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一章 出会い
7話 隠し事
しおりを挟むそれからの時間は思ったより早く流れた。
「へえ、やはり元康殿も自ら店に入れる物を選んでいるのか」
(流石に私が「視て」選択してるなんて言えないわ)
ここは誤魔化そうと燈子は話をぼやかし会話をする事にした。
「はい。父曰くこだわりがあるみたいで。
あ、でも時に私にもどちらの方がいいか聞く時もありますよ」
「へえ。顧客目線は大事だからなあ」
なるほどねとカイは燈子の話に聞き入ってくれたみたいで燈子はほっとため息をついた。
「私もトーコさんお家のお店の話を聞けて嬉しいです」
エミリーも燈子の話に興味深々だ。
「今日のディナーはトーコさんが来てくれたし、うんと豪華にしなくちゃね」
「でぃなー?」
「夕食だよ」
カイが和訳すると燈子は
「いえ、お構いなく」
「いいのいいの。最近、スープやポテトばかりでたまには豪華にしたいじゃない。こうして燈子さんが一緒に住んでくれるからたまには食事くらい豪華にできる口実ができる。エミリー、うんと美味しいのをお願いね」
「そんな、悪いですよ」
「いいの。これも俺の命令だよ」
遠慮する燈子にカイは優しく悟す。
「はい。ありがとうございます・・・」
その日の夕飯はエミリー特製のステーキや野菜のテリーヌが出され、カイは久々のご馳走に喜び、燈子はカイに教わりながらカトラリーを使い初めて洋食を食べた。
「燈子さん、大丈夫?」
「すみません。美味しくて食べ過ぎたみたいで」
どうも今日一日、初めて食べ慣れない洋食をたくさん食べたせいか燈子のお腹は貼ってしまったみたいだ。
「大変だ。部屋で横になって、安静にしといた方がいい。エミリー、お願い」
カイの言葉を聞きつけエミリーが燈子に手を貸してゆっくり燈子を客室に送る。
「エミリーさん、すみません」
エミリーさんだって重かろうにと燈子は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「大丈夫です。ここがトーコさんのお部屋ですよ」
ベッドに案内され腰を下ろしエミリーに横になるように言われ従う。
(一見、驚いたけど意外と寝心地は大丈夫そうだわ)
高柳で使っていた古く固い布団より何倍もフワフワな布団が燈子の身体を支える。
気がつくと燈子はいつの間にか寝息を立て眠りに入っていった。
「エミリーありがとう」
燈子を寝かせて一階に降りて来たエミリーにカイは声を掛けた。
「今トーコさん寝てしまったから大丈夫よ」
「そうか。大事じゃないといいんだけど」
「そうね。明日になるまで様子を見ましょう」
そうして燈子の輪島家の一日は過ぎていった。
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