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2章

2-4 霞目インスタグラマーと幽霊と丹桂飄香(タングイピャオシャン)

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母という生き物はどうしてこうも過保護なのだろう。

部屋に帰って来たら母がいた。

確かに何かあった時用に家に合鍵置いてたけど連絡もなしに凸は困る。

「なんしに来たと?」

しかも、テーブルの上には完成した料理が2人分ある。

「なんってアンタ全然連絡しないたい。
冷蔵庫見たけど送った物食べてないからこうして作ったとよ」

「ハイハイ食べっけん。食べたらすぐ帰って」

一旦帰ってまた外に出ようと思ったのに。
相変わらず美味しいが話題がない。

まあ、TVを観ながらだから会話なんてしなくて良さそうだ。

しかし
「アンタ最近学校行きよるとね」
と痛いとこをつく。

「昨日、学校から電話があったとよ。単位危なかとでしょう。それに少し見んうちに少し太ったんじゃなかと?」

畳み掛けるように責めてくるのでガタっと椅子から立ち上がり、部屋を出ていく。

「待たんね!」
玄関まで母は追いかけてくる。

「帰って。私、大学なんて前に行きとうなかって言っとったけん」
「じゃあ、あんた卒業したらどうすっとね!?」
母の顔は必死だ。

それ以外じゃ困るんだろか。

(もういいや)
話す事を放棄し、階段をスタスタ降りる。

母はそれ以上、追いかけては来なかった。



数時間後
「う~、食べすぎた~」
ヤケになってファミレスに来たけど馬鹿みたいに注文したら案の定やらかした。

スカートがキツすぎる。
「ダイエットしなきゃか?」
脳裏に母の『少し見んうちに少し太ったんじゃなかと?』と言われたのを思い出す。

そりゃあね。ほぼ食べ歩いてたらこうなるっしょ。

でも髪も傷んでデブな自分はこのままいったらヤバい気がする。

(ああ、もうなんも考えたくない!)

世の中、ままならない。

お茶屋の店員さんは私とは違ってなんだか羨ましい。

「ままならない」とは対極にいて活き活きしていてそれがなんだか眩しいかった。

学費を払ってもらって母には感謝しているが、とはいえ本質的な話し合いに言い返せない自分はやっぱり母からしたら子供が我儘を言ってるだけに過ぎない。

しばらくしてお腹が落ち着くのを待ってファミレスを出た後、コンビニ駐車場で調べ物をするがまたかすみ目がしてきた。

(視力まで落ちてきたか?勘弁してよ)

そうやって眉間を押さえてるとまた足元からにゃーんと猫が鳴いていた。

「おお、お前この間の子じゃーん」
そういえばこのコンビニは中華街側だった事を思い出す。

「夜の散歩か~?」
猫はそうだよと言いだけににゃーんと鳴いて足元に寄ってくる。

相変わらず気前良く触らせてくれる。 

(そうだ。この子の写真も撮ろ)
そう思いカメラを起動すると画面越しに見えたのは黒猫じゃなくて人間!

小さな女の子だ。
「え、なんで!カメラ壊れた!?」
猫が人間とかホラーすぎる。

一応カメラが壊れてないか自分の手をカメラの前で振ってみる。

「壊れてない」
じゃあこの女の子はなんなんだ。

「あ、そうか私疲れてるんだ」
気のせいかまた目がかすんだように思えて意識はそこで無くなった。











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