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3章
3-2 美女に送る東方美人(ドンファンメイレン)と酔貴妃(スイキヒ)
しおりを挟む和葉の憧れの十年上の美人な従姉妹は誰もが羨むハイスペックな男性と結婚した。
結婚して家庭を持つ事の理想を語っていた彼女が出産し、和葉は当然それを祝った。
しかし、出産後に旦那の不倫が発覚。
その後しばらく離婚した。
彼女が離婚してしばらくして再会した。
その時は赤ちゃんを抱っこしてどう言葉を掛けたらいいか分からなかったが本人は
「まあ、慰謝料と養育費は沢山もらったからまた新しい人探さなきゃ」
とあっけらかんとしていた。
和葉はそんな彼女の心中が理解できない。
強がりかもしれないけどそうまでして何故結婚がしたいのか謎なのだ。
まあ、子どもに父親がいた方が良いのかとか思ったのか新しい恋をしたいのか。
その話をしたのが和葉の10代後半。
自身が30代に結婚ラッシュ、数年後に離婚ラッシュが起きると結婚はともかくとても子供を持ちたいなんて気持ちは持てない。
そんな事を考えた翌日
「あ、いた平戸さん。探しました」
部下の鹿島君が声を掛けてきた。
ここだけの話、機転の効く彼に惹かれてるのは和葉だけではない。
冷静を装い
「どうかしましたか?」
と聞くと彼の横にいたのは見覚えある顔だった。
「マナちゃん?」
「平戸さん、お久しぶりです」
そう挨拶する彼女は有田 真奈(ありた まな)は半年前に産休し今は育休中だ。
スーツを着て隣の席でバリバリ一緒に仕事していた彼女は今はすっかりママの顔だ。
「うわ~、久しぶり。すっかりママじゃん」
「やっと夜泣きから解放されました」
心底ほっとした表情で彼女が言う。
(睡眠を妨害されるなんて私には絶対無理だ)
彼女を尊敬するがそうゆう風になれる自信がない。
すると鹿島君は事務室にいる皆に
「有田さんが来ましたよー」
と声を掛けると事務員以外にも講師も集まり有田さんに久しぶりと笑いあい赤ちゃんを可愛がる。
そして誰からともなく
「じゃあ昼休みはみんなでファミレス行きましょう」
と声があがり皆行きたがる。
(ヤバいなあ。これは行かなきゃ駄目な雰囲気じゃん)
正直、ランチは1人でとりたい気分だった。
「平戸さんも行きましょう」
と誘われるが躊躇する。
「でも、1人はここにいなきゃだし」
と仕事を言い訳にする。
が
「だったら俺が残りますよ」
と鹿島君が申し出た。
「え、でも」
と申し訳ない素ぶりをみせが、今回は彼に通用しない。
「有田さん、俺の前任だし。せっかく会いに来てくれたんですから行って来てください」
(そう言われたら乗り気じゃなくても行かなきゃならないじゃない)
「あっ、ありがとう。ごめんねえ」
と返したが鹿島君とマナちゃんには申し訳ないが全然楽しむ気分になれない。
案の定、気疲れして午後の仕事は身に入らなかった。
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