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第3話学園の七不思議 七不思議の行きつく先は・・・

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「それに関しては、ちょっと心あたりがあるの。おそらく、虹の「3」と最後の七不思議の「7」この二つが関連してくると思うの。虹は7色でしょ。これって七不思議でするには不思議な感じじゃない?
だから、きっとこれは7月7日のことをさしていると思うの。トシ君今日は何日だった?」

「今日は7月5日の金曜日だよ。だから、7月7日は明後日の日曜日だね。それで日時が把握できたとして、時間帯と場所がわからないよ。これもないと一日中そこら中を回ることになって、結局検証も出来ないことになるよ。

それに、いくら時間や場所、条件が特定出来たって、虹がでるかどうかなんて、わかんないよ。あれって雨が降った時に必ず出るものでもないでしょ。そもそも虹って、7色と言っているのは日本だけなんだよ。虹の色って、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色が日本での定説だよね。

でも、アメリカやイギリスだと6色、ドイツだと5色だと言われていて世界共通の認識ではないんだよ。」


「もちろん。そのことは、七不思議で虹があったときに私もネットで調べてみたわよ。でもここは日本で、この七不思議を書いたのは日本人なのよ。この学校にはよくも悪くも外国人の学生も先生もいないわ。そして、これまでにもいなかった。

なら、日本の常識で当てはめて考えた方がいいのよ。わざわざ、日本で外国の常識を使う人はいないわ。郷に入っては郷に従えよ。従えないなら、もう少し、ヒントを残しておくべきね。なので、虹は7色という考え方で進めるわよ。」

「そして、位置の特定だけど、面白い法則になっているのがわかるわ。
 本校舎の建物の中心を学校の中心として捉えるの。そうすると、七不思議の位置が似たりよったりある形で置かれることがわかるわ。」

「ホントだ。学校の中心を起点として、1~6までの順で位置が一定間隔で並んでいる。一部違う場所もあるけど。
北を0として捉えるんだね。

「1」の3階の女子トイレに花子さんが出るは、中心から2時の方向に。
「2」の屋上に繋がる階段が・・・は中心から4時の方向に
「3」は未確定だからおいておくとして
「4」塞がれた枯れ井戸・・・は8時の方向に
「5」理科室の・・・は10時の方向に
「6」の音楽室の・・・は12時つまり0時の方向にある。

でもこれは一致しすぎじゃないかな。さっきの話だと、学生が何個か入れ替えたりしているんだろう。「5」の理科室なんてここ数年の出来事じゃないか。」

「そうなのよね。気味が悪いほどに一致している。でも逆に考えたら、意図がちゃんとわかるように、この七不思議を解いた人が、この七不思議を作り替えたなら何も問題はなくなるわね。
きっと、その時代時代に応じて、その場にあったものに変えているのねきっと。

木を隠すには森の中。そして、不思議な謎を隠すにも七不思議の中へ。そう考えればこれは七不思議というよりも謎解きの部類に近くなってくるわね。いいわいいわ、トシ君と話していると私の考えが抜けてた部分に鋭い突っ込みが入って刺激されるから、より考えの深みに誘ってもらえるわ。」


ナナちゃんが自分の考えに没頭しだして、独り言を口にしだしている。これはかなり考えに集中しているときの彼女の癖だ。この時に口を挟むのはなるべくやめた方がいい。なんらかの考えがまとまるまでじっとして、聞いていればいいのだ。それで、彼女は満足してくれる。

「そう、そして、これを点でつないでいくと歪だけど、円上に配置されていることがわかるわ。中心は学校の中庭の噴水ね。そして、これが事実なら、虹の出現場所はここになる。」
といって、メモ帳に僕が書いた落書きの一点を指し示す。

「ここは、学校に入ってくる上り坂の頂上付近だね。」

「そうね。ここに虹の根元が現れれば、そこで不思議なことが起こるのよ。ワクワクするわね。ここまで確信が持てる要素が重なると、絶対なにか不思議なことが起こるわ。

私はもう、不思議なことを聞いたり、新聞やネットで見るだけじゃないの、私自信が見て聞いて体験するの。他のその他大勢が味わったことのない不思議を。
ねぇ、トシ君そう考えるとワクワクしてこない。もう私の胸なんかさっきからドキドキのバックンバックンしてるわよ。触って確認してみる?」

と魅力的な胸を張って、手で押さえて、笑いながら言ってくる。

「ナナちゃんその手にはのらないよ。何度それで揶揄(からか)われたことか。僕だって学習してるんだからね。でも、少し僕もドキドキしてるかな。胸がいつもより早く鳴っているよ。」

と、僕は自分の胸に手あてて心臓の鼓動を感じる。
「どれどれ、トシ君の胸のドキドキはどんなものなのかしら。」

と言って、ナナちゃんは自分の胸に右手を当てながら、僕の胸に左手を当ててくる。
理不尽だ、僕が実際やろうとすると、「きゃ~~~っ」っていう癖に、自分で触ってくる分には何の躊躇(ちゅうちょ)もないのだ。

こんな揶揄(からか)い癖があるのも彼女がモテルのに、彼氏がいない理由じゃないだろうか?
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