【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~

近衛 愛

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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№151】空魔石のアクセサリー化3

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「結構大きな魔石が入っているんですね。」

「ええ、今回は複数回魔法増幅をすることを前提に試作しておりますので。」

「ちょっと魔法をテストしてもよいですか?」

「ええ、勿論ですとも。ただ、試作の為、そこまで魔素はチャージしておりませんので、現状は2回分あるかないかと言った所です。」

『ミネラルウォーター』

 指先にかなり大きい水球が発生する。

「なるほど、ちょっとした重量はありまさが、対魔族戦ではかなり有利になりますね。ちょっと困るのは、これを装備していたら常に魔力の増幅状態になることですな……。あっ、もしかしたら、」

  僕は、魔石の入った袋を取り外し、少し離れは場所に付け替える。

「よし、もう一度」

『ミネラルウォーター』

指先に先程と同じ大きさの水球が発生する。

「あれっ、魔石の位置をずらしたから、増幅されないと思ってたんだけどな。」

「リュウ殿。それでしたら、金属で魔石同士が繋がっている為、人間が手を繋いで5紡星を作るのと同じ状況になっております。」

「なるほどねー。なら、金属を完全に離せば大丈夫なわけですね。」

  僕は、ベルトから魔石の袋をフックごと取り外して呪文を唱えた。


『ミネラルウォーター』

 指先にいつもと同じ大きさの水球が発生する。

「ふーこれは上手くいきましたね。少し手間はかかりますが、これなら少し仕様を弄れば簡単に切り替えが出来るかも。」

「リュウ殿、残念ながら、成功した様に見えますが今回は失敗になりますぞ。」

「えっ、なぜですか?セバリンさん。水球の大きさがいつもと同じなら、問題ないと思いますけど。」

 セバリンさんが、小さく首を振って、袋を指刺す。

 あっもしかして、魔石そのものが……

「魔石の魔素が切れてて、そもそも繋がっていても、増幅されないってことですか?」

 セバリンさんが首を縦に振る。

「やっぱりですか。でもそれだと一回分に魔素が満たない時の判定が難しいですね。いざ決めて魔法を使った時に、増幅されなかったら、大きな隙が出来そうです。」

「そこの所は、確かに懸念点ではございますな。しかし、現状では打開策も見えない為保留でございますな。今は、アクセサリー化の実使用化を進めてその後に対策を進めたいと思います。」

「それもそうですね。初めから完璧を求め過ぎると、えてして途方もない時間がかかり、最悪、表に出ないまま研究資金が頓挫して日の目をでないこともありますからね。少しずつステップを刻んで改良していきましょう。」

「ええ、勿論ですとも。オーナー。最終的な要望の反映がずっと後になりますが、ご要望が有ればドシドシ言ってください。今のうちならそれを考慮して作ることも可能ですから。」

 確かに、それも一理ある。ある程度、機能を想定して、使っておかないと、後で仕様追加になった場合に対応出来ないことがある。いや、何度もあった。

 お客さんからの要望で、ボックスにボタンを追加したかったのだが、これが制作後に言われたもので、既存のボックスには、取り付けスペースがなくて出来なかったんだよね。

 その時はボックスの隣にミニボックスをつけて対応したけど、あれはちょっとなかったな。費用も嵩むし、場所もスペースも取ってしまう。

 全部を見込んで作るのは難しいが、ある程度の拡張性を持たせないと、設計的にはやってられない。カツカツの設計で、追加仕様で、四苦八苦して対応してきたことも何度もあるからね。

 そこから僕とセバリンさんは、他の仕事をそっちのけにして、魔石のアクセサリー化について、議論とテストを繰り返していた。


 チルやノエルもチラッと遊びに来ていたが、あまりにも話が細か過ぎるのか、途中でフェードアウトを何度もしていたな。研究開発は男の仕事!!とは言わないけど、楽しいおもちゃがあると周囲が見えなくなって、視野が狭くなってしまうのは男の子あるけどね。

「ふーやっと形になってきましたね。セバリンさん」

「ええ、リュウ殿実用に耐えうるサンプルができましたな。」

 完成系に持っていった魔石の魔法陣アクセサリーは、アクセサリーとは呼べない遠いものになってしまった。ここにご婦人方がいればそうスカンを食らってしまうほどのものだ。

 機能性を重視して、なるべく軽量化を図り、さらに5芒星と6芒星の切り替えも出来るようにスイッチもどきを取り付けた。

 魔石に関しては、セバリンさんが持ってきたものでは、重量が嵩張る為、軽量化。最大魔素チャージで、2回は使用出来る魔石サイズにカッティングしたものを装着することに。

 魔石を軽量化したことで、ベルトや袋の耐久性も下がっても良いことになり、素材を薄くし、全体的に軽量化へ。

 2回分の魔素だと、襲撃の時には、不足するので、それは予めチャージした魔石を異空間に収納しておくことて、時間はかかるが交換出来る様にした。連戦だと厳しいが少し隙間時間ができるなら、魔石の交換は出来るからね。

 いずれ魔族領に乗り込むことを考えれば、即席の火力を作る手段はいくつあっても良いもんだ。
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