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1話 魔物と巫女
しおりを挟む「そなたも災難だな。役割とはいえ私の監視とは・・・」
声の主はそう言った。
しかし、私は答える訳にはいかない。
相手が『命を落とした皇帝の弟』でもだ。
今、彼は直立し牢の前に手を出した姿で監視役の私に声を掛けている。
「死人と会話してはいけない」
お前は優しいからつけ込まれる。
呪術を扱う父や姉に口を酸っぱくして言われたのだ。
「そなたまで無言とは、私は信用されていないらしい」
「・・・」
悪いが父と姉のいいつけは守らせてもらう。
そう思い私は椅子に座りながら夜が過ぎるのを待つ。
あと、半月!
次の満月で父の任務も終わる。
死人の彼と私しかいない部屋で父に後宮から依頼が来た日の事を思い出していた。
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