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【閑話】年末のダンジョン
【閑話】お正月その6
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「ミリィちゃんもですね。妲己さんは、つきたてのお餅を一口サイズに丸めて試食してますね。では雪那さん、ミリィちゃんに杵の付き方を教えて下さい。」
「はぁ~~い。今行きます」
「ではウィーンさんには私が直々に教えますね。いつも教わっている人に物を教えるとは別の意味で快感になりそうですね」
「小咲ちゃんお手柔らかにお願いしますね。」
「ええ、大丈夫ですよ。いつもウィーンさんが私達に教えてくれるように丁寧に教えますね。」
僕と同じ様に?それは一体どういう意味なのだろうか?僕の教え方が丁寧だということか?それとも?????いつもしている無茶ぶりの仕返しという事だろうか?僕の教え方が上手か下手かが問われることになるのか?
「ええ、小咲先生是非ご教授お願いします。」
「では教えますね。まず、隣に置いてあるボールの中に入っている水に手をつけます。」
「はいっ、これは何をするためにするのでしょうか?清潔感を保つためですか?」
「いえ、それは調理する前に手を洗っているので関係ありませんね。これは、もち米自体は問題ないのですが、お餅をつくと、粘り気が出てきて手にひっつくし、餅が臼にも引っ付いて剥がしにくくなるんですね。お水で水分をある程度含んでおくと、剥がしやすくなるのでその為です。あと炊き立ての餅米は熱々ですから少しでも熱さを和らげるためですね。」
なるほど、確かにあの湯気が出るほど熱いもち米をひっくり返すのは至難の技かもしれませんね。
「では、あちらはまだ、指導している最中の様ですから、ためしに、もち米を中央に山の様に持ってみましょうか。やり方は砂遊びで山を作るような感じです。周りから集めて中央に盛るですね。」
「はいっ」
両手を水の中に入れて、水分を手に補給する。そして一気にそのまま臼の中のもち米を触りにいく。
「あっ熱い」
もち米に触ると一気に手の皮膚に浸透してきた。水で冷やした状態でもかなり熱い。長時間触っているなんて無理だ。だから、小咲ちゃんは、返し手を入れる際にスピーディーにそして、適格に一手だけで返していたのか。
「ほらほら、ウィーンさん何も餅米は移動してないですよ。早くしないと冷めて固くなっちゃいますよ。ほらほら」
小咲ちゃんがやたら煽ってくる。いや、本当に短時間でしないと固まってしまうから、熱い内にするには素早くしなきゃいけないからそれはそうなんだけど。僕の教え方を真似ているって言ってたから、僕の教え方がそういう煽りが入っているってこと。
「さっ、ウィーンさん早く早く。」
「パンパン」
と柏手を叩いて、早くするように急かしてくる。
でも、料理である以上は、調理する際のベストな時間は確かに存在する。揚げ物は、タイミングよく揚げなければ、焦げてしまうし。煮物は煮込み過ぎると柔らかくなって型崩れしてしまう。
僕はもう一度、ボールに手を入れ、手を冷やす。そして、その間にどう動くかイメージする。周りからぐるっと引っ張って一気に盛り上げて山を作るやり方は時間が懸るので、それでは集めている最中に熱で手がやられてしまう。なら、それよりもっと短時間で行えばいい。
外側から一直線に中央に持って行くことにしよう。それなら最短経路を進むから短時間で済む。
「よしっ」
一気に臼の近くに移動し、目にも見えぬ早業で、もち米を両脇から掬い、中央に乗せる。
「あつっ。」
でも短時間でやったおかげかさっきよりも熱くはない。これならぎりぎり出来そうだ。
「ウィーンさんいいですよ。その相の手をミリィちゃんがついたらすぐにするんですよ。つく方と返し手の息が合えば合う程短時間で美味しいお餅が出来上がりますからね。」
「はいっ」
「さぁでは、ミリィちゃんの指導も終わった様ですし、これから本番行きますよ。よ~~いスタート!!」
小咲ちゃん走るんじゃないんだからその掛け声はいかがなものかと…………。
「ご主人行くにゃ~。危ないから離れるにゃ~」
ミリィが僕が先ほど使ったものよりも一回り小さい杵を振り上げて下ろしてきた。
「ぺたんっ」
見事に臼の中央に杵が振り下ろされる。もち米がつぶされ、杵の余波でもち米が臼の縁にはみ出てくる。しかし、杵が中央からどかない。
「みゃ~~、引っ付いたにゃ~。」
「ウィーンさん、杵ともち米を離して下さい」
僕は言われたまま、臼ともち米を離す。
「ありがとにゃ~ご主人」
ミリィの力だと、即座に杵は持ち上げられないようだ。これも相の手をする人の役割ということか。ミリィが振り上げる前にもう一度、手に水をつけ、もち米を中央に寄せる。
「はいっ」
「いっくにゃ~~」
「ペタン」
「ふみゃ~~。またくっついたにゃ~ご主人~~」
「ウィーンさん、もう少し中央のもち米には水を含ませて下さい。それで、杵ともち米はくっつきにくくなるはずです。」
「はいっ」
僕はまた同じことをして、杵を外し、餅米を中央に寄せ、さらに水を片手で掬い、
「ぺしゃっ」
と水を含んだ手で中央を叩く。
「はぁ~~い。今行きます」
「ではウィーンさんには私が直々に教えますね。いつも教わっている人に物を教えるとは別の意味で快感になりそうですね」
「小咲ちゃんお手柔らかにお願いしますね。」
「ええ、大丈夫ですよ。いつもウィーンさんが私達に教えてくれるように丁寧に教えますね。」
僕と同じ様に?それは一体どういう意味なのだろうか?僕の教え方が丁寧だということか?それとも?????いつもしている無茶ぶりの仕返しという事だろうか?僕の教え方が上手か下手かが問われることになるのか?
「ええ、小咲先生是非ご教授お願いします。」
「では教えますね。まず、隣に置いてあるボールの中に入っている水に手をつけます。」
「はいっ、これは何をするためにするのでしょうか?清潔感を保つためですか?」
「いえ、それは調理する前に手を洗っているので関係ありませんね。これは、もち米自体は問題ないのですが、お餅をつくと、粘り気が出てきて手にひっつくし、餅が臼にも引っ付いて剥がしにくくなるんですね。お水で水分をある程度含んでおくと、剥がしやすくなるのでその為です。あと炊き立ての餅米は熱々ですから少しでも熱さを和らげるためですね。」
なるほど、確かにあの湯気が出るほど熱いもち米をひっくり返すのは至難の技かもしれませんね。
「では、あちらはまだ、指導している最中の様ですから、ためしに、もち米を中央に山の様に持ってみましょうか。やり方は砂遊びで山を作るような感じです。周りから集めて中央に盛るですね。」
「はいっ」
両手を水の中に入れて、水分を手に補給する。そして一気にそのまま臼の中のもち米を触りにいく。
「あっ熱い」
もち米に触ると一気に手の皮膚に浸透してきた。水で冷やした状態でもかなり熱い。長時間触っているなんて無理だ。だから、小咲ちゃんは、返し手を入れる際にスピーディーにそして、適格に一手だけで返していたのか。
「ほらほら、ウィーンさん何も餅米は移動してないですよ。早くしないと冷めて固くなっちゃいますよ。ほらほら」
小咲ちゃんがやたら煽ってくる。いや、本当に短時間でしないと固まってしまうから、熱い内にするには素早くしなきゃいけないからそれはそうなんだけど。僕の教え方を真似ているって言ってたから、僕の教え方がそういう煽りが入っているってこと。
「さっ、ウィーンさん早く早く。」
「パンパン」
と柏手を叩いて、早くするように急かしてくる。
でも、料理である以上は、調理する際のベストな時間は確かに存在する。揚げ物は、タイミングよく揚げなければ、焦げてしまうし。煮物は煮込み過ぎると柔らかくなって型崩れしてしまう。
僕はもう一度、ボールに手を入れ、手を冷やす。そして、その間にどう動くかイメージする。周りからぐるっと引っ張って一気に盛り上げて山を作るやり方は時間が懸るので、それでは集めている最中に熱で手がやられてしまう。なら、それよりもっと短時間で行えばいい。
外側から一直線に中央に持って行くことにしよう。それなら最短経路を進むから短時間で済む。
「よしっ」
一気に臼の近くに移動し、目にも見えぬ早業で、もち米を両脇から掬い、中央に乗せる。
「あつっ。」
でも短時間でやったおかげかさっきよりも熱くはない。これならぎりぎり出来そうだ。
「ウィーンさんいいですよ。その相の手をミリィちゃんがついたらすぐにするんですよ。つく方と返し手の息が合えば合う程短時間で美味しいお餅が出来上がりますからね。」
「はいっ」
「さぁでは、ミリィちゃんの指導も終わった様ですし、これから本番行きますよ。よ~~いスタート!!」
小咲ちゃん走るんじゃないんだからその掛け声はいかがなものかと…………。
「ご主人行くにゃ~。危ないから離れるにゃ~」
ミリィが僕が先ほど使ったものよりも一回り小さい杵を振り上げて下ろしてきた。
「ぺたんっ」
見事に臼の中央に杵が振り下ろされる。もち米がつぶされ、杵の余波でもち米が臼の縁にはみ出てくる。しかし、杵が中央からどかない。
「みゃ~~、引っ付いたにゃ~。」
「ウィーンさん、杵ともち米を離して下さい」
僕は言われたまま、臼ともち米を離す。
「ありがとにゃ~ご主人」
ミリィの力だと、即座に杵は持ち上げられないようだ。これも相の手をする人の役割ということか。ミリィが振り上げる前にもう一度、手に水をつけ、もち米を中央に寄せる。
「はいっ」
「いっくにゃ~~」
「ペタン」
「ふみゃ~~。またくっついたにゃ~ご主人~~」
「ウィーンさん、もう少し中央のもち米には水を含ませて下さい。それで、杵ともち米はくっつきにくくなるはずです。」
「はいっ」
僕はまた同じことをして、杵を外し、餅米を中央に寄せ、さらに水を片手で掬い、
「ぺしゃっ」
と水を含んだ手で中央を叩く。
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