長崎あやかし茶房 桃花源（とうかげん）へいらっしゃい 〜中国茶は人を救う〜

４章

4-4 季節はずれの康乃馨茶（カンナイシテー）はカーネーションのお茶

休みの日、つむぎは久しぶりに料理を作った。


メニューは唐揚げ。
（サラダとスープもあるから大丈夫！）

料理は昔からやってるから上手い。


（しかしなあ）

ダイエットしたいが悩む。

バイトでもらった肉まんが大量に冷凍庫にある。

（実家に送るか？）
他につむぎ以外に消費してくれる人はいない。


母は最近連絡ないけどどうしてるのか。

確か調味料の工場で働いてるって言ってた。

（すごいなあ）
食べながら思い出し感心する。

（私は派遣のコルセン辞めて中華街だしな）

実は中華街で働く前は時給に釣られてコールセンターで派遣していた。

しかし、入って２日で後悔した。

テレビで宣伝している商品の受電対応をしていたが
これがなかなか難しい。

結局、1か月後に辞めて次のバイトを探す。
そこを同じ大学でよく話すマナに一緒にバイトしようと誘われて今に至る。

少し情け無い気分になる。

（おまけに太ったし）
動画サイトにダイエットに効くストレッチがないか探す。

この間飲んだお茶は少しだけ効果あった気がする。
珍しくトイレを出てデトックス効果かと思った。

まあ、すぐ体重戻ったけど。


買いそびれたお土産も気になったので明日バイト終わりに買いに行こうと彼女は決めた。





由香子は土曜路面電車を降りて桃花源を目指していた。
この間買いそびれたお土産を買いに来たのだ。

（ついでに今日も寄っていこうか）

家と派遣先とスーパーがいつの間にか生活圏になり
良い喫茶店を見つけられて本当によかったと思った。

今はちょうど昼過ぎ。

中華街は混む時間だ。
場所は確かメインの通りの横だ。

門を潜り抜け道を進む。

その時近くから
「お待たせしましたー」
と久しぶりに娘と似た声が聞こえた気がした。

（いやあ、そんなわけなかたい）
つい自身でつっこんで声のする方を見る。

が

「ありがとうございましたー」
とお客と会話しているのは間違いなく娘だ。

「つむぎ！？」
と思わず声をあげると彼女は豆鉄砲を喰らった顔をしていた。