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4章
4-5 季節はずれの康乃馨茶(カンナイシテー)はカーネーションのお茶
しおりを挟む「まさかここで会うなんてねえ」
母は呑気にそう話す。
遅い休憩を頂き、桃花源に入る。
まさか母もここを知っていたなんて驚きだ。
2階の喫茶店でテーブルを囲む。
「なんば頼もうか」
母はメニュー表を見せながら聞く。
そういえば母と外食なんて久しぶりだ。
おばあちゃんが亡くなって、進学祝いにレストランに行って依頼だ。
「たくさんあって迷うね」
と母は楽しそうにメニュー表を捲る。
「私、黒茶にする」
と言うと母はえ~と不満そうだ。
「いやあ、いいじゃん別に」
(何か言われるかなと思って黒茶にしたんだから)
すると母は
「ねえ、つむぎこの工芸茶飲まん?」
と鮮やかな花が浮かぶ綺麗なメニュー表のページを見せる。
しかし、高い。
「よかよ」
「いいたい。お母さん結構今月稼いだとよ~」
と自慢げに話す。
「まあ、なかなか会えんかったしたまには払わせて」
「でも、なん選んだらいいか分からん」
「じゃあこの康乃馨茶(カンナイシテー)は?」
母が見せたメニュー表には赤い海藻みたいな物がポットに入っている物だ。
「この赤いのカーネーションなの?」
説明には胃や肝臓を労りデトックス効果があるというらしい。
(康乃馨(カンナイシ)ってカーネーションなんだ)
中華街で働いてるのに中国語って一生理解できない気がする。
「やっぱ、気にしてんじゃん」
嫌味だと文句を言う。
「バイト先で食べすぎたんじゃなか。
まあ、アンタは元々細かったけんこれくらいがちょうどよかけど」
「そうかな?」
(じゃあセーフ?)
「まあ、それ以上太ったら駄目たい」
と笑われた。
「パイナップルケーキ、2人で半分分けよ」
と母が提案する。
「それ以上太ったら駄目たいって今言ったじゃん」
「お母さんだけ食べるなんて悪いたい。
せっかくここまで来たんだけんこれ食べたかったんよ」
(シェアするのがお母さんって)
大学生なのに恥ずいんだが。
「お母さんは飲みもんなんにすっと?」
そう聞くが母は迷ってる。
「うーん、工芸茶も頼みたかけどこれも気になるとよ」
自分頼むって言ったじゃんと心の中で悪態をついたが母が見せたのは黒茶チャイだった。
「それ、この間飲んだよ」
「嘘、アンタもじゃあここに来とったとね」
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