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3章
3-7 美女に送る東方美人(ドンファンメイレン)と酔貴妃(スイキヒ)
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(お前も子供欲しい勢か)
素直に出た感想としては、振られる前提と同じくらいキツかった。
鹿島君の発言を思い出す。
(将来奥さんに赤ん坊の事で叱られたくないんですよって子供かっ!)
イライラが止まらない。
そしてこのイライラはアルコールで解決するしかない!
酒を山ほどスーパー買って飲みながら帰る。
この際、体裁なんて気にしない。
明日は土曜。呑みまくると決めこむ。
「ヒック!ゔ~」
一気飲みしたせいか巨大なしゃっくりが出る。
気持ちとは裏腹の晴れた空の満月を見て目に汗が浮かぶ。
すると昨日と同じく正面から「にゃあ」と現れた。
またこの子は行く先々の人の食べ物を取ろうとしているのか。
あの店員はこの子を野放しにしすぎじゃないかと思う。
そして案の定、猫はまた酒やお菓子が入った袋に興味深々だ。
「もう、昨日もダメって言ったでしょ!」
と猫に近づき指差そうとしたその拍子に袋から缶チューハイが落ちたのに気がいったらズベッと前に転んでパンプスが脱げる。
(ああ、靴を履き直さなきゃ)
そしてこんな時でも猫は心配してか逃げるどころか傷ついた足を気にしてるのかフンフン鼻で嗅いで小さく「ニャア」と鳴く。
その姿を見ると少し冷静になった。
「大丈夫よこれくらい。ほら、君の家行こう」
そう言い中華街の方角に歩くと猫は本当について来た。
門の前まで着いて別れようとすると猫はパンツの裾を力強く引っ張っる。
「こら、離して」
(意外と力強い)
まるでこっちに来てくれるまで帰らない。
確かここは猫のいた店があったとこだ。
「分かったから。付いてくから離して」
と言うと猫は本当に噛むをやめた。
(本当、知能高いんだか低いんだか)
家に送れなんて現金な子だ。
時刻は21時過ぎ。
もう店は閉まった頃だ。
店の前まで着くと閉店作業をしようと看板を下げようとしている女性店員が猫に気付いた。
「ミンミンちゃんおかえりーってあ、こんばんは」
と店員は頭を下げたので返す。
「この子、ミンミンって言うんですね」
と聞くと彼女は頷く。
「あの、お膝大丈夫ですか?」
恐る恐る聞く彼女に軽くさっき転んだと言うが首を傾げられた。
「いや、でもおでこも少し血が出てますよ」
そう言われ
「嘘?」とスマホのインカメをミラー代わりにして確認する。
「やだ、本当」
と項垂れると店員は
「あの、よかったら中で消毒させて下さい」
と申し出る。
「お邪魔します」
なにやら遠慮しようと思ったが彼女の熱意に負けお店に入る。
「お邪魔します」
カウンターの後ろには廊下があり、進むとそこには居間があった。
女性店員は救急箱を持ってきてくれた。
薬品を塗りましょうかと聞かれたが全て自分で処置した。
そして帰ろうとした矢先ぐう~~。
広い居間の2人だけの空間にお腹の虫の音が響いた。
お酒しか、飲まなかったから今になって空いてきたのだ。
(恥ずかし過ぎる!)
しかし、店員は笑わず
「あの、ご迷惑じゃなければ夕飯一緒にどうですか?」
と聞いてきた。
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