【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~

近衛 愛

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第6章 精霊樹の苗木 準備編

【雇用№70】精霊樹の苗木準備編 薬儒の森への出発3

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「ねぇ、リュウ兄ちゃん私思ったんだけどさ。『空飛ぶリヤカー』の魔法で障害物の無い森の上まで上昇してから、目的地の上まで行って、降りた方が安全で早いんじゃないかな?」

暗い森の中を『ライト』の魔法で照らしながら進んでいると、チルがそう問いかけてきた。

「僕もその方が早いかなと思ったんだよ。思ったんだけどね。この森って結構木がでかいじゃない?目測だけだけど10m、大人の男性5~6人分はあるよ。

それだけの高さはね、落ちると怖いってのもあるし、大事大事な(妹分の)チルも載せているから、自分一人なら最悪なんとかなるんだけど、チルのことも考えると危険過ぎて出来ないよ。

それに、この魔法って、実験がまだまだやり足りてないから、上昇時の必要な魔素量とか、上空に必要な魔素があるかわからないからね。」

リュウ兄ちゃんが私のこと「大事」って2回も言ってくれた。幸せ~~~。もしかして、さっきのスキンシップが効果あったのかな。

「リュウの言う通りね、さっきも今も使っている『空飛ぶリヤカー』の魔法だけど、周囲からばくばく魔素を食べているわね。

自分の魔力を消費していないから、周囲から取り込む力がその分大きいのよ。それに、城の上空なら、魔素は転移ゲートも出来るくらいだから、沢山あるわ。

でも、ここは薬儒の森だから、上に行けばいくほど魔素が少なくなっているからおすすめは出来ないわね。仮に落ちたとしても、私は飛べるから大丈夫だけど、あなたたち二人は真っ逆さまに落ちるわよ。

私はとてもじゃないけど、二人を持って飛べないわよ。一人でも無理だけど。落ちたらきっと、干からびたカエルみたいにペシャンコになるわよ。」

「そうなんだ。死んじゃうかもしれないんだね。そこまでして、ショートカットはしたくないな。
リュウ兄ちゃん。さっきから、まっすぐ行かないで、横にそれたりしているけどなにかあるの?」

「あっそれはね。チル。魔猪らしき反応があるからなのよ。それをリュウが事前に察知して避けてるってわけ」

とティタニアが説明してくれた。あっ、そうかティタニアも魔素の濃い薄いがスキルがなくても感覚的にわかるんだっけ。

それにしても、魔素感知さんとっても優秀ですね。これがあったら、突然の奇襲も防げるし、獲物が欲しい時はサーチっぽいことも出来るし、マジ素敵ですわ。初めの頃は使えないスキルだと思ってたからごめんなさいね。

「そうなんだね。でも、今のリュウ兄ちゃんなら、仮にそのまま進んで、遭遇しても倒しちゃえばいいんじゃないの?」

「う~ん、ま~それもこれだけ位置と対象の大きさが特定出来たていたら、遠隔でも十分出来るよ。でもね、僕はあんまり無益な殺生はしたくないんだ。」

「どうして?魔猪は、人を襲ってくるから、倒せば、報酬も入るし、喜ばれるよ。倒せるなら倒した方がいいと思うんだけど。今は、人がいないけど、それを仕事にしてた人たちも前はいたし。」

「う~~ん、なんていうかな。僕らが魔猪のお肉を食べるために倒すっていうのは、僕らが生きるための糧になるからありかなって。

スライムとかは、こっちを攻撃してくるから、迎撃してる感じだし、殺されるくらいなら、先に倒すよ。

あとは、一匹くらいなら倒して持って帰るのもありだけど、目的地へ行くまでは、それを狩っても荷物になるだけだからね。腐るともったいないし。

あとは、乱獲しすぎると、ここの生態系が壊れて、どんな影響がでるかわからないからかな。
猪がいるから、猪を食べている動物もいるはずだし、それがいなくなったら、次は何を食べるのかなってね。
食物連鎖と生態系ピラミッドの話なんだけど、難しいしやめておこう。
そんな理由だけど、理解してくれたかな?」

「う~~ん、なんとなくわかったかも!?少なくとも無暗やたらに魔物でも倒さないことはわかったよ。結論はリュウ兄ちゃんは色々考えてて優しいってことだね。」

うん、飛びっきりの笑顔で、なんか違う結論にまとめてきたけど、そういうことにしておこう。

「ま~そういうことかな。」

「おっと、また、魔猪の反応が出てきた。ここら辺は巣でもあるのかな?さっきから頻繁に出くわしている気がする。」

「リュウの言う通りね。リュウもうちょっと魔素の知覚範囲を広げることはできる?あっちの方向に大きい猪と小さい猪の反応が3つほどあるわよ」

「う~~ん、知覚範囲の増大か。。。。。僕だと、目視できる範囲でしか、感知出来ないや。それは親子連れの猪みたいだね。余計に出くわさないようにしなきゃ。」

「そうかリュウはその距離は感知できないのね。その巣を中心として、まわりに猪が数匹いるのよ。
それをリュウが感知して、避けているから今のままだと、遠回りするだけして、目的地からどんどん離れることになるわよ。」

「えええ~~~っ、そうなの。教えてくれてありがとう。なら、どうするかな。地表を歩いて付近まで行くと、猪に遭遇しそうだし、それだけ周囲に数がいるとなると、戦闘したら、全部寄ってきそうだしな。

地表がダメなら、空中しかないか。幸い、猪より高く飛んでも、ここら辺の木の枝は高い所にしかないから、一応飛べるは飛べるか。」

「チル、リヤカーに乗って。空を飛んでゆっくりと回避しながら進むことにするよ」

「わかったよ。リュウ兄ちゃん。はいっ」
と言って、また両手を前にだしてきた。持ち上げて載せてくれか。
まだまだ子供だね~~~

僕はよいしょとお姫様抱っこして、リヤカーの中にチルお姫様を入れて差し上げた。
チルは上機嫌で僕に抱き着いてきていた。う~~ん、なんか家の時と大分対応が違う気がするんだけど、やっぱり、知らない場所に行くから怖いのかな。

僕も、リヤカーに乗りこんで、『浮遊』の魔法を発動して、リヤカーを浮かせた。ここからはゆっくりと空を飛んで、行く必要がある。長刀を装備して、チルには簡易で、帆を張ってもらっている。
帆は森に入るときに邪魔だから外して片づけておいたんだ。

でも、ここまで来ると、浅層とは違って、やっぱり生き物が多く住んでいるんだね。奥に進むともっといるのかもしれないな。
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