120 / 188
第8章 変わってしまう日常編
【雇用№119】デーモンイーターとのどうにもならない戦い3
しおりを挟む
「ティタニア、冷やすのにはちゃんと訳があるんだよ。熱衝撃って言って、急速な温度変化によって、物体が脆くなる現象があるんだよ。」
もっとも、そこまでアイスクーラーの魔法で冷やせて、太陽光線の熱量がそこまで行くかは微妙なとこなんだが。それに、地球の物理法則が適用するのかとか、魔族相手に熱衝撃がそもそも効くのかなど不安要素は諸々ある。もう仕方ないじゃないか。時間もないし、手段も思いつかないんだから。
どうやら、ウォータープロミネンスによる太陽光線のチャージが完了したようで、眩き光線が光球から放出された。
「ジューっ、ジューっ、ジュー」
ティタニアは回復の手を止め、チルも魔法の発動を停止し、僕も痛みに耐えながら、デーモンイーターの成り行きを見つめていた。
これの効果がなかったら、本当に打つ手がなくなる。頼む頼むから効いてくれよ。神様、女神様、、、いや、駄女神はいいや、なんか逆に良くないことが起こりそうだし、精霊神様お願いします。
困った時の神頼みである。地球には神の存在は明らかになってはいないが、この幻想世界においては、神の存在ははっきりと証明されている。もっとも、万能な神などいなく、人より上位の存在と言った方が正しいのだが。
それでも神に祈らざるを得ない状況なんだ。お願いします。神様、助かったらなんでもしますから、お願いします。この一撃でデーモンイーターを葬って下さい。
願いが神に届いて聞き入れてくれるのかは分からない。が、ウォータープロミネンスによる照射は終わった。
デーモンイーターを見ると、照射の位置がずれていたのか、デーモンイーターが位置をずらしたのかは分からないが、焦点の位置が胴体ではなく、デーモンイーターの腕になっていたようだ。
結果を見ると、ウォータープロミネンスの効果はあった。腕が一部削り取られている。地表まで貫通してはいなかったのだが、それでもこれが胴体か頭に当たっていれば勝ち目があったのだが、当たり場所が悪かった。
熱による影響で、デーモンイーターを拘束していたアースウォーターネットの効果も破られ、魔女の一撃の効果が切れたのか、痩せ我慢しているのか分からないが、デーモンイーターが片膝を立て立ち上がろうとしている。
「リュウ、リュウ兄ちゃん、どっどうしよう!デーモンイーターが生きてるよ。」
チルがびびって涙声をあげている。それもそうだろう。デーモンを跡形もなく、焼却したウォータープロミネンスの魔法がデーモンイーター相手では腕一本分消し飛ばすこともできなかったんだから。
これは、僕たちの他の魔法や物理攻撃がほとんど効かないことを意味する。なすすべもなくやられる未来が浮かべば涙も出るだろう。絶対絶命のピンチというやつだ。
「どうもこうもない、ティタニアとウェルザさん、モニカちゃんを連れて逃げろ。この街はもう持たない。どこか、そう、薬樹の森の精霊樹の所にでも逃げてくれ。」
『スキル:魔女の一撃』
十回使って、呪いの反動が出たことで、回数がリセットされた魔女の一撃を発動していく。
「僕はここであいつをギックリ腰にして、時間稼ぎをするからそのうちに逃げてくれ。」
「嫌だ嫌だ。そんなの嫌だよ。リュウ兄ちゃんを置いて、好きな人を残して行けないよ。」
そうこうしている間にも、ギックリ腰に、なったデーモンイーターは、再び倒れるかと思いきや倒れることはなく、そのまま堪えて、スキルを発動したであろう僕の方を睨みつけてくる。
「ウギュルルル、ウギュルルル」
低い低音の唸り声が不気味に辺りに響き渡る。なぜ、魔女の一撃が効いてないのか?重ねがけは魔熊戦は有効だったのに?魔族だから、耐性が出来たのか?それとも………。それに、なぜ僕の方を向いているんだ?スキルは不可視の攻撃のはず。発動する相手なんて分かるはずがないんだ。
もっともこの場には、僕、チル、ティタニアの3人しかいなく、その3人が一箇所に集まっているため、目安はつけられるだろう。しかし、あいつの目は、地面の上に転がっている僕を一心不乱に見ている。間違いない、デーモンイーターは僕が魔女の一撃を使ったことに気づいている。
それでも、デーモンイーターは立ち上がることはせずに片膝をついたままである。効いているには効いているのだろう。と見ていたら、おもむろに、ちぎれかけの腕を無事な手で、引きちぎった。
「ウギュギュギュ」
「うっ」
取った腕をどうるするのかと思えば、むしゃむしゃとあろうことか、自分の腕を食べ出した。
あまりの気味の悪さに
「うぷっ」
チルも僕も吐き気がしてきた、見たくもないが、その異様な光景に目を奪われて3人は動けないでいた。そして食べる度に、捻りとった方の腕がぶにゅぶにゆと再生しているではないか。
「ちょっとリュウ兄ちゃん。あれって反則だよ。勝てっこないよ。なに、こっちからの攻撃は効かないし、ダメージを与えても、自分の身体を食べて再生するとか、どう考えても倒せないじゃない。」
「チル勝てないように見えるけど、そうじゃない。よくあいつの腕を見るんだ。ひとまわり小さくなっている。全部を再生するには食べる量が足りてないんだ。逆に言えば、今の攻撃を何度も当てればいずれは倒せる・・・」
と話している隙に、デーモンが食事をしながら、立ち上がった。
「「「えっ」」」
もっとも、そこまでアイスクーラーの魔法で冷やせて、太陽光線の熱量がそこまで行くかは微妙なとこなんだが。それに、地球の物理法則が適用するのかとか、魔族相手に熱衝撃がそもそも効くのかなど不安要素は諸々ある。もう仕方ないじゃないか。時間もないし、手段も思いつかないんだから。
どうやら、ウォータープロミネンスによる太陽光線のチャージが完了したようで、眩き光線が光球から放出された。
「ジューっ、ジューっ、ジュー」
ティタニアは回復の手を止め、チルも魔法の発動を停止し、僕も痛みに耐えながら、デーモンイーターの成り行きを見つめていた。
これの効果がなかったら、本当に打つ手がなくなる。頼む頼むから効いてくれよ。神様、女神様、、、いや、駄女神はいいや、なんか逆に良くないことが起こりそうだし、精霊神様お願いします。
困った時の神頼みである。地球には神の存在は明らかになってはいないが、この幻想世界においては、神の存在ははっきりと証明されている。もっとも、万能な神などいなく、人より上位の存在と言った方が正しいのだが。
それでも神に祈らざるを得ない状況なんだ。お願いします。神様、助かったらなんでもしますから、お願いします。この一撃でデーモンイーターを葬って下さい。
願いが神に届いて聞き入れてくれるのかは分からない。が、ウォータープロミネンスによる照射は終わった。
デーモンイーターを見ると、照射の位置がずれていたのか、デーモンイーターが位置をずらしたのかは分からないが、焦点の位置が胴体ではなく、デーモンイーターの腕になっていたようだ。
結果を見ると、ウォータープロミネンスの効果はあった。腕が一部削り取られている。地表まで貫通してはいなかったのだが、それでもこれが胴体か頭に当たっていれば勝ち目があったのだが、当たり場所が悪かった。
熱による影響で、デーモンイーターを拘束していたアースウォーターネットの効果も破られ、魔女の一撃の効果が切れたのか、痩せ我慢しているのか分からないが、デーモンイーターが片膝を立て立ち上がろうとしている。
「リュウ、リュウ兄ちゃん、どっどうしよう!デーモンイーターが生きてるよ。」
チルがびびって涙声をあげている。それもそうだろう。デーモンを跡形もなく、焼却したウォータープロミネンスの魔法がデーモンイーター相手では腕一本分消し飛ばすこともできなかったんだから。
これは、僕たちの他の魔法や物理攻撃がほとんど効かないことを意味する。なすすべもなくやられる未来が浮かべば涙も出るだろう。絶対絶命のピンチというやつだ。
「どうもこうもない、ティタニアとウェルザさん、モニカちゃんを連れて逃げろ。この街はもう持たない。どこか、そう、薬樹の森の精霊樹の所にでも逃げてくれ。」
『スキル:魔女の一撃』
十回使って、呪いの反動が出たことで、回数がリセットされた魔女の一撃を発動していく。
「僕はここであいつをギックリ腰にして、時間稼ぎをするからそのうちに逃げてくれ。」
「嫌だ嫌だ。そんなの嫌だよ。リュウ兄ちゃんを置いて、好きな人を残して行けないよ。」
そうこうしている間にも、ギックリ腰に、なったデーモンイーターは、再び倒れるかと思いきや倒れることはなく、そのまま堪えて、スキルを発動したであろう僕の方を睨みつけてくる。
「ウギュルルル、ウギュルルル」
低い低音の唸り声が不気味に辺りに響き渡る。なぜ、魔女の一撃が効いてないのか?重ねがけは魔熊戦は有効だったのに?魔族だから、耐性が出来たのか?それとも………。それに、なぜ僕の方を向いているんだ?スキルは不可視の攻撃のはず。発動する相手なんて分かるはずがないんだ。
もっともこの場には、僕、チル、ティタニアの3人しかいなく、その3人が一箇所に集まっているため、目安はつけられるだろう。しかし、あいつの目は、地面の上に転がっている僕を一心不乱に見ている。間違いない、デーモンイーターは僕が魔女の一撃を使ったことに気づいている。
それでも、デーモンイーターは立ち上がることはせずに片膝をついたままである。効いているには効いているのだろう。と見ていたら、おもむろに、ちぎれかけの腕を無事な手で、引きちぎった。
「ウギュギュギュ」
「うっ」
取った腕をどうるするのかと思えば、むしゃむしゃとあろうことか、自分の腕を食べ出した。
あまりの気味の悪さに
「うぷっ」
チルも僕も吐き気がしてきた、見たくもないが、その異様な光景に目を奪われて3人は動けないでいた。そして食べる度に、捻りとった方の腕がぶにゅぶにゆと再生しているではないか。
「ちょっとリュウ兄ちゃん。あれって反則だよ。勝てっこないよ。なに、こっちからの攻撃は効かないし、ダメージを与えても、自分の身体を食べて再生するとか、どう考えても倒せないじゃない。」
「チル勝てないように見えるけど、そうじゃない。よくあいつの腕を見るんだ。ひとまわり小さくなっている。全部を再生するには食べる量が足りてないんだ。逆に言えば、今の攻撃を何度も当てればいずれは倒せる・・・」
と話している隙に、デーモンが食事をしながら、立ち上がった。
「「「えっ」」」
0
お気に入りに追加
207
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。


エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。


僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる