【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~

近衛 愛

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第7章 ひとときの日常休暇編

【雇用№105】リュウとチルのデート3

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湖でのデートの定番ボート漕ぎですわ。本当ならスワンの足漕ぎ用が良かったのだけれども、流石に僕にそんなに技術はない。昨日、洋服やプレゼントを買った後で、地下の倉庫で急遽、木を削って、作成した。設計図を書いている暇はなかったので、かなり荒削りである。

 魔法で、削ったこともあって、見栄えは、そんなに良くはない。でも、人の触るところ位は、チルに怪我をささるわけにもいかないので、念入りに削って滑らかにした、流石に仕上げは魔法でちよちょっと、というわけにはいかず、手作業でやったためかなり時間がかかってしまった。

 完全に日を跨ぐ、内容で作業したため、ちょいと寝不足では、あるんだけど。。。


「さっ、チルさんこちらに乗って。」

先に僕がボートに乗って、チルに手を差し伸べる。初めて作ったボートであったが、大丈夫なようだ。水漏れもないし、ちゃんと見ずに浮く。何よりボートに乗っても転覆しないのが一番良かった。正直水に浮かばないと分からないにもかかわらず、試験出来る時間も場所もなかったので、本番での一発勝負になってしまったので、ちゃんと浮くのか心配だったのだ、

これだから、時間に余裕のない日程は勘弁して欲しいと思う。突貫の作業や、一発ぶっつけ本番でいうのが一番心臓に悪いからだ。僕はそんなに心臓が強い訳ではないんだよ。


「リュウさん。これは一体なんなのでしょう?」

と疑問を抱きながらも、僕の手を握ってボートに乗ってくれる。信頼されているんだね。

「きゃっ」

チルがボートに足をかけた時にボートのバランスが崩れて、ボートが揺れて、チルが驚いた。慌てて、ボートの上に乗ってきたので、抱きしめてキャッチしてあげる。


「これはボートと言って、水の上を渡る馬車みたいなものだよ。」

流石に予期しない行動だったためか、チルが顔を赤くしながらパッと離れる。しかし、ボートの上での急な移動のためまたしてもボートが揺れる。

「きゃっ」

また可愛いらしい声が聞こえてくる。僕は慌ててチルな手を掴んだ。バランスを崩すとボートから落ちてしまうかも知れないのがこのボートデートの難点だね。

足漕ぎスワンなら、この点の問題もないし、屋根付きだから雨天でも結構出来るパーフェクトなものなんだが。多分作ることはないだろう。これで商売していく訳でもないからね。

チルの手を掴んだまま、ボートの端に座らせた。これでバランスが崩れることはもうないだろう。僕も座って、オールをとった。これまた、手作り感満載の仕上がりであった。

 一応、僕の分とチルも漕ぎたくなるだろうから2セットは用意してある。ただ、これからも意外と問題なんだ。僕もボートデートの存在を知っているだけで、実際にボートを漕いだことは、、、、、、、、正直ない。

 足漕ぎスワンさんなら近くの公園で幼い頃に親と一緒に何度か乗ったことはあるんだけどなー。漫画や小説、人からの伝聞なんかでその存在を知っているくらいのものである。

「リュウさん。ありがとうございます。でも、これが馬車みたいに動くのですか?見たところ、馬はいませんけれど。水の上に浮かぶというのも、ふわふわして不思議な感覚で面白いですね。」

「面白いと言ってもらえてよかったです。馬車に例えるなら、荷台がらこのボートで、馬は。。。。僕ですかね。では、湖上のたびに出発します。ヒヒーン!」

と馬の真似をしてみると、チルが微笑んでくれた。
さてさて、後は、オールを入れて漕いでみる。平泳ぎのように水を蹴るようにして、水をかけば前に進むと思うのだが。


「バシャンっ」

水を叩く音がする。水が凄く思い、こんなにもオールで漕ぐのって力がいるものなのか?いやいや、女の子が普通に漕いで前に進む代物だから、大の大人の僕が重いと感じる作業な訳がない。

 そして、ボートは。。。前に進まなかった。

「バシャッバシャッバシャッ」

何度かオールを漕いでみるが、水面を叩くのみで前に全く進まない。。。

「あれっ、おかしいな。前に進まないぞ。」

「ちょっと、リュウ兄ちゃんどうしたの?まったく前に進まないよ。私がやってみようか?」

と手を出してくる。チルさんは、僕の対面で体育座りをスカートでしている訳でして。何やら視界にうっすらと、白いものが目に入ってしまう訳です。

なるべくチルの方を見ないようにして視線を逸らしてオールを渡します。お馬さんはいないけど餌をぶら下げられたり偽のお馬さんが前に向かって走り出しそうなので精一杯制御させてもらってます。

 理性という名の手綱を外してしまえば、前に走り出すこと間違いなしです。妹分相手にそういう目で見るわけにもいかないので、精一杯の対抗をしている訳です。

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