長崎あやかし茶房 桃花源(とうかげん)へいらっしゃい 〜中国茶は人を救う〜 

麻麻(あさあさ)

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最終章 

5-4 クリスマス、大切な人に送るお茶 

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 桃麗と出会いしばらく。


「して、これが向かって左から黒茶、白茶になります。どうぞ飲まれて下さい」

漢女を交え桃麗は黒茶を飲む。

「うん、美味しい。こうやって見るとお茶って色が違うのね」

桃麗は関心するが
「でも!」
と眉を釣り上げる。
「なんで私が飲む側なの?」
と不満そうだ。

「まずは違いを知らなければ茶を淹れるにしても正解があります」

「・・・確かに、そうね」
桃麗は返事はするがまだ納得できない様子だ。

(どうしたものか)

せめて彼女でも出来る簡単なお茶はないものかと頭を巡らせる。

すると緑仙は
「少しお待ちを」
と宮殿を出て行った。

しばらくし戻ってきた緑仙の手には桃の花と何かが入った壺が握られていた。

「リューシェン?」
桃麗は彼のしようとする事が分からない。

「今から桃麗様でも淹れらるお茶をお作りします」
そう言うと彼女は
「本当?」
と表情を明るくした。

「まあ、茶葉は使わないので正確にはお茶じゃありませんが」
「え、それって?」
彼女は色々気になる様だ。

「さあ、作り方を見ていて」
緑仙はそう言うと湧いた湯に壺から取り出した蜂蜜を混ぜ桃の花を浮かべた。
「これが桃花茶(タオヒエテー)です。あ、花は軽く洗っていますよ。
本来でしたら乾燥させた花を浮かべます」
と付け加える。

「・・・」
呆れたのか桃麗はしばらく無言だった。

緑仙はその沈黙に怯えた。



「すごい!これなら私にもできるわ。あ、味はどんな感じかしら?」
漢女が一口飲んで顔をしかめる。

「どうしたの?」
と桃麗が聞くが漢女は
「いえ。飲めなくはないのですが意外なお味といいますか」
との感想に桃麗も一口飲んでみる。

「うん。確かにこれはお茶とは言い難いわね」
と返す。
蜂蜜の味しかしない。

その反応に緑仙は肩を落とす。

「申し訳ありません」

おとなしく初心者でも淹れらるお茶を教えればよかったと緑仙は思った。

しかし
「いえ、驚いたけどこれなら私にも淹れらるわ!」

「しかし」
「まあ、皇帝にお出しするかは別として」
と言われ緑仙も漢女も肩を落とす。

「そうだ緑仙、あなたもお茶飲んで」
桃麗はなんの気なしに言う。

「いえ、私はあくまで教えるのが仕事なので」
「固い事言わないで、まあそこに座って」

なんのつもりか彼女は緑仙に茶を淹れさせ椅子に腰掛けるように言う。

「まあ、聴いてて」
今日のお礼よと彼女は胡弓を弾く。

(美しい)


それは音楽か目の前の女か分からなかったが曲が終わってもしばらく緑仙はぼうっとしていた。

「綺麗だったでしょう」
と彼女は笑う。

「はい。帝の前で披露されたらきっと驚く事間違いない」
と称賛する。
「じゃあお茶もこれから学んでいかなきゃね」
「ニャー」
彼女の猫も返事をするように鳴く。
首に綺麗なリボンが結ばれてもう立派な家猫だ。


それから半年も経つと彼女の茶の腕も上がる。
桃麗と漢女にたまに猫をはさみ茶を交わう。

仕事は桃麗の講師意外にもする事は山の様にある。

忙しい日々が続くと緑仙はこの時までは思っていた。









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