売れない少女小説家ですがスパダリなお手伝いくんに溺愛♡されてます!

麻麻(あさあさ)

文字の大きさ
上 下
1 / 15

1話 先生、はじめまして

しおりを挟む
「じゃあ、この内容でお願いします」


土曜日の真夏、クーラーの効いた狭いワンルーム の玄関で私達は書類を挟みながら対面している。


目の前の男性は学生にしてはしっかりとしたペンで
私の作った契約書にサインをした。

以下はその内容である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
     
       労働契約書

労働内容 家事代行

日給8000円
毎週月に4回とする

勤務時間11:00~18:00
内休憩1時間

雇用主 藤宮 のどか

被雇用者 榊原 傑(さかきばら すぐる)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「わざわざ真面目だなあ」

榊原くんは少しからかうような含み笑いを浮かべ記入した私が簡易的に作った契約書を私に返した。

「こうゆう事はきちんとしなきゃだからね」

そうだ。彼は学生なのだ。

依頼主の私はこんな時こそしっかりしなければいけない。


訳あって『兼業作家』の私が彼を雇用するのだ。


「控えはコピーして渡すから」と彼に言うとデスク横のプリンタでコピーを取り彼に渡すと「確かに」と書類を受け取った。

こういうのは会社で済ませてるんですけどねと榊原くんはため息をつく。

「それにしても俺が前回来た時よりまた物増えてません?」

彼は玄関から覗く奥の部屋を見て呆れている。


図星である。


本来仕事の依頼なら奥の部屋に通し、お茶を出しながらこういった交渉事をするのが正しいのだろう。

しかし、奥の部屋には宅配で届いた本の段ボールや洗濯物が積まれている。

よって申し訳ないが彼とは玄関先でのやりとりになってしまった。


「ごめんってば」
と謝る。

「まあ、やりがいはありそうだからいいですけどね」

と笑うと彼はスリッパを履いて奥の部屋に入ってゆく。

「じゃあ、少し換気しますから」

ガラッと窓を網戸だけにし彼は片付けを始めた。

「先生、これ開けても大丈夫ですか?」

彼は私の事を『先生』と呼ぶ。

編集以外、ましてやまわりの人間にそう呼ばれる事はないのだが気は悪くない。

彼は自分のリュックからカッターを取り出して聞いてきた。


「うん。多分この間発売した本が出版社から来たんだと思う」

と言うと榊原くんは
「うわ、生の作家の本じゃん!」
かっけー!と騒いでいる。

「そんな大層なもんじゃないでしょ」
(たいして売れてないし)

今のは自虐だ。

自分に毒付いていると
「いや、すごいですよ。
0から1を作れる人ってなかなかいませんよ」

と年下なのにふとした言葉に慰められた。

榊原くんは段ボールを私に確認を取りながら開けていく。

そうして物が所定の位置に収まった。

自分1人でそこまで出来る事はなかなかないので感動だ。


本当に魔窟化していた1ヶ月前とは大違いだ。

私は榊原くんが来る前の事を回想するのだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...