てる奴がおったからですよ。多少の煙がくすぶってても、そのまま鎮火してしまえば事なきを得る。なのに、さらに点火しよった奴がおる」
「つまりは、この中に、犯人がいる!」
名探偵的な台詞です。いつかは言ってみたかったけれど、平穏な生活では絶対に使う機会のない台詞だからこそ、好機を逃すわけにはいきません。
「犯人は、この人ね!」
ついでに推理してやりました。
「凄く音兎ちゃんと距離が近い! 馴れ馴れしい! だから怪しい!」
「それは男衆だろ。挨拶回りの付き添いだ」
ハルにツッコまれました。そうか、聞いたことあった。だからこの人も和服なのか。
「じゃあ誰が犯人? もしかして、最初に騒いだ人とか?」
「単純やけど、疑いはたくはなりますよね。ここから少し、時間を進めましょう」
切目さんが、映像を断片的に早送りしていきます。道の真ん中に現れた蛇に皆が驚いて、男衆さんが玄関に寄りかけてあったホウキで蛇を追い払い、ここで音兎ちゃんの兎の耳に皆が気付いて、ざわついて、音兎ちゃんが頭の耳に手を当てて、でも見なかった振りをしようと気を遣っている雰囲気が漂う中で――
一人、思いっきり指を差して驚いている、茶髪の若い男性がいました。どうして騒いでくれちゃってるのよ、という不満はあるものの、もし一般人なのだとしたら、これは当然の反応。
「おそらく、コイツがネットにアップしよったな」
「そういう暴露って、今までなかったんですか?」
「あるには、ありますよ。昔は情報誌にネッシーの写真が載っていたのと似たようなもんで、アヤカシや幽霊を信じる人と、信じない人に分かれるだけでした。それがネットが普及して情報がリアルタイムに発信されるようになったのは厄介ですが、『ホンマに頭に兎の耳が生えとるわけないやろ』の方が常識的な見解なので、コスプレイベントとして盛り上げただけやと、騒ぎが鎮静したらいつも通りにアヤカシを知っとる人は知っとる、で終わってたと思いますよ」
「市議会が苦情を言ったんですよね、音兎ちゃんに舞妓を辞めるようにって。じゃあ伝統的な行事でコスプレは非常識だって、そっち方面でお怒りだったのかな?」
「そのことなんですけど、ホンマに市議会が怒っているのかも含めて、情報の認識に齟齬があると思ってます。市議会も、祇園東の後援会も、むしろ彼女を守ろうとしているんやないかと。七課としても情報を明確に整理しようと事情を聴取しましたが、市議会でも意見が割れとるみたいなんですわ。詳しいことは、また追って連絡してきよるらしく、少なくとも今のところはアヤカシ課が出張るような事案やないと。それでも未然に騒ぎを防ぐのも仕事なんで、こうして継続してるんです」
切目さんは騒いだ下手人に特化した映像を、いくつかピックアップして、最終的に二つの静止画を横並びにしました。音兎ちゃんが置屋から出てくる前と、指を差して騒いだ直後の映像です。私は二つをじっと見比べましたが、まるで間違い探しのようで、特に異変はないような。男性は置屋に視線を注いでいますから、ずっと背を向けていますし、せめて表情でも見えればいいのですが、背中だけでは。
「腰の辺りを見てください」
「……あっ!」
やっと分かりました。男性は紺色のジーンズに茶色のベルトをしていたのに、音兎ちゃんに指を差している瞬間に、ベルトだけがスッと消えています。こんな短時間でイリュージョン脱衣したはずもなく、これは大変にオカシイ。
「ベルトを蛇に化かしたのか」
ハルが言いました。
「何のアヤカシだ? 映像じゃ気までは感じられん」
「こっから追跡せな分からんが、まあ、キツネかタヌキちゃうか」
ドキッとしました。
「私、化けることなんて、できません!」
「分かっとりますよ、薫さんのはずがない。妙やと思いませんか? 舞妓にアヤカシがおるって叫んでる奴が、アヤカシだなんて」
「た、確かに……つまり、やっぱり裏があると」
「こっから先は、まだ分かってないんで、今から追跡するんです。こんなヘタクソ、直ぐに尻尾と馬脚を露わすはずなんで。ちょっと、気合を注入します」
切目さんは、カッとウイスキーグラスを斜めにして一気に飲み干すと、両腕の袖をまくりました。腕に沢山の目が出現し、全ての目が見開いて腕から宙へと離れます。
部屋中に、沢山の目が飛び回りました。
両手をポキポキと鳴らしながら切目さんはスクリーン前の椅子にドカッと座り、もの凄い速さでキーボードを叩いて最後にパネルのボタンを押すと、部屋の天井、左右の壁、床に至るまでがスクリーン映像に変わって、もう数え切れないくらいの動画が映されまして。
「さあ、ここからが真骨頂」
無数の映像を、無数の目で追跡するようです。
パッパッと切り替わる京都中の動画から、例のアヤカシ男性を探して、その映像だけを固定していきます。アヤカシ男性は路地を抜けた後に、富永町通から花見小路通へ、四条通から四条大橋を渡って、さらに寺町通を北上しました。
その間、男性は何度も姿を変えています。角を曲がって、ふっと消えた後に、老人になったり、若い女性になったり、服装も変えているのです。やましいことをしたと、自覚がなければこんなことはしないでしょう。
「どうして同一人物だと分かるの?」
切目さんの邪魔をしないように、ハルにこっそり聞きました。
「胸のポケットの葉っぱだ。柏餅の葉だが、裏町の比叡山から拾ったやつだな。変身向きで、おそらくタヌキだろう、あれを使うのは」
スクリーンに視線を戻すと、例のタヌキさんは女性の姿で着物レンタル屋さんに隣接している銭湯の暖簾をくぐりました。そこでいったんは追跡が止まりましたが、パッと画面が映ると、女性の脱衣所に姿を現して、ガタガタと画面が小刻みに揺れています。
どうやらカメラを設置しているらしく。
「コイツが犯人か」
全員の溜息が重なりました。
銭湯の盗撮犯も、このタヌキでした。
「でも、最初から女性だった可能性はない? むしろ男性に化けていたとか」
私の問いに、ハルが首を振って否定します。
「籠に入れた女性用の下着が、途中からトランクスに変わっている。風呂に入っている間に衣服だけが戻った。本来はトランクスだったのを女性下着に変化させていたから、つまりは男だ」
「なるほど、もはや変態ね」
「コイツは責任もってこちらで捕まえますよ。別件ですが、しょっぴく理由が見つかった」
銭湯から厚顔無恥の火照り顔で、いけしゃあしゃあと出てきたタヌキは、若い男性の姿に戻り、タクシーを拾って京都駅の南口で降りました。ホテルのロビーに入り、ラウンジに行って、しばらく待っていたら別の男性が正面に座ります。
「本来の事案でも、現場を抑えた。もう十分か」
切目さんは再び両腕を伸ばし、部屋中に散った目を腕に回収しています。両腕に引っ付いた目が閉じて、すっと腕の中へ消えると、
「ぐああぁぁあ! 頭が!」
両手で顔の両目を抑えて、悶絶しながら蹲りました。
「あれをくれ!」
「そら、ここにある」
ハルが黒い丸薬とコップに入った水を差し出します。切目さんはパッと手に取って、ゴックンして、はあっと息を吐きました。
「良い薬だ。スッキリする」
他人が聞いたら、危ない発言です。
「何の薬を渡したの?」
「即効性の頭痛薬だ。キリはな、この力を使うと強烈な眼精疲労になるんだ」
「そっか……あれだけ目を酷使したら、そうなるか」
便利の代償は、しっかりと受けるようです。
「酷使した成果はあった。裏で糸を引いているのは、コイツや」
最後の画像が正面スクリーンに拡大されました。ラウンジの正面に座った男性は、小太りで、背が低く、茶色のスーツを着ています。さらに顔だけがアップになると、白髪混じりの髪を七三のオールバックに、でっぷりとした頬は肉付きが良く、艶やかに光っています。
同時に、私の記憶に爪が引っ掛かりました。
「この人……テレビで見たような。もしかして、あの政治家の?」
「五臓六腑やな。現職の衆議院議員で、平安平穏党の幹部。これは大物が引っ掛かった」
五臓六腑は、本名らしいのです。
改めて、凄い名前。
切目さんが改めてキーボードを操作すると、左上にある画面の一つが緑色に点滅して拡大されました。どうやら一週間くらい前の祇園東の路地裏のようです。路地裏の置屋の前にいる舞妓さんは――
音兎ちゃんでした。
鈴屋のお母さんと、鈴華さんと鈴夜さんに微笑ましく囲まれて、狭いながらも路地の出入りをギャラリーが固めています。音兎ちゃんは平静を装いながらも頬を赤らめて、今にも感涙しそうになっていましたが、唐突に、頭部にピョコンと兎の耳が二つ現れました。
同時に、周りの人達は驚いて、爆竹を巻かれたかのように飛び跳ねています。人の輪が広がって、その真ん中にはウネウネと動く縄のようなものが。
もしかして、蛇、かな?
「完全に耳が出てるな」
ハルがそう言うと、切目さんが溜息と一緒に席を立ちました。
「これでも誤魔化せへんレベルでは、ないんやけどな」
棚からグラスとウイスキーを取り出しています。
「それでも写真を撮られているだろ」
「周りは常連ばかりや。それぞれ顔を認証して追跡したけど、いつも祇園東の界隈に映っとる連中やから、多少の事情は知っとるやろ。舞妓の世界にアヤカシが入るんは、別に初めてのことちゃうしな」
ですよね、高千穂の事例がありますし。
「どうして、そんなに騒ぎになったんでしょうか?」
私が聞きました。
「騒ぎ立てる奴がおったからですよ。多少の煙がくすぶってても、そのまま鎮火してしまえば事なきを得る。なのに、さらに点火しよった奴がおる」
「つまりは、この中に、犯人がいる!」
名探偵的な台詞です。いつかは言ってみたかったけれど、平穏な生活では絶対に使う機会のない台詞だからこそ、好機を逃すわけにはいきません。
「犯人は、この人ね!」
ついでに推理してやりました。
「凄く音兎ちゃんと距離が近い! 馴れ馴れしい! だから怪しい!」
「それは男衆だろ。挨拶回りの付き添いだ」
ハルにツッコまれました。そうか、聞いたことあった。だからこの人も和服なのか。
「じゃあ誰が犯人? もしかして、最初に騒いだ人とか?」
「単純やけど、疑いはたくはなりますよね。ここから少し、時間を進めましょう」
切目さんが、映像を断片的に早送りしていきます。道の真ん中に現れた蛇に皆が驚いて、男衆さんが玄関に寄りかけてあったホウキで蛇を追い払い、ここで音兎ちゃんの兎の耳に皆が気付いて、ざわついて、音兎ちゃんが頭の耳に手を当てて、でも見なかった振りをしようと気を遣っている雰囲気が漂う中で――
一人、思いっきり指を差して驚いている、茶髪の若い男性がいました。どうして騒いでくれちゃってるのよ、という不満はあるものの、もし一般人なのだとしたら、これは当然の反応。
「おそらく、コイツがネットにアップしよったな」
「そういう暴露って、今までなかったんですか?」
「あるには、ありますよ。昔は情報誌にネッシーの写真が載っていたのと似たようなもんで、アヤカシや幽霊を信じる人と、信じない人に分かれるだけでした。それがネットが普及して情報がリアルタイムに発信されるようになったのは厄介ですが、『ホンマに頭に兎の耳が生えとるわけないやろ』の方が常識的な見解なので、コスプレイベントとして盛り上げただけやと、騒ぎが鎮静したらいつも通りにアヤカシを知っとる人は知っとる、で終わってたと思いますよ」
「市議会が苦情を言ったんですよね、音兎ちゃんに舞妓を辞めるようにって。じゃあ伝統的な行事でコスプレは非常識だって、そっち方面でお怒りだったのかな?」
「そのことなんですけど、ホンマに市議会が怒っているのかも含めて、情報の認識に齟齬があると思ってます。市議会も、祇園東の後援会も、むしろ彼女を守ろうとしているんやないかと。七課としても情報を明確に整理しようと事情を聴取しましたが、市議会でも意見が割れとるみたいなんですわ。詳しいことは、また追って連絡してきよるらしく、少なくとも今のところはアヤカシ課が出張るような事案やないと。それでも未然に騒ぎを防ぐのも仕事なんで、こうして継続してるんです」
切目さんは騒いだ下手人に特化した映像を、いくつかピックアップして、最終的に二つの静止画を横並びにしました。音兎ちゃんが置屋から出てくる前と、指を差して騒いだ直後の映像です。私は二つをじっと見比べましたが、まるで間違い探しのようで、特に異変はないような。男性は置屋に視線を注いでいますから、ずっと背を向けていますし、せめて表情でも見えればいいのですが、背中だけでは。
「腰の辺りを見てください」
「……あっ!」
やっと分かりました。男性は紺色のジーンズに茶色のベルトをしていたのに、音兎ちゃんに指を差している瞬間に、ベルトだけがスッと消えています。こんな短時間でイリュージョン脱衣したはずもなく、これは大変にオカシイ。
「ベルトを蛇に化かしたのか」
ハルが言いました。
「何のアヤカシだ? 映像じゃ気までは感じられん」
「こっから追跡せな分からんが、まあ、キツネかタヌキちゃうか」
ドキッとしました。
「私、化けることなんて、できません!」
「分かっとりますよ、薫さんのはずがない。妙やと思いませんか? 舞妓にアヤカシがおるって叫んでる奴が、アヤカシだなんて」
「た、確かに……つまり、やっぱり裏があると」
「こっから先は、まだ分かってないんで、今から追跡するんです。こんなヘタクソ、直ぐに尻尾と馬脚を露わすはずなんで。ちょっと、気合を注入します」
切目さんは、カッとウイスキーグラスを斜めにして一気に飲み干すと、両腕の袖をまくりました。腕に沢山の目が出現し、全ての目が見開いて腕から宙へと離れます。
部屋中に、沢山の目が飛び回りました。
両手をポキポキと鳴らしながら切目さんはスクリーン前の椅子にドカッと座り、もの凄い速さでキーボードを叩いて最後にパネルのボタンを押すと、部屋の天井、左右の壁、床に至るまでがスクリーン映像に変わって、もう数え切れないくらいの動画が映されまして。
「さあ、ここからが真骨頂」
無数の映像を、無数の目で追跡するようです。
パッパッと切り替わる京都中の動画から、例のアヤカシ男性を探して、その映像だけを固定していきます。アヤカシ男性は路地を抜けた後に、富永町通から花見小路通へ、四条通から四条大橋を渡って、さらに寺町通を北上しました。
その間、男性は何度も姿を変えています。角を曲がって、ふっと消えた後に、老人になったり、若い女性になったり、服装も変えているのです。やましいことをしたと、自覚がなければこんなことはしないでしょう。
「どうして同一人物だと分かるの?」
切目さんの邪魔をしないように、ハルにこっそり聞きました。
「胸のポケットの葉っぱだ。柏餅の葉だが、裏町の比叡山から拾ったやつだな。変身向きで、おそらくタヌキだろう、あれを使うのは」
スクリーンに視線を戻すと、例のタヌキさんは女性の姿で着物レンタル屋さんに隣接している銭湯の暖簾をくぐりました。そこでいったんは追跡が止まりましたが、パッと画面が映ると、女性の脱衣所に姿を現して、ガタガタと画面が小刻みに揺れています。
どうやらカメラを設置しているらしく。
「コイツが犯人か」
全員の溜息が重なりました。
銭湯の盗撮犯も、このタヌキでした。
「でも、最初から女性だった可能性はない? むしろ男性に化けていたとか」
私の問いに、ハルが首を振って否定します。
「籠に入れた女性用の下着が、途中からトランクスに変わっている。風呂に入っている間に衣服だけが戻った。本来はトランクスだったのを女性下着に変化させていたから、つまりは男だ」
「なるほど、もはや変態ね」
「コイツは責任もってこちらで捕まえますよ。別件ですが、しょっぴく理由が見つかった」
銭湯から厚顔無恥の火照り顔で、いけしゃあしゃあと出てきたタヌキは、若い男性の姿に戻り、タクシーを拾って京都駅の南口で降りました。ホテルのロビーに入り、ラウンジに行って、しばらく待っていたら別の男性が正面に座ります。
「本来の事案でも、現場を抑えた。もう十分か」
切目さんは再び両腕を伸ばし、部屋中に散った目を腕に回収しています。両腕に引っ付いた目が閉じて、すっと腕の中へ消えると、
「ぐああぁぁあ! 頭が!」
両手で顔の両目を抑えて、悶絶しながら蹲りました。
「あれをくれ!」
「そら、ここにある」
ハルが黒い丸薬とコップに入った水を差し出します。切目さんはパッと手に取って、ゴックンして、はあっと息を吐きました。
「良い薬だ。スッキリする」
他人が聞いたら、危ない発言です。
「何の薬を渡したの?」
「即効性の頭痛薬だ。キリはな、この力を使うと強烈な眼精疲労になるんだ」
「そっか……あれだけ目を酷使したら、そうなるか」
便利の代償は、しっかりと受けるようです。
「酷使した成果はあった。裏で糸を引いているのは、コイツや」
最後の画像が正面スクリーンに拡大されました。ラウンジの正面に座った男性は、小太りで、背が低く、茶色のスーツを着ています。さらに顔だけがアップになると、白髪混じりの髪を七三のオールバックに、でっぷりとした頬は肉付きが良く、艶やかに光っています。
同時に、私の記憶に爪が引っ掛かりました。
「この人……テレビで見たような。もしかして、あの政治家の?」
「五臓六腑やな。現職の衆議院議員で、平安平穏党の幹部。これは大物が引っ掛かった」
五臓六腑は、本名らしいのです。
改めて、凄い名前。
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