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第3章 雇われ勇者は、雇い主編
【雇用№030】雇われ勇者 戦闘訓練の開始 肉体系の部活の味がする
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ひとまず気を取り直して
「ただいま~~。」
「あっ、お帰りなさい。リュウお兄ちゃん」
モニカちゃんが飛びついて来て、迎えてくれる。
なんかさっきまでトボトボとしてたのが嘘のように引いて元気になってくる。
「リュウさん。お疲れさまです。お昼のお食事は出来てますので、みんなで先に頂いてますよ。」
「リュウ兄ちゃんおかえり。言われた通り灰の入った袋は、全部倉庫に入れといたよ。早くご飯たべなよ、あったかいのが冷めちゃうよ。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
美味しい食事が終わった後で
「で、リュウ兄ちゃん。帰ってくるの遅かったけど。何かあったの?」
「うん、ちょっと役所で色々と頼まれてね。明日でもまとめて報告するから、心配しないでね。」
「そうなんだ。わかったよ。帰ってきたとき、なんか元気なさそうに見えたから。なんでも言ってね。私なんでも手伝うから。」
「ありがと。チル。その気持ちがとても嬉しいよ。では午後の予定だけど、モニカちゃんとウェルザさんは引き続き午前と同じ要領で。
ポーション作りを明日から少しずつ始めることにしたので、出来る限り薬草を採取して下さい。チルは僕と一緒にグラマン隊長の所に行ってこよう。何か困ったことや不明なことはありませんでしたか?」
「「「大丈夫で~~す」」」
「皆さん元気の良いお返事のようでじゃ~。午後も元気よく頑張りましょ~」
「「おお~~~」」
とチームミーティングを朝と昼に今は軽く一回ずつやっている。仕事の時もそうだったけど、チームのメンバーがお互いどんな仕事して、どんな進捗で、どこで困っているかを共有するのって、かなり大事なことなんだよね。
たまに、自分で解決するって人や、忙しそうで声かけられない人もこの場だと報告してくれたりするから重宝している。時間がとられているんじゃない、お互いをサポートするために有効なことなのだよ。ワトソン君。
と、ま~僕の心配事を報告してないけど、雇われ勇者の雇われ経営者だからね。人に言えない秘密もあったりして、相談できる人材がいないわけですよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
町の門の詰め所にいるグラマン隊長にチルと二人で会いにいった。この時間帯は、ここで警備しているってさっきエルザさんに聞いたし。いるはずだよ。
「グラマン隊長こんにちは」
「リュウ。こんにちは。よく来てくれた」
「今日はお願いがあって、参りました。僕とチルを訓練対の戦闘訓練に参加させて下さい。この間の件もあって、二人だけで例の場所に行くためには、近接の戦闘訓練が必須と判断しました。」
「よい心がけだ。こないだの襲撃でさらっと二人の戦闘を端に見ていたが、チルにはまったくと言ってよいほど、それの経験が見当たらなかった。リュウは少し武道の心得があるように見えたが、実践経験が重なっておらず、上手く活用できなかったように見える。」
「ま~~、いきなり戦闘訓練をする気はないぞ。まずは体を作っていかないと、危ないからな。二人はまず、この訓練場の外周を20周してきなさい。終わったらストレッチを。それが二人とも完了したら、私に報告しなさい。では、始め」
まさか、中学の部活動みたいにウォーミングアップから始めるとは思ってなかった。でもグラマン隊長の指示なので黙って従っておこう。やりたいことと、身体がリンクしていないようなもどかしい感じはあったので。
と二人で、ランニングを始めた。
5週ほど走ったら、
「リュウ兄ちゃん。早いよ。ちょっと待って。はぁはぁ。」
チルが息をきらして、ひざに手をついて立ち止まっている。
「チル。自分のペースで無理せず、走ってきなよ。」
数分後、「もう、ダメ」チルがバテて倒れてしまった。
ちょっと走るスピードを速めて、チルのとこに近寄った。
「チル大丈夫かい?」
「もうだめ、起き上がるのも、苦しい。足がつって、痙攣してる。」
「ごめんね。ちょっと足を触るよ。」
「い痛い。触らないでよ。」
「完全に足がつってるわ。これ以上ランニングは無理だな。」
外周のランニングゾーンから、休憩できる木陰の椅子の所まで、お姫様だっこで、運んでいった。恥ずかしがることもできず、ただただチルは痛みにたえかねていた。
「はい、ここなら涼しいから、ゆっくり足を休めてて。そのうち収まるから」
『ミネラルウォーター』『アイスクーラー』
水分補給させて、熱を持っている足も軽く冷却しておいた。
「は~~、冷たくて、気持ちいいありがとリュウ兄ちゃん。」
「ん、じゃ~ランニングの続きしてくるから、なにかあれば呼べよ」
「うん、私はここで休んでいるから、頑張って」
リュウは一人だけ20周を完走した。うわ~~~、中学時代の時よりなまっているわ。社会人になってから、あんまり運動してなかったよね。こっちの世界にきてからも、農園仕事ととかして、身体は動かしてたけど。持久力がなくなっているわ。年だねきっと。
20周終わった瞬間に力が抜けて、地面に座りこんでしまった。
「はぁはぁはぁ」
「頑張ったようだな。リュウ。ま~ま~合格点だ。しかし、訓練をするためには、最低限そのくらいの体力は必要だぞ。焦って訓練をすると、逆に身体を痛めて、怪我をしてしまうからな。」
「はぁっ、はぁっ、おっしゃる通りですわ。隊長。しばらくはこの距離を走れるようにトレーニングしてみます。それが出来るようになってから、また訓練にこさせてもらいます。まだまだ、チルも僕も力不足ですわ。」
「うむ、いい判断だ。訓練場はいつでもあいているから、出来たと思ったらいつでもこい。もちろん、ここで走ってもよいからな。」
「はい、ありがとうございます。今日の所は失礼します。」
「うむ、二人とも帰りは気をつけて。しっかりとランニング後はストレッチをするんだぞ。」
「はい、わかりました」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
自宅へ帰る途中
「リュウ兄ちゃん。予定通り戦闘訓練できなかったね。これからどうするの?」
「そうだね。僕らには、持久力が不足していることがわかったから。グラマン隊長にはよいアドバイスがもらえたと思うよ。ここまで来る時間がもったいないから、農園管理をしながら、農園の外周を走ってまずは20周出来るように体力をつけよう。」
「ええ~~っ、また走るの?あんなに長い距離は無理だよ。」
「ああ~、わかっているよ。個人に合わせたメニューを考えないとね。チルは今よりももうちょっと走れるようになろう。ゆっくり、ゆっくり無理のないペースで進めて行こう。」
「う~~ん。わかったよ。リュウ兄ちゃん。そういえば、薬樹の森へはいつ行くつもりなの?」
「あ~~~まだ話してなかったかな。ティタニアにも話してからにしようと思ったけど。頼まれているポーション作りの仕事が最低限終わってからだね。」
「リュウ。私なら、ここにいるわよ。」チルのバッグから声だけ聞こえてくる。外を歩いているため、顔を出さないようだ。
「私としては、なるべく早くいきたい所よ。身体が治っていたら、すぐにでも飛んで行って作業したいもの。それに早くいくことには意味がちゃんとあるのよ。でもこれは外でする話じゃないわね。家に帰って3人だけになったら話すわ。」
「うん、わかったよ。後で話を聞かせてくれ。」
あ~頭が痛くなってきた、あっちでも急ぎ、こっちでも急ぎ。なにから優先してけばいいんだろう?
「リュウ兄ちゃん大丈夫?考えながら歩いていると危ないよ」
「あっ、ごめんどうしようか。また考えながら歩いてたわ。」
と話しているうちに着いたので、夕食を食べてウェルザさんとモニカちゃんが帰った後。
「じゃ~さっきの話を詳しく話すわね。急いでいるのは、私の精霊族の任務だからというだけではないのよ。人族、リュウやチル、ここに住んでいる人たちにも影響があるからなの。」
「どういうこと?」
首をかしげて聞くチル。
「精霊樹の苗木を薬儒の森に植えるということはね。精霊樹が魔素を浄化するって話はしたわよね。そして、魔素が集まって、転送ゲートの歪が表れていることも。
転送ゲートはね。魔法と同じく、ある一定以上の魔素が対象エリアに集まらないと発動しないよ。で、今この大陸には魔霊樹が5つおいてあり、魔素の集まる時間が早くなっているの。
通常はいくら龍脈の力が影響していても、1ヶ月ごとに転送ゲートの歪ができるのは異常なことなのよ。少しでもこの状況をよくするために精霊樹の苗木を植えることが必要になってくるの。
精霊樹の苗木を植えることで、今発生している魔素の幾分かが常時浄化され、転送ゲートの歪が発生するのが遅くなるわ。
そして、根本的に転送ゲートの歪を解決したいなら、5つある魔霊樹の伐採が必要になってくるのよ。わかったかしら?勇者リュウとチル?」
「転送ゲートと魔族の襲来が一ヶ月おきだったのは、そういうことだったのね。知らなかったわ。でもこれって凄く大事な話じゃないの?お城とか役所に報告した方がいいんじゃないの?」
「チル。それは前にもいったけど。ダメなのよ。精霊族の存在も精霊樹の在処も人間には知られてはいけないのよ。もともとここにも500~600年前までは精霊樹の大木があったのよ。
それを人族が、龍脈の力を最大限利用するために精霊樹を伐採し、城を建てたのが今の王国なのよ。」
「そうのか。ということは、精霊樹自体がこの国には今はなく。もしあったとしてたら、また、伐採されるかもしんれないってことか。」
「そういうことよ。リュウ。人間が全て信じられないわではないわ。でも時として、人は大儀をかかげ禁忌を人族の未来のために破ってしまうものなの。なので、この話は二人だけに話したの。」
「そうなんだね。なんか話が大きすぎて、理解が追い付かないよ。」
「急ぎなのもわかったし、精霊樹があれば、転送ゲートの発生を遅らせられるかも知れないこともわかった。でも、元々の魔素の発生源である魔霊樹を伐採すればいいのではないのか?」
「それが、そう簡単な話でもないのよ。リュウ。これだけ魔霊樹が育って、転送ゲートが頻繁に開いているってことは、魔霊樹自体がかなりの力を持っているってことなの。
あれは、龍脈の力も吸い取るけど、周囲の生き物からもエネルギーを吸いとるのよ。だから、若干魔素を中和した後で、対応策をとってからでないと近づくのも無理なのよ。」
「そんなに危ないものなのか。わかった。でもどんなに急いでも2週間は後だ。頼まれている緊急の仕事と準備が最低限終わらないと行くことができない。
確認だけど、薬儒の森に植えるっていっても、浅い所でなくて、奥にいってからだろ」
「そうよ。わかっているじゃない。リュウ。人が近寄らず。魔素の力も若干緩和される場所が薬儒ノ森にあるの。そこは森の奥深くになるわね」
「やっぱりそうだよな。なら。最低限の訓練してからでないとチルを連れていけない。浅い所から少し奥に入っただけ、魔猪がでてきて、危ないからな。」
「それは危ないね。Dランクの魔物でしょ。私じゃ無理だよ。逃げるにも猪じゃ、相手が悪すぎるよ。さっきの訓練みたいに途中で私はバテちゃうよ。」
「そういうことだ、最低限の体力をつけるた後、出発する。期限は今日より2週間後だ。」
そして、雇われ勇者リュウのスケジュールはどんどん過密とかしていく。相談する相手は、小さな妖精と自分より若くて小さい女の子。。。。。
僕は過密で倒れるのだろうか?は~~、テンプレ勇者なんて大嫌いだ。
次々とイベントが強制的に発生する。
「ただいま~~。」
「あっ、お帰りなさい。リュウお兄ちゃん」
モニカちゃんが飛びついて来て、迎えてくれる。
なんかさっきまでトボトボとしてたのが嘘のように引いて元気になってくる。
「リュウさん。お疲れさまです。お昼のお食事は出来てますので、みんなで先に頂いてますよ。」
「リュウ兄ちゃんおかえり。言われた通り灰の入った袋は、全部倉庫に入れといたよ。早くご飯たべなよ、あったかいのが冷めちゃうよ。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
美味しい食事が終わった後で
「で、リュウ兄ちゃん。帰ってくるの遅かったけど。何かあったの?」
「うん、ちょっと役所で色々と頼まれてね。明日でもまとめて報告するから、心配しないでね。」
「そうなんだ。わかったよ。帰ってきたとき、なんか元気なさそうに見えたから。なんでも言ってね。私なんでも手伝うから。」
「ありがと。チル。その気持ちがとても嬉しいよ。では午後の予定だけど、モニカちゃんとウェルザさんは引き続き午前と同じ要領で。
ポーション作りを明日から少しずつ始めることにしたので、出来る限り薬草を採取して下さい。チルは僕と一緒にグラマン隊長の所に行ってこよう。何か困ったことや不明なことはありませんでしたか?」
「「「大丈夫で~~す」」」
「皆さん元気の良いお返事のようでじゃ~。午後も元気よく頑張りましょ~」
「「おお~~~」」
とチームミーティングを朝と昼に今は軽く一回ずつやっている。仕事の時もそうだったけど、チームのメンバーがお互いどんな仕事して、どんな進捗で、どこで困っているかを共有するのって、かなり大事なことなんだよね。
たまに、自分で解決するって人や、忙しそうで声かけられない人もこの場だと報告してくれたりするから重宝している。時間がとられているんじゃない、お互いをサポートするために有効なことなのだよ。ワトソン君。
と、ま~僕の心配事を報告してないけど、雇われ勇者の雇われ経営者だからね。人に言えない秘密もあったりして、相談できる人材がいないわけですよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
町の門の詰め所にいるグラマン隊長にチルと二人で会いにいった。この時間帯は、ここで警備しているってさっきエルザさんに聞いたし。いるはずだよ。
「グラマン隊長こんにちは」
「リュウ。こんにちは。よく来てくれた」
「今日はお願いがあって、参りました。僕とチルを訓練対の戦闘訓練に参加させて下さい。この間の件もあって、二人だけで例の場所に行くためには、近接の戦闘訓練が必須と判断しました。」
「よい心がけだ。こないだの襲撃でさらっと二人の戦闘を端に見ていたが、チルにはまったくと言ってよいほど、それの経験が見当たらなかった。リュウは少し武道の心得があるように見えたが、実践経験が重なっておらず、上手く活用できなかったように見える。」
「ま~~、いきなり戦闘訓練をする気はないぞ。まずは体を作っていかないと、危ないからな。二人はまず、この訓練場の外周を20周してきなさい。終わったらストレッチを。それが二人とも完了したら、私に報告しなさい。では、始め」
まさか、中学の部活動みたいにウォーミングアップから始めるとは思ってなかった。でもグラマン隊長の指示なので黙って従っておこう。やりたいことと、身体がリンクしていないようなもどかしい感じはあったので。
と二人で、ランニングを始めた。
5週ほど走ったら、
「リュウ兄ちゃん。早いよ。ちょっと待って。はぁはぁ。」
チルが息をきらして、ひざに手をついて立ち止まっている。
「チル。自分のペースで無理せず、走ってきなよ。」
数分後、「もう、ダメ」チルがバテて倒れてしまった。
ちょっと走るスピードを速めて、チルのとこに近寄った。
「チル大丈夫かい?」
「もうだめ、起き上がるのも、苦しい。足がつって、痙攣してる。」
「ごめんね。ちょっと足を触るよ。」
「い痛い。触らないでよ。」
「完全に足がつってるわ。これ以上ランニングは無理だな。」
外周のランニングゾーンから、休憩できる木陰の椅子の所まで、お姫様だっこで、運んでいった。恥ずかしがることもできず、ただただチルは痛みにたえかねていた。
「はい、ここなら涼しいから、ゆっくり足を休めてて。そのうち収まるから」
『ミネラルウォーター』『アイスクーラー』
水分補給させて、熱を持っている足も軽く冷却しておいた。
「は~~、冷たくて、気持ちいいありがとリュウ兄ちゃん。」
「ん、じゃ~ランニングの続きしてくるから、なにかあれば呼べよ」
「うん、私はここで休んでいるから、頑張って」
リュウは一人だけ20周を完走した。うわ~~~、中学時代の時よりなまっているわ。社会人になってから、あんまり運動してなかったよね。こっちの世界にきてからも、農園仕事ととかして、身体は動かしてたけど。持久力がなくなっているわ。年だねきっと。
20周終わった瞬間に力が抜けて、地面に座りこんでしまった。
「はぁはぁはぁ」
「頑張ったようだな。リュウ。ま~ま~合格点だ。しかし、訓練をするためには、最低限そのくらいの体力は必要だぞ。焦って訓練をすると、逆に身体を痛めて、怪我をしてしまうからな。」
「はぁっ、はぁっ、おっしゃる通りですわ。隊長。しばらくはこの距離を走れるようにトレーニングしてみます。それが出来るようになってから、また訓練にこさせてもらいます。まだまだ、チルも僕も力不足ですわ。」
「うむ、いい判断だ。訓練場はいつでもあいているから、出来たと思ったらいつでもこい。もちろん、ここで走ってもよいからな。」
「はい、ありがとうございます。今日の所は失礼します。」
「うむ、二人とも帰りは気をつけて。しっかりとランニング後はストレッチをするんだぞ。」
「はい、わかりました」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
自宅へ帰る途中
「リュウ兄ちゃん。予定通り戦闘訓練できなかったね。これからどうするの?」
「そうだね。僕らには、持久力が不足していることがわかったから。グラマン隊長にはよいアドバイスがもらえたと思うよ。ここまで来る時間がもったいないから、農園管理をしながら、農園の外周を走ってまずは20周出来るように体力をつけよう。」
「ええ~~っ、また走るの?あんなに長い距離は無理だよ。」
「ああ~、わかっているよ。個人に合わせたメニューを考えないとね。チルは今よりももうちょっと走れるようになろう。ゆっくり、ゆっくり無理のないペースで進めて行こう。」
「う~~ん。わかったよ。リュウ兄ちゃん。そういえば、薬樹の森へはいつ行くつもりなの?」
「あ~~~まだ話してなかったかな。ティタニアにも話してからにしようと思ったけど。頼まれているポーション作りの仕事が最低限終わってからだね。」
「リュウ。私なら、ここにいるわよ。」チルのバッグから声だけ聞こえてくる。外を歩いているため、顔を出さないようだ。
「私としては、なるべく早くいきたい所よ。身体が治っていたら、すぐにでも飛んで行って作業したいもの。それに早くいくことには意味がちゃんとあるのよ。でもこれは外でする話じゃないわね。家に帰って3人だけになったら話すわ。」
「うん、わかったよ。後で話を聞かせてくれ。」
あ~頭が痛くなってきた、あっちでも急ぎ、こっちでも急ぎ。なにから優先してけばいいんだろう?
「リュウ兄ちゃん大丈夫?考えながら歩いていると危ないよ」
「あっ、ごめんどうしようか。また考えながら歩いてたわ。」
と話しているうちに着いたので、夕食を食べてウェルザさんとモニカちゃんが帰った後。
「じゃ~さっきの話を詳しく話すわね。急いでいるのは、私の精霊族の任務だからというだけではないのよ。人族、リュウやチル、ここに住んでいる人たちにも影響があるからなの。」
「どういうこと?」
首をかしげて聞くチル。
「精霊樹の苗木を薬儒の森に植えるということはね。精霊樹が魔素を浄化するって話はしたわよね。そして、魔素が集まって、転送ゲートの歪が表れていることも。
転送ゲートはね。魔法と同じく、ある一定以上の魔素が対象エリアに集まらないと発動しないよ。で、今この大陸には魔霊樹が5つおいてあり、魔素の集まる時間が早くなっているの。
通常はいくら龍脈の力が影響していても、1ヶ月ごとに転送ゲートの歪ができるのは異常なことなのよ。少しでもこの状況をよくするために精霊樹の苗木を植えることが必要になってくるの。
精霊樹の苗木を植えることで、今発生している魔素の幾分かが常時浄化され、転送ゲートの歪が発生するのが遅くなるわ。
そして、根本的に転送ゲートの歪を解決したいなら、5つある魔霊樹の伐採が必要になってくるのよ。わかったかしら?勇者リュウとチル?」
「転送ゲートと魔族の襲来が一ヶ月おきだったのは、そういうことだったのね。知らなかったわ。でもこれって凄く大事な話じゃないの?お城とか役所に報告した方がいいんじゃないの?」
「チル。それは前にもいったけど。ダメなのよ。精霊族の存在も精霊樹の在処も人間には知られてはいけないのよ。もともとここにも500~600年前までは精霊樹の大木があったのよ。
それを人族が、龍脈の力を最大限利用するために精霊樹を伐採し、城を建てたのが今の王国なのよ。」
「そうのか。ということは、精霊樹自体がこの国には今はなく。もしあったとしてたら、また、伐採されるかもしんれないってことか。」
「そういうことよ。リュウ。人間が全て信じられないわではないわ。でも時として、人は大儀をかかげ禁忌を人族の未来のために破ってしまうものなの。なので、この話は二人だけに話したの。」
「そうなんだね。なんか話が大きすぎて、理解が追い付かないよ。」
「急ぎなのもわかったし、精霊樹があれば、転送ゲートの発生を遅らせられるかも知れないこともわかった。でも、元々の魔素の発生源である魔霊樹を伐採すればいいのではないのか?」
「それが、そう簡単な話でもないのよ。リュウ。これだけ魔霊樹が育って、転送ゲートが頻繁に開いているってことは、魔霊樹自体がかなりの力を持っているってことなの。
あれは、龍脈の力も吸い取るけど、周囲の生き物からもエネルギーを吸いとるのよ。だから、若干魔素を中和した後で、対応策をとってからでないと近づくのも無理なのよ。」
「そんなに危ないものなのか。わかった。でもどんなに急いでも2週間は後だ。頼まれている緊急の仕事と準備が最低限終わらないと行くことができない。
確認だけど、薬儒の森に植えるっていっても、浅い所でなくて、奥にいってからだろ」
「そうよ。わかっているじゃない。リュウ。人が近寄らず。魔素の力も若干緩和される場所が薬儒ノ森にあるの。そこは森の奥深くになるわね」
「やっぱりそうだよな。なら。最低限の訓練してからでないとチルを連れていけない。浅い所から少し奥に入っただけ、魔猪がでてきて、危ないからな。」
「それは危ないね。Dランクの魔物でしょ。私じゃ無理だよ。逃げるにも猪じゃ、相手が悪すぎるよ。さっきの訓練みたいに途中で私はバテちゃうよ。」
「そういうことだ、最低限の体力をつけるた後、出発する。期限は今日より2週間後だ。」
そして、雇われ勇者リュウのスケジュールはどんどん過密とかしていく。相談する相手は、小さな妖精と自分より若くて小さい女の子。。。。。
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