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最終話 ミアの結婚と魔法使い伯爵との婚礼

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それからひと月が経った。
スフェーンは私によく懐き町に出ると出会う人々は優しくユニークだ。
そのおかげで私はノアの領地の人々とずいぶん仲良くなった。
「ルナお嬢様、結婚式は教会に行くからね」
と街の子ども達に言われもうすぐ私も式を挙げるのねと思うと緊張と楽しみで夢を見ているみたいだった。

しかし噂ではエヴァンズ家のその後はなかなか大変になっているという事をノアの領地の情報通の魔法使いから聞いた。

あれからミアとセオ様の結婚式はセオ様の領地にある教会で盛大に行われたが散々な結果に終わったらしい。
ドレスを着たミアの姿は人々には『ドレスに石ころを付けた花嫁』に見えたらしい。

不思議な事に家族もセオ様達もミアのドレス姿は美しく見えていたのだろうが、どうも周りの反応がおかしい。

式の最中、声を出して注意する者はいなかったが式ぐ終わった途端に皆口々にミアのドレスがあんまりだと噂をしたらしい。

それがお義母様の耳に入り彼女達は激怒したらしい。

彼女達はドレスショップの店長に問いただしたところノアの事を正直に答えると怒りを更にあらわにしドレス代を返すよう店長に詰め寄った。

そのタイミングを見計らったようにノアが現れたので怒りの矛先は彼に向かったが相手が悪かったようだ。

ミアは
「アンタに騙されて酷い目にあったのよ、この悪魔!」
「そうだ!ミアは深く傷付いているんだぞ!」
とセオ様と一緒に
ノアをなじったが彼は屈しない。
「最初に言いましたよ。石には身につけた人の本質を映すとつまり石にはなんの罪はない。まあ、あると言えば僕の悪意はあったかな」
と述べる彼にミアは
「なんの事?」
とたじろいだ。
「分かっているだろう。君は見た目とは裏腹に醜いって事さ。君は一度でもそこの夫にお茶や手料理を振る舞ったかと聞いている。
まあ、自分の身の回りの事をメイド達にやらされている君にそんな真似はできないと思うけど・・・。
いやあ、全く僕の妻と正反対みたいだ」
そこまで言われミアは逆上し店主が出してくれたお茶をノアにかけた。

しかし彼にとってそれは小物の悪戯するのと同様だったらしい。

目の前でかかりそうになる熱湯を凍らせると彼の魔法にミア達は
「ひっ・・・」
と驚いた。

「貴様、何者だ?」
と言うセオ様にミアは思い出したのか
「アンタ、お姉様が嫁いで行ったとこの魔法使いね?やっぱり夫婦揃って卑しいわ!
セオ様なんとかして!」
とノアに対抗すべく必死だ。

セオ様は腰に刺した剣を抜こうとするが一向にそれは鞘から抜けない。

「何をした?」
というセオ様の問いにノアは
「剣で対抗するなんて愚かだ。君の手にも魔法をかけた。武器を手に取れない魔法だ。
つまりこの先、武力には対抗できないという事だ。
せいぜい他の領地にオズボーン家の領地を取られる事がなくなるよう恨みは買わない方がいい」
と言われ2人は
「そんな・・・」
と狼狽えるのだった。


町の魔法使いからこの話を聞いた時には驚いた。
ノアにこの事を聞いてみると
「スフェーンから聞いて君を助けたかったんだ」
と言われ彼がエヴァンズ家から救い出してくれて本当に良かったと思った。

しばらくして今度は私のウェディングドレスが完成した。
純白なドレスには白い薔薇の花びらがついており広がる裾は本物の花みたいに美しい。
ノアの傑作だ。


「ルナ、凄く似合ってる」
そう笑う彼に礼を言い
「石は付けられてないかしら?」
とイタズラっぽく聞いてみる。


「自分の花嫁にそんな事しないよ」
彼は笑うと私の手の甲にキスをした。

「ルナ様、花束ちょうだい!」
式に参列した女の子達に囲まれながら私はブーケを後ろに投げた。

青い空に舞うブーケはまるで羽みたいに綺麗に舞ったのだった。













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