鳥籠令嬢は伯爵魔法使いに溺愛される

麻麻(あさあさ)

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7話 捨てられ令嬢と薔薇屋敷

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魔法使いに嫁ぐのはそれから1週間もかからなかった。

久しぶりにメイドのワンピース以外のドレスを来たが結婚式に相応しいとわ言えない渋い色をしたドレスとお母様の形見の本や小物、少しの着替えだけを荷造りして久しぶり馬車に乗った。

行き先はいくつか領地またいで遥か北の森と聞いた。
長旅になる。

日をまたいで森に辿り着いて窓から外を覗くとうちの領地とは違う木々があり、本当に別の場所に来たんだなと感じた。

すると突然馬車が止まりに呼ばれて外に出る。

すると目の前にはとてつもなく大きな幹の木があった。

御者は
「ここにしばらくすると魔法使いが迎えに来ると言われております」

では、我々はこれでと言われて困惑した。

「あの、それはいつですか?」
(こんな所で待たせるなんて)
あんまりだ!

しかし、御者も
「さあ、私達もそれ以上は聞かされておりません」
と言われ馬車は来た道を戻ってしまった。

「どうしよう」
どうしてこうなったの?
そう、ミアが魔法使いの話をしたから?
魔法使いが婚約者を探していたから?

きっとどれもが私を家から消してしまいたい口実だ!

分かっていたのに、言い返せなかった。

森の上の空を見るとだんだん暗くなっていくのが分かった。

気のせいか遠くから野犬と思われる声もする。
(嫌だ。狼じゃないわよね?)

恐怖でかがんでいると後ろから何か迫ってくる気配を感じた。

ザッ!

と音がしたかと思うと恐怖で私は目を閉じた。

風だ。
あたたかい風に包まれたかと思うと今さっきまで森にいたのに目の前には見事な薔薇に囲まれている豪華なお屋敷が現れた。

なんだか周りは少し霧がかっていてそれはとても幻想的だ。

もう一つ不思議な光景が目の前にあった。
カラスだ。
真っ黒な姿に濡れたような丸い目をしたカラスが毛づくろいをして石畳みのポーチにいた。
「可愛い」
いつもは鳥を見て何度も思わないのについ丸い目を見て呟くとカラスは口を開いた。
「コッチ。コッチ」
と私を見ながら喋るので驚いた。
「きゃ!」

(嘘、カラスが喋った!?
もしかしてここは魔法使いの領地なの?)
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