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第15話 未来の娘と高校生の母親

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僕はナナちゃんにさっき見つけた、次元石をこっそりと渡した。

ナナちゃんは躍田さんに、見られないように、黒い石を見るふりをして、こっそりと、この時代の次元石とすり替えていた。


なるほど、あくまで、この時代の次元石を渡しておくのか。たしかに、その次元石で、現代に戻れるからもわからないし、もしかしたら、劣化して、次の24年後までに次元石がもたないかもしれない。だから、この時代の次元石を渡すことで、その懸念を払拭(ふっしょく)したのか。そこまでは気が回らなかったな。

「貴重なプレゼントを見せてもらってありがとうございます。これ、お返ししますね。跳田さん、よければ短冊私達が付け直しておきましょうか?スカートだと、脚立の上でと色々と危ないですから。」

「そうね、じゃ~お願いしようかしら。はい、お願いね彼氏君」

「いや、彼氏君ではありませんよ。彼女とはあなた方と一緒な幼馴染ですから。」

「ふふっ、赤くなって可愛いわね。彼氏君。私達と一緒ってことはこれからそうなるかもしれないってことじゃないの」

「いや、それは、その。。。。」

声が段々と小さくなってくる。あまりそこは問い詰めないでほしい。現在は幼馴染だ。でもそれ以上の将来についてはまだ、断定したくないんです。

「そっ、それで、もし将来の娘さんに会ったらどうするんですか?」

ナナちゃんが会話を変えようと、話を跳田さんに振る。恥ずかしくてナナちゃんの顔が見れない。
でも、ナイスだよ、ナナちゃん。

「そうね。もし、あなたが私の娘だったら、元気にしてる?今幸せ?ちゃんと彼氏は出来たの?って聞くかしら。あら、なんで娘なのかしら、子供って書いたわよね。」

「なら、私が跳田さんの娘になった形で答えてみますね。お母さん。私は元気だよ。毎日楽しいこと不思議なことがあって楽しいよ。彼氏はね。まだいないんだ。ちょっと気になる人はいるんだけどね。って言うと思いますよ」

「あらあら、それなら楽しそうでよかったわね。早く気持を伝えないといつまで経っても通じ合わないわよ。って本当に娘と話しているような気分になってきたわ。おかしいわね。まだ私親にもなっていないのに。そういえば、私は名乗ったけど、あなたたちの名前聞いてなかったわね」

「私達の名前は秘密です。次に会ったときにわかりますよ。ほら跳田さん。あそこに時渡さんがまってますよ。せっかく通じあったんですから、早くいかないと。」

「そっ、そうね。ごめんなさいね。お時間とっちゃって。次あったら、名前教えて頂戴ね。またね」

と言って、手を振りながら去っていった。僕達も手を振り返した。

ここまでの会話を僕たちはなかったことにして、短冊を笹に括りつけた。
その間ににナナちゃんは次元石を元のお守りの中に戻していた。脚立から降りて話した。

「ナナちゃん凄い機転だったね。次元石をこの次代のものにかえるなんて思いもしなかったよ。」

「まあね。この時代の次元石じゃもしかしたら、帰れないかもしれないから。さっ、次元石も手に入ったし、現代に帰りましょう。」

と言って、ナナちゃんが手を出してきた。
この手は一体?

「手を繋ぐのよ。離れたら、トシ君がこの次代に取り残されちゃうかもしれないじゃない。だから、現代に帰るまでは手を繋いでおくのよ。ほらっ、早く」

「わかったよ。」

僕はナナちゃんと手を繋いだ。幼馴染をしているけど、こんなことは長らくしてなかった。小学校の時はしてたんだけど、いつからか、恥ずかしくてしてなかった。

「ナナちゃん。これからどうする?まだ人がいるけど、帰るの待ってたら、夜になっちゃうよ。」

「そうね。どうしようかしら。隙を見てしようか。きっと、転移の瞬間は光って見えないわよ。それに私達は元々この時代の人間じゃないから、いなくなっても探せないわよ。きっと幻を見てたんだと思うわ。」

「そうだね。それより現代に帰れなくなる方が今の僕達からしたら心配だもんね。なら早速準備しようか」

現代の時と同じ用に、園芸用のホースを設置し、準備する。周りの人達からの視線は感じるがそのまま去っていく。ナナちゃんが周囲を見渡して、人がいない瞬間を見計らう。

今回は僕がホースを持ち続けて虹を出すわけにはいかない。来るときはたまたま、間に合ってナナちゃんの手を掴めたからいいけど、今回も間に合うとは思っていないからだ。

ホースで水をだし、虹を出すと、それを虹が出続けるように、茂みに入れた。
しばらくはこれで大丈夫だろう。

ナナちゃんが周囲を確認し、人がいなくなったのを確認した。
「トシ君今よ」

僕とナナちゃんは虹の根元に走って行った。ナナちゃんは懐から次元石の入れてあるお守りを取り出し、それを虹のもとへ近づけた。

お願いだ上手くいってくれよ。これがダメだと正直どうして現代に戻ればいいかわからなくなる。
そう思って祈っていると。





徐々に、虹の七色の光がお守りの方へ吸い込まれていった。
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