11 / 15
11話 先生と12月
しおりを挟む
「すみません。先生、こんな事この時期に言う事じゃないんですけど」
前回から2週間しか経っていなかった。
「俺の事情でこの仕事辞めないといけなくて」
そう切り出された時は驚いてカップが手から落としそうになった。
(落ち着かなきゃ。こんな時こそ)
「何かあったの?」
「仕事の更新の打診があって。その、就活この仕事続けていくのが難しくなって。行きたい業界が土日はどっちか出なきゃいけない業界だから」
そこまで言われ彼を止める事は出来なかった。
今の彼の勤務状態は私は土曜の日中をお願いしているが別の曜日はたまに夕方から夜までのシフトで週に数日入っているのだ。
学業とバイトと就活はどれも全部は両立できない。
「新しい勤務先は決まってるんだよね」
「はい」
申し訳なさそうに彼は頭を下げる。
ならば誰も彼を止める理由はない。
「話してくれてありがとう。でも、もう少し早めに言って欲しかったなあ」
残念なのは事実だ。
「すみません」
榊原くんは謝ってばかりでこんな事は普段の私と彼が逆転したみたいだ。
「今のはイジワルだったよね。でも土日出勤って事はサービス系かな?」
予想し彼にピッタリだなと憶測してしまう。
「何で分かったんですか?」
「作家ですから。想像力だよ」
と冗談まじりに言うけど彼はいたって真面目に感動している。
「榊原くんならどこだってやっていけるよ。
だって私毎回快適だったし」
「それはどうも」
と彼は調子が戻ったので少し呆れた表情になった。
彼は不思議だ。
会った最初は大人っぽかったのに、よく話すと年相応に見えるが呆れてるけど優しい表情も見ていて飽きない。
仕事じゃなくてもデートをすればたまには会える。
そう思って急ではあるが彼は月末に退職した。
しかし、予想以上に彼は忙しいのかなかなか電話に出ることができないらしい。
連絡先は勤務の関係上前に交換していたが付き合う前は水族館のみくらい。
付き合ってからたまに電話したりメッセージを送りあったりしていた。
しかし、家事代行の勤務最終日を過ぎたあたりから連絡の頻度が、さらに減ってしまった。
ここ数日送ったメッセージに既読はつくがスタンプではぐらかされてるように感じる。
(まだ、大丈夫だ)
部屋でスマホを見て大丈夫じゃないけど自分に言い聞かせる。
ふと何が大丈夫なんだろうとモヤモヤした感情が広がる。
(明日はちゃんとした返事が貰えるはずだ)
数日前に『来週どこかで会えないかな?』
と彼にメッセージで質問していたのだ。
来週、26日は新人賞だ。
彼が接客をしている限りクリスマスに会える事は期待しない方がいい。
でも待ってもはぐらかされてるばかりで何だか辛くなって来た。
(もしかして私、重たいって思われているのかな?)
胸の中のモヤは急速に黒く色付いて充満する。
その時、今になって元カレに言われた言葉がフラッシュバックした。
『ごめん、他に好きな子ができた。別れよう』
「ーッ!」
トラウマに耐えきれずしばらく寒気が覚めなかった。
デスクの普段使わない引き出しを開ける。
その中にまた箱がある。前の部屋から回収した榊原くんにしてもらった時の道具を取り出す。
自分で使うのは初めてだ。
思い切って秘部に当ててみる。
しかしスイッチを入れる気持ちになれない。
それは彼にしてほしい事だ。
グスッとこぼした涙を拭く。
涙は一向に収まらないでいる。
そうして24日になった。
彼からは一言メリークリスマスのスタンプだけが送られていた。
嬉しいはずが逆に虚しくなってしまう。
迷いに迷ったあげくスタンプを返すのに何時間もかかってしまった。
そうして25日も何もなく過ぎて行った。
前回から2週間しか経っていなかった。
「俺の事情でこの仕事辞めないといけなくて」
そう切り出された時は驚いてカップが手から落としそうになった。
(落ち着かなきゃ。こんな時こそ)
「何かあったの?」
「仕事の更新の打診があって。その、就活この仕事続けていくのが難しくなって。行きたい業界が土日はどっちか出なきゃいけない業界だから」
そこまで言われ彼を止める事は出来なかった。
今の彼の勤務状態は私は土曜の日中をお願いしているが別の曜日はたまに夕方から夜までのシフトで週に数日入っているのだ。
学業とバイトと就活はどれも全部は両立できない。
「新しい勤務先は決まってるんだよね」
「はい」
申し訳なさそうに彼は頭を下げる。
ならば誰も彼を止める理由はない。
「話してくれてありがとう。でも、もう少し早めに言って欲しかったなあ」
残念なのは事実だ。
「すみません」
榊原くんは謝ってばかりでこんな事は普段の私と彼が逆転したみたいだ。
「今のはイジワルだったよね。でも土日出勤って事はサービス系かな?」
予想し彼にピッタリだなと憶測してしまう。
「何で分かったんですか?」
「作家ですから。想像力だよ」
と冗談まじりに言うけど彼はいたって真面目に感動している。
「榊原くんならどこだってやっていけるよ。
だって私毎回快適だったし」
「それはどうも」
と彼は調子が戻ったので少し呆れた表情になった。
彼は不思議だ。
会った最初は大人っぽかったのに、よく話すと年相応に見えるが呆れてるけど優しい表情も見ていて飽きない。
仕事じゃなくてもデートをすればたまには会える。
そう思って急ではあるが彼は月末に退職した。
しかし、予想以上に彼は忙しいのかなかなか電話に出ることができないらしい。
連絡先は勤務の関係上前に交換していたが付き合う前は水族館のみくらい。
付き合ってからたまに電話したりメッセージを送りあったりしていた。
しかし、家事代行の勤務最終日を過ぎたあたりから連絡の頻度が、さらに減ってしまった。
ここ数日送ったメッセージに既読はつくがスタンプではぐらかされてるように感じる。
(まだ、大丈夫だ)
部屋でスマホを見て大丈夫じゃないけど自分に言い聞かせる。
ふと何が大丈夫なんだろうとモヤモヤした感情が広がる。
(明日はちゃんとした返事が貰えるはずだ)
数日前に『来週どこかで会えないかな?』
と彼にメッセージで質問していたのだ。
来週、26日は新人賞だ。
彼が接客をしている限りクリスマスに会える事は期待しない方がいい。
でも待ってもはぐらかされてるばかりで何だか辛くなって来た。
(もしかして私、重たいって思われているのかな?)
胸の中のモヤは急速に黒く色付いて充満する。
その時、今になって元カレに言われた言葉がフラッシュバックした。
『ごめん、他に好きな子ができた。別れよう』
「ーッ!」
トラウマに耐えきれずしばらく寒気が覚めなかった。
デスクの普段使わない引き出しを開ける。
その中にまた箱がある。前の部屋から回収した榊原くんにしてもらった時の道具を取り出す。
自分で使うのは初めてだ。
思い切って秘部に当ててみる。
しかしスイッチを入れる気持ちになれない。
それは彼にしてほしい事だ。
グスッとこぼした涙を拭く。
涙は一向に収まらないでいる。
そうして24日になった。
彼からは一言メリークリスマスのスタンプだけが送られていた。
嬉しいはずが逆に虚しくなってしまう。
迷いに迷ったあげくスタンプを返すのに何時間もかかってしまった。
そうして25日も何もなく過ぎて行った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
秘密 〜官能短編集〜
槙璃人
恋愛
不定期に更新していく官能小説です。
まだまだ下手なので優しい目で見てくれればうれしいです。
小さなことでもいいので感想くれたら喜びます。
こここうしたらいいんじゃない?などもお願いします。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる