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最終章
5-2 クリスマス、大切な人に送るお茶
しおりを挟む11月末の定休日。
「よし、完成」
緑仙は茶に綺麗に出来た一輪のバラのかたちをした
林檎を浮かせ呟いた。
クリスマスイブと当日の限定メニューを今日までに完成させる。
はいえ中国にクリスマス専用のお茶はない。
だから完全に雰囲気だ。
紅玉紅茶(こうぎょくちゃ)
台湾のアップルティーに林檎を浮かべた緑仙考案のオリジナルだ。
緑仙はなかなかの出来に満足しているが明明は違う。
「なにが「完成」なのね。バラ作ったのは私なのね!まさか緑仙当日も私にこれ作らせる気なのね?」
「はい?」
何か問題かと言った顔で緑仙は明明を見るので彼女の堪忍袋はプツンと切れた。
「馬鹿ね!私だって当日忙しいのね」
そう。彼女は彼女でパイナップルケーキをクリスマスバージョンを作るという仕事がある。
「そういうあなたはメニュー完成したんですか?」
「もちろんなのね!」
明明は自慢気にいつもよりゴージャスにデコレーションをした鳳梨酥(フォンリースー=パイナップルケーキ)を見せる。
いつもは生クリームにナッツをかけているスタイルからチョコクリームも追加してクリームの横に苺とメレンゲで作ったサンタをトッピングしている。
「なかなかの出来じゃないですか」
緑仙は明明に対してあくまで上からだ。
「はっ、当たり前なのね。
当日は忙しくなるから飾りは午前中作るから林檎剥く時間は私にはないのね」
「そうですか。ならどうしましょう」
せっかく作ったが新しいメニューを考えるべきだろうかと悩む。
彼の料理のセンスがない。
皮剥きも皮が分厚くなってしまうタイプだ。
「緑仙はもっと頭使うのね」
そう言い明明はスライサーを出す。
「おお、なるほど」
4.5等分くし切りにした林檎をスライサーし、グラニュー糖とレモン汁をかけ電子レンジで加熱して数枚まな板の上に置き端からくるくる明明は綺麗なバラを完成させた。
「さあ、緑仙も私ばかりやらせないで自分でやるのね。
当日は自分で頑張りなさい」
まるで母が子に調理を教えるような言い方に流石の緑仙もナメられる訳にはいかないと
「見てなさい」
と手を動かす。
10分後無事試作が完成した。
その時
「みんなどう?」
進捗を桃花が見に来るため厨房に顔を見せた。
「私のは完成よ」
明明はできたケーキを見せると
「わあ、すごい!クリスマスケーキだあ」
と大喜びだ。
「私もできました」
緑仙も紅玉紅茶を見せる。
「わあ、バラが浮いてる。ロマンチック」
と褒め明明と緑仙はまんざらでもない。
メニュー表に載せる写真をスマホで撮り桃花は
「リューシェンさんは本当にお茶が好きなんですね」
と聞くと
「私が?」
と意外な反応を見せた。
「違うんですか?」
そう桃花は聞く。
茶を淹れるは日常の事だ。
でも好きかと言われたら当たり前すぎて分からない。
でも意義なら確かにあった。
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