114 / 138
【閑話】年末のダンジョン
【閑話】お正月その7
しおりを挟む
「ありがとみゃ~。ご主人。もう一回行くニャー」
「ああ、こい。ミリィ。ついたら何度でも剥がしてあげるよ。」
「ぺったん」
今度は、餅が杵にくっつかずに綺麗に剝がれた。
「ご主人、上手くいったみゃ~」
また餅米を中央に寄せる。そして、水をぺしゃっと中央に叩きつける。
「よいしょ、はいっ」
「いっくみや~」
何度かついて、相の手を入れたら、だんだん調子が合ってきて、さらには途中から小咲先生の
「パンっパンッ」
という拍子が、僕とミリィの動作を促すようにリズムをとって行われた。
「パンっ」「ペッたん」
「パンっ」「ぺしっ」
「パンっ」「ペッたん」
「パンっ」「ぺしっ」
・
・
・
・
途中からどんどんスピードが上がって、危うくちょっと、手間取って餅を中央に寄せたら、ミリィが杵を振り下ろしてくる一面もあったりと、油断が出来ない状況になったりもした。でも、そのスピィーディーな作業の結果
「は~~い、お二人ともお疲れ様、もういいですよ~~」
小咲先生からのお墨付きの合格が出た。慣れない作業に疲れて、終わった途端僕は地面に座ってしまった。汗も出ていたので拭おうとすると、べちょっと、白い物体が顔につく。
「んっ、なんかついたぞ」
「ご主人。にゃはははは~~~~。お餅が顔についているにゃ~~」
「えっ、お餅?あ~~~、相の手を入れてたから、掌(てのひら)の所々にお餅の断片がついている」
「ウィーンさん、水に濡らしていても、どうしてもお餅はこびりついちゃうんですよ。早くとらないと、固まって取れにくくなりますよ。」
「え~~~~っ、そうなんですか。あっ、そういえばさっき髪も触ってたような。」
「そうなんですか?どれどれ、ちょっとしゃがんで下さいね。あっ確かに少し、ついてしまってますね。ちょっと水に濡らして・・・・っと、大きいのは取れましたよ。残りは取れないですから、お風呂に入ったときにでも落としてくださいね。自分の手についたやつは食べちゃってくださいね。ちょっと塩味が効いていて美味しいですよ。」
「小咲ちゃんありがとう。」
もぐっと手についたやつを食べてみる。うん、確かに少し塩味が効いていて
「美味しいですね。つきたてのお餅ってこんなに美味しいものなんですね」
「へへへっ、つきたてが美味しいのもありますけど、体を動かした後ですからね余計に美味しく感じるんですよ。」
その後も、蒸籠が次々と上がってくるので、交代で餅をついていた。出来上がったお餅は交代交代で休憩をしながら整形をしていった。今から軽く生食するお餅、それに職場や受付に飾るようの鏡餅、そして、カキモチも作ることになった。カキモチは、冷蔵庫のない時代に保存食という意味で作られることが多かったそうだ。
長方形の木枠に、剥離用の小麦粉を満遍なくつけ、先ほどついたお餅をどんどん入れて、空気が入らないように押し詰めていく。その後に、また小麦粉を剥離用に上からまぶしていく。そのうえに薄い紙をしいて、重りを乗せ完成だ。あとはある程度冷めて、固めるまで放置して、固まったら、薄く切っていって、風通しの良い所で干しておけば完成だ。
その日は、出来上がりのお餅を色々な味付けで食べて、一段落した。年末ももう残りわずかだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
新しい年までもう僅かな時間となった。遊びに来てくれた皆さんがスキーや温泉、オアシスで遊んでいる間に、僕とミリィと小咲ちゃんは、制御室の掃除や身の回りのお正月の準備に明け暮れていた。
それも夕方までになんとか終わり、宴会上になっているダンジョン2階フロアの雪山:別称物の怪の集いに集まった。
そこにつくと遊びに来てくれた玉藻姉さん達が、既に温泉にどっぷりと浸かって、お酒を飲んでいた。他の人は男女別に温泉に入っているが、相変わらず雪那さんだけは、一人で冷泉に浸かっている。
僕らも、ヨシさんと天満さんがゆでてくれたお蕎麦に、玉藻姉さんとサクラちゃんが揚げてくれた天ぷらと、雪那さんがおろしてくれた、大根おろしに山芋をかけた特性天ぷらそばを温泉につかりながら食べていた。
今年も残りわずかである。
「あ~~美味しいですね。このお蕎麦」
「そやろ、戸隠そばやさかいな。味わってくえやそうそう味わえるもんやないで。」
「ウィーンちゃん、天ぷらはどうかな?揚げたて熱々だよ。」
「サクラちゃんこれも美味しいですよ。」
「ウィーンさん、これもいれたら美味しいですよ。先ほど焼き上げたお餅です。どうぞ。」
小咲ちゃんは、あろうことか先日ついたお餅を温泉近くに簡易、竈を置いて、網焼きしたようだ。ぷく~~~っと膨れ上がったお餅が、『ぽちょん』とお蕎麦のつゆの中に入れられる。
「え~~っと、お蕎麦にお餅って入るものなんですか?」
「わいはあんまり聞かへんな。でも、大阪やと、ご飯のおかずにお好み焼きや、タコ焼きを食べるから似たようなもんやないか?」
「ふっふっふっ、ま~騙されたと思って食べて下さいよ。お雑煮と似たようなものですから、お蕎麦のつゆを吸って、お餅がいい感じになるんですよ。」
「ああ、こい。ミリィ。ついたら何度でも剥がしてあげるよ。」
「ぺったん」
今度は、餅が杵にくっつかずに綺麗に剝がれた。
「ご主人、上手くいったみゃ~」
また餅米を中央に寄せる。そして、水をぺしゃっと中央に叩きつける。
「よいしょ、はいっ」
「いっくみや~」
何度かついて、相の手を入れたら、だんだん調子が合ってきて、さらには途中から小咲先生の
「パンっパンッ」
という拍子が、僕とミリィの動作を促すようにリズムをとって行われた。
「パンっ」「ペッたん」
「パンっ」「ぺしっ」
「パンっ」「ペッたん」
「パンっ」「ぺしっ」
・
・
・
・
途中からどんどんスピードが上がって、危うくちょっと、手間取って餅を中央に寄せたら、ミリィが杵を振り下ろしてくる一面もあったりと、油断が出来ない状況になったりもした。でも、そのスピィーディーな作業の結果
「は~~い、お二人ともお疲れ様、もういいですよ~~」
小咲先生からのお墨付きの合格が出た。慣れない作業に疲れて、終わった途端僕は地面に座ってしまった。汗も出ていたので拭おうとすると、べちょっと、白い物体が顔につく。
「んっ、なんかついたぞ」
「ご主人。にゃはははは~~~~。お餅が顔についているにゃ~~」
「えっ、お餅?あ~~~、相の手を入れてたから、掌(てのひら)の所々にお餅の断片がついている」
「ウィーンさん、水に濡らしていても、どうしてもお餅はこびりついちゃうんですよ。早くとらないと、固まって取れにくくなりますよ。」
「え~~~~っ、そうなんですか。あっ、そういえばさっき髪も触ってたような。」
「そうなんですか?どれどれ、ちょっとしゃがんで下さいね。あっ確かに少し、ついてしまってますね。ちょっと水に濡らして・・・・っと、大きいのは取れましたよ。残りは取れないですから、お風呂に入ったときにでも落としてくださいね。自分の手についたやつは食べちゃってくださいね。ちょっと塩味が効いていて美味しいですよ。」
「小咲ちゃんありがとう。」
もぐっと手についたやつを食べてみる。うん、確かに少し塩味が効いていて
「美味しいですね。つきたてのお餅ってこんなに美味しいものなんですね」
「へへへっ、つきたてが美味しいのもありますけど、体を動かした後ですからね余計に美味しく感じるんですよ。」
その後も、蒸籠が次々と上がってくるので、交代で餅をついていた。出来上がったお餅は交代交代で休憩をしながら整形をしていった。今から軽く生食するお餅、それに職場や受付に飾るようの鏡餅、そして、カキモチも作ることになった。カキモチは、冷蔵庫のない時代に保存食という意味で作られることが多かったそうだ。
長方形の木枠に、剥離用の小麦粉を満遍なくつけ、先ほどついたお餅をどんどん入れて、空気が入らないように押し詰めていく。その後に、また小麦粉を剥離用に上からまぶしていく。そのうえに薄い紙をしいて、重りを乗せ完成だ。あとはある程度冷めて、固めるまで放置して、固まったら、薄く切っていって、風通しの良い所で干しておけば完成だ。
その日は、出来上がりのお餅を色々な味付けで食べて、一段落した。年末ももう残りわずかだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
新しい年までもう僅かな時間となった。遊びに来てくれた皆さんがスキーや温泉、オアシスで遊んでいる間に、僕とミリィと小咲ちゃんは、制御室の掃除や身の回りのお正月の準備に明け暮れていた。
それも夕方までになんとか終わり、宴会上になっているダンジョン2階フロアの雪山:別称物の怪の集いに集まった。
そこにつくと遊びに来てくれた玉藻姉さん達が、既に温泉にどっぷりと浸かって、お酒を飲んでいた。他の人は男女別に温泉に入っているが、相変わらず雪那さんだけは、一人で冷泉に浸かっている。
僕らも、ヨシさんと天満さんがゆでてくれたお蕎麦に、玉藻姉さんとサクラちゃんが揚げてくれた天ぷらと、雪那さんがおろしてくれた、大根おろしに山芋をかけた特性天ぷらそばを温泉につかりながら食べていた。
今年も残りわずかである。
「あ~~美味しいですね。このお蕎麦」
「そやろ、戸隠そばやさかいな。味わってくえやそうそう味わえるもんやないで。」
「ウィーンちゃん、天ぷらはどうかな?揚げたて熱々だよ。」
「サクラちゃんこれも美味しいですよ。」
「ウィーンさん、これもいれたら美味しいですよ。先ほど焼き上げたお餅です。どうぞ。」
小咲ちゃんは、あろうことか先日ついたお餅を温泉近くに簡易、竈を置いて、網焼きしたようだ。ぷく~~~っと膨れ上がったお餅が、『ぽちょん』とお蕎麦のつゆの中に入れられる。
「え~~っと、お蕎麦にお餅って入るものなんですか?」
「わいはあんまり聞かへんな。でも、大阪やと、ご飯のおかずにお好み焼きや、タコ焼きを食べるから似たようなもんやないか?」
「ふっふっふっ、ま~騙されたと思って食べて下さいよ。お雑煮と似たようなものですから、お蕎麦のつゆを吸って、お餅がいい感じになるんですよ。」
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる