売れない少女小説家ですがスパダリなお手伝いくんに溺愛♡されてます!

麻麻(あさあさ)

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6話 先生、飲み過ぎじゃないですか

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「今日は久しぶりに人と遊べて楽しかった。ありがとう、榊原くん」

お酒を飲むのも久しぶりだったのでポワポワした気分でお礼を言った。


ディナーの後会計を済ませた彼は

「先生、結構飲みましたね」
と呆れていた。

榊原くんも何杯か飲んだのに顔は赤くもないし口調も変わってない。

3つしか違わないのになんで彼の方が何かと強いんだろ。

これじゃあ私が呑兵衛みたいではないか。

「最近、執筆していてランナーズハイみたいな感じになってそういう時寝食忘れちゃうっていうか」

「コラ」

やっぱり彼は母親みたいに厳しく、でも優しく叱ってくる。

「ごめんなさい。でも、最近全然飲んでなかったから。誰かと飲むなんて久々で・・・。ありがとね」

ポワポワしながらお礼を伝える。

そんな私を見てかしく思ったのか彼はまた目の前で手をヒラヒラさせる。

「せんせーい、大丈夫ですか?」

榊原くんが心配そうに見てる。

私、こんなお酒弱かったっけ?

「ごめん、私やっぱ酔ったみたい」

そう言うと彼は近くのベンチを探してに座らせてくれた。

「大丈夫だよ。今酔ってるっていっても少しだけだし」

(少しポワポワするけど)

「俺、水買って来ますからここにいて下さい!」
焦っているのかまるで子供にいい聞かせるように彼は私に言い聞かせようとするが

「違う、気持ち悪いとかじゃなくて物凄く眠たくて・・・」

と弁解すると彼は肩を落とした。

「脅かさないで下さい、先生。ほら、タクシー拾いますよ」

立てますか?と自然と手を握って榊原くんは私を立ち上がらせようとする。

(待って、それは恥ずかしい)

そんな気持ちを彼は気づいていないのか脇に腕を通し「ほら先生かかえますから」

と言われるが

「大丈夫だから」と抗議し彼から身を離そうとする。

その時、たまにしか履かなかったからか、少し地面に溝があったのかブーツのヒールが滑って横に倒れそうになる。


「!」

と倒れると思った瞬間、彼に腕を引かれて助かったと思った直後唇に暖かくて柔らかい触感がした。

「こうゆう事になるからいい加減大人しくして下さい!」と榊原くんに一喝されて大人しくなる。

その顔の唇付近が少しピンク色に色付いてるように思えた。

(私のリップだ!
ーという事は)

榊原くんと事故ではあるが軽くキスをしてしまったのである。

彼はその事には気づいていないせいか
「俺、タクシー拾ってくるんで先生はそこに座っていて下さい」

と言い聞かされ素直に従う。

しかし頭の中は彼と事故だけど少しキスをしてしまった事で頭が一杯だ。

(事故なのにー!


お酒のせいなのか意識したからか『事故でキスをしてしまった』事に顔がほてって妙にドキドキが止まらない。

でも一方の彼はキスした事なんてなかったかのような振る舞いだった。

(それともあえて気づいていないように振る舞っているのだろうか)

彼の考えが分からぬままベンチに座っているとタクシーが捕まったのか戻ってきた彼は

「先生、ほら行きますよ」
と手を差し出して来た。

「うん」

と今度は大人しく従ってタクシーの後部座席に2人して入る。

タクシーは榊原くんのナビに従って暫くして我が家に到着した。

もたついてる私に代わって支払いまでしてくれた彼はまた、手を引いて部屋の中まで送ってくれた。

「・・・本当にごめんね、大丈夫だから榊原くんは帰って大丈夫だよ」

ソファに座り一息ついて部屋の中まで送ってくれた彼にこれ以上迷惑をかける訳にはいかない。

「ダメです。先生の酔いが少し覚めるまでいますから、ほら水飲んで」

とグラスに冷蔵庫からミネラルウォーターをうつして渡してくれる。

「ごめんね・・・。私の方が年上なのに雇い主なのに」

迷惑かけてーと言いかける。

しかし彼は
「気にしてませんって。ほら酔った先生を介抱するってなんか俺、編集者っぽくないですか?あ、実際編集ってどんな感じかは分からないんですけどね」

ハハッと笑う彼につい私も吹き出してしまった。

「どっちかっていったら主人とお手伝いさんみたいだよー」

もしくは面倒くさい上司と世話焼きの部下だろう

そう言うと不満だったのか彼は唇をすぼめてちぇっと幼い表情をしたからかまたその姿に笑う。

「もう、大丈夫みたいですね」
呂律が回って笑う私を見て彼は安心したらしい。

「うん。おかげさまで」
さっきよりポワポワした感じは落ち着いたのを実感した。

「じゃあ、俺は帰ります。また来週来ますから散らかすのは程々にして下さいよ」

「待って!」

部屋を出て行こうとする彼を呼び止め彼の頬を引き寄せる。

彼は急な私の接近に戸惑っているがすかさず固まって大人しくなった。

キュッとハンカチで彼の唇を拭いて私の付けたリップの跡を拭く。

「・・・汚れ付いてたから、早く教えなくてごめん」

と濁して事情を説明すると彼は

「いきなり先生が触ってきたからキスされると思いましたよ」

とニヤっとされてからかわれたので

「もう!」

と反発する。

「すみません、また来ますから鍵閉めて寝てくださいね」

「おやすみなさい」

挨拶をして榊原くんが部屋を出ていくのを見送った。

その後、私はソファに横になって今日の出来事を振り返った。

久しぶりに水族館に行った事、ペンギンや魚が可愛かった事、ご飯やお酒はすごく美味しくて榊原くんが側で笑っていてくれて

彼を『かわいい』と思ってしまった!


そう思うとキスした事やさっきの悪戯っぽい笑顔が頭から離れない。


「早く来週にならないかなあ・・・」

彼を『好き』と自覚するとさっき別れたばかりなのにまたすぐ会いたくなってしまう。

榊原くんが『せんせーい』と優しく呼びかける声を頭で反芻する。


そうしながら私はソファでやっと眠りについたのだった。



























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