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プロローグ 〜桜の木の下で〜

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 僕の名前は神兎颯(かみうさぎ はやて),

 中学3年生だ。とは言ってももう後半日もしたら、卒業する

 卒業式が終わって解散となった。今日は一世一代の日である。

「千尋さん。中学で出会ってからの3年間ずっとあなたのことが好きでした。僕と付き合って下さい。」

 学校の庭の桜の気に、千尋さんを呼び出しての告白である。もう、卒業式がどうでも良い位に朝から心臓がドキドキしっぱなしだった。

「ええ、喜んで颯さん。私もあなたのことが気になってました。高校行っても仲良くお付き合いしましょうね。」

 やった~。憧れの子と付き合えることになった。こんな嬉しいことは生まれて初めてだった。その後は色々と話をして、連絡先のLINEも交換してお互い分かれて帰った。


 だが、そんな素敵な日々は長くは続かなかった。帰り道に横断歩道を渡ろうとしている女の子がいた。歩きスマホで周りが見えていない。信号は青色から点滅し、赤色になった。

 車が走ってくる。女の子はそれに気づかずに横断歩道を渡ろうとしていた。

「危ない!」

 声を上げると同時に走り出していた。
 女の子は、イヤホンで音楽でも聞いているのか周りの音が聞こえていない。

 本来僕は、こんなことをするタイプではないのだが、告白が成功して浮かれていたのだろう。テンションご上がってなんでも出来る気になっていたのかもしれない。

 世界がスローモーションに変わる。

 横断歩道に入り、女の子を助けるべく勢いをつけてジャンプした。そのまま女の子抱え込んで車が来る前に抜けられるかと思えば、漫画みたいに上手く行くわけにも行かず、そのまま車に轢かれてしまった。
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