【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~

近衛 愛

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第2章 魔族襲撃編

【雇用№015】雇われ勇者 魔族襲来 再び どうにもならない一日

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 ええ~い考えていても仕方ない。

「すいませ~ん。襲われている人のとこに向かいますので、ポーション2本ここに置いておきます。必要な方に使ってあげて下さい。重傷者優先で!!」

 と大声で叫んで、なけなしの青ポーション2本を地面に置いていく。

 人命は大切だ、これから怪我でなくなりそうな命、魔族に襲われていなくなるかもしれない人。
 優先順位なんかは本当はつけたくないけど、宿屋にはお世話になったチルがいる。
 目の前の知らない人よりも、これから襲われるであろう知っている親しい人を助けたい。

 そんな僕は、勇者なんかにはとてもじゃないけど、なれないと思う。大儀のために、親しい人を犠牲するなんて僕には出来ない。

 もし、チルが怪我をしていると思うと、ポーションも本来手元に置いておきたい。置きたいけど、目の前の人も見捨てられない。

 どうしようもない葛藤がリュウを苛む。
 考える時間も惜しい。前に進もう。
『疾風』

 またしても、風のように速くなったリュウは、襲撃されて慌てふためく町を、恐怖の声を上げて逃げ惑う人々の中を駆け抜けて、宿屋へと走っていく。
 なにも聞こえない。偽善に走るまいとする心が外部の音を遮断する。考えることは親しい人の安否のみ。

 間にあえ、間に合ってくれ。息も切れ切れになりながら走る。
 宿屋につくと、チル、おかみさん、どこかのおじさんがデーモン3匹、インプ4匹に囲まれている所だった。

 周りに町の警備をしている人らが、応戦はしている。
 デーモンの死体が2体、インプの死体が6体あり、善戦しているようだが。
 警備の人にも負傷者が3名ほどでている。

 どうする?『ヒートショック』で片づけるか?
 でも分散して襲ってこられたら、正直、どうにもならなくなる。
 一匹は当てることが出来ても、デーモン相手だと貫通性が低いから複数相手じゃ厳しい。
 親しい人を守りながら、自分の身をもって戦う?無理だわ。

 幸い空中にいるし『フレイムガトリング』で一斉掃射するか?
 それも厳しい。火の玉が落ちて、もしあたったらと思うとそんな危険はおかせない。

 どうするどうする?敵との距離はまだまだ空いている。こっちに方向転換して襲ってくるまでに時間もある。さっきと一緒で、まずは庇護対象を守ることにしよう。
 魔法を放つと、こっちに攻撃してきそうが。。。。。

 考えるのは後にしよう。出来ること。やれることを瞬間瞬間で判断して実行していくだけだ!!

『アースシールド』4連発
『ガン、ガン、ガン、ガン』
 今度は、スキマを空けて4方向に配置した。隙間なく配置すると、3人まとめて収納が難しいからね。

 攻撃しようとしていた、デーモンやインプが一部の爪が土壁にあたるが、突進しているわけではないので、倒れたりはしなかった。攻撃に参加せず上で旋回していたデーモンに僕の存在が見つかった。

『キツキキ―ッ』
 僕の方を指さしデーモンの一人が叫んだ。
 どうやらあいつが指示役のようだ。

 僕の方にインプ2匹とデーモン1匹が飛んでくる。他のやつは警備隊が抑えてくれているようだ。

 なんで、僕のとこに3匹も来るんだよ。おかしいだろ。お願いだから一匹ずつにしてよ。
 あ~~~も~~想定外だ。やっぱり考えて動けばよかった。

 突進してくるから、土壁生成で対応したいけど、3匹じゃ、1体しか嵌められないし。
 避けてこられたら、長刀での回避も難しい。

 デーモンが一体にインプが2体か。。。。
 インプ相手なら、『ヒートショック』で貫通・切断が出来る。2体一遍にいけるかどうかわからないけど、それしかない。
『ヒートショック』向かってくるインプを指さし、熱線を放つ。

 インプの一匹目には上手いこと、頭を直撃し、倒すことができた。2匹目は、左方向にいる。その間にデーモンもいるがかまうもんかやってしまえ。2匹目のインプ目がけて指先を切るように動かす。

 熱線が移動し、デーモンの足に当たったが、切断することもなく、表面を焦がして、横切っていく。
 インプが驚き、回避行動をとろうとした。上に逃げようと、上昇しようとするが、指先をインプの動きに合わせて動かしていく。インプの足と羽を一部切断したとこで、『ヒートショック』の魔法が終わった。

 仕留めは出来なかったけど、戦力は削った。まずは上々。後は目の前に飛んできているデーモンをなんとかできれば。。。。

 今回も、長刀の払い回しで、デーモンの軌道を変えたかったが、熱線を放った直後のため、動作が遅れた。長刀の先端にデーモンの爪が衝突してきた。

 慌てて、熱線を使用していた手を長刀に添える。が、少し遅く長刀が弾き飛ばされて、手の届かない所へ飛んで行ってしまった。

 片方の手だけでは、衝撃を受け止めきれなかった。僕自身も衝撃を受けてしまったため、直撃は避けられたが、後ろに倒れてしまった。
 デーモンは僕のいた所を通過し、空中に飛び上がっていた。
 ピンチだ!!体勢も悪く、魔族に特攻のある長刀まで、なくなってしまった。
 どうする?リュウ?
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