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2話 蛇神様とのご縁談

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「すもも、ちょっと手伝ってー」
屋敷の外から敷地内の果樹園から大量に収穫した
桃が入った籠を母が持って来るのが見えた。

「はーい」
と贈呈品の果物を包装する手を止めて、母から持ち込まれた洗ったばかりの綺麗な桃を作業部屋に
運びこむ。

うちの先祖は代々果樹園を営んでいて財を築いた。
それはそれは昔は大層家は栄えていたが今は店に卸す贈呈品の果物を取り扱っている。

とはいえ果物は庶民にはあまり買われない。


儲かるかと言われればそうもいいがたいが家系は苦しいという程でもない中流階級だ。

梱包をする手を止めながら

「今年はなんか桃以外も少ないわね」
と呟くと縁側に休憩しにきた姉が
「今年は乾ばつが続いているのよ。だからの買い手が減ってるのを見越して店からの発注が減ったんじゃないかって」

この間、父様と母様が話してたよと私に教える。


たしかに我が家の夕食(ゆうげ)は前に比べて少し地味になった気がした。

しかし、中流な暮らしがらも我が家はこうして家族全員仲良く平穏に暮らせている。

でも、こうも雨が降らないと我が家も没落の一途を辿ってしまうかもしれない。

悪い方に考え癖がある私を姉が見透かしたのか

「まあ、私達は大丈夫よ」
と励ましてくれる。

「休憩終わり。じゃあアンタも頑張りなさい」

そう言って姉は収穫作業に戻ってしまった。

(お姉ちゃんは優しいなあ)

明るい言葉をかけてくれる姉に感謝をし、私も包装作業に再び戻る。

姉は美人で気前も働き振りもいい。

藤額のおでこを後ろで結い仲間と話す彼女は作業着こそ着ているがどこか凛として華がありハリのある身体は健康そのもので町を歩くと姉に見惚れる男性は多い。それに果樹園の収穫をしてくれるお手伝い達の評判も良い自慢の姉だ。


対照的な私は、体力なしのチビで
体型は姉と違う痩せ型で体型は薄い。
伸びた前髪は顔を隠しあまり艶もない。

背が低く畑仕事に向かないからと現場ではなく梱包を主にするよう母に言われている。

主に包装や発送準備が私の仕事だ。適材適所なのである。


そんなお姉ちゃんも今年、村長の跡取りとの縁談が決まった。

中流といえども落ちぶれた我が家に村長の息子が姉に惚れ込んだと彼本人が縁談の席で話していた。

村長は渋い顔をしていたが姉や私達家族は喜んだ。

跡取りの方は実に誠実そうな方で

実際にその縁談を側で見ていた私は
こんな夢物語があるんだと内心ドキドキして見ていた。






「よし、完成!」
1つ包装を済ませたところで家の外が騒がしくなった。

「あら、仲村様お世話になっております」
仕事中の母が手を止め
「すもも、お茶をお出ししてあげて」
と言われ台所に急ぐ。

突然の来訪者にみな驚いた。

仲村様はこの村の村長だ。

「仲村様ご無沙汰しております」
姉は綺麗にお辞儀をし挨拶をする。



「いやいや、そんな気を使わないで。
今日はすももさんに話があったんだ」

と彼の口から姉ではなく私の名前が出ると家の誰もが驚いた。

(一体、何の用だろう?)

私を含む家族全員が思ったであろう。

仲村様に奥の部屋にてお茶を渡す。

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