【完結・短編】創作スキルと占い師 〜小説家の卵に創作スキルは必要ですか?〜

近衛 愛

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怪しい占い師の正体は? その1

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「栞さん、このスキルオーブを見て、あなたこう思いませんでしたか?漫画やゲームのやり過ぎでしょ。新手の霊干商法かなって?」

  えっ、えーーーっ、この占い師の人なんで私の名前言っちゃってるの?えっ、私、自己紹介した?してないよね。なら。なんで?もしかして……。

 胸元を見てみるけど、名札カードは付いていない。うちの会社は、大勢人数がいて、部署や名前が覚えきれないので、出社したら名札カードを首からぶら下げる事になっているんだよ。

 前に会社出た後に鞄の中に入れるのを忘れて、スーパーに買い物に行った時は恥ずかしかったな。すれ違う人、すれ違う人が何故かチラッと私の方に視線を寄せて、いくからなんでだろと思っていたからね。社名が入っていないのが幸いでした。社名を持って、外でちょっとしたルールを破ったりすると、近隣の住民からクレームが会社に入るものだからなるべく社名を背負って外を歩きたくはないかな。

 いや、別に私がルールを破っているとかじゃなくてね、そういう風に見られるから、いつも以上に気を遣って疲れるってことね。

 
 でも、名札もない自己紹介もしていない。じゃ~なんで私の名前がわかるのかしら?もしかして、最近ニュースで流行っているオレオレ詐欺とかのもので、顔つき、名前入りの名簿が出回っていて、それで今回は私をターゲットにして、接触しに来たとか?

 なにそれ、凄く怖い。これ以上いると不味いから、さっさとこの場から離れよう。話のネタが聞けなくなるの残念だし、体験以上に使えるネタはないんだけど、それよりも自分の安全の方が大切だよね。

「あっ、時間なんです失礼しますね。ありがとうございます。」

 私は、そそくさと手荷物を持って立ち上がる。そっと、テーブルをついて離れようとした腕を掴まれる。

「待って下さい。お願いします。お願いします。もう少しだけ時間を下さい。悪徳商法でも、オラオラ詐欺でもありません。お名前言ったら、占い師としての格が上がると思ったんだけど、失敗でしたね。すみません。名前は名簿業者からではありません。今あなたを見て、分かったんです。」

「占い師さんもう分かりましたから、離して下さい。見て分かったって冗談も休み休み言って下さい。ゲームや小説じゃあるまいし、見て、人の名前が分かるわけないでしょう。」

「お願いします。信じて下さい。嘘の様な本当の話なんですけど、鑑定のスキルが私は使えるんです。それを使うと、対象の年齢や職業、名前が見られるんです。あっ、信じてませんね。わかりました。では、あなたの名前と年齢と3サイズを大声で喋りますね。」

「ちょっとちょっと待って下さい。分かりました。信じます。信じますよ。」

 はぁーどうしてこんなことになったんだろう。ありえない話ではあるけど、もし万が一この占い師の言葉が真実だった場合、私の個人情報が多くの人にばれてしまう。胸がある様に見せるためにバットを何枚か重ねている事がバレたら、私は恥ずかしくてこれから生きていけなくなる。
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