112 / 138
【閑話】年末のダンジョン
【閑話】お正月その5
しおりを挟む
「分かりました僕も男です。なら頑張って美味しいいお餅をつきましょう。」
「はい、ならウィーンさんも袖が邪魔になるからこれで、裾を結んで頂戴ね」
と小咲ちゃんがたすきを渡してくる。
僕は背中にたすきをひっかけ、背中でクロスするように、前にたすきをもってきて、袖が邪魔にならないように結んだ。
「さっ、準備はOKです。」
「じゃっ、ウィーンさん。これを持ってね。」
と妲己姉さんが先ほどよりも大きくて重い杵を渡してきた。
「妲己姉さん。さっきより重いのですが…………。」
「ウィーンさんなら大丈夫よ~~ん。わらわは大きいのが好みなのよん。さっ、もち米が冷える前にやってしまうわよん。大丈夫よんわらわが丁寧に教えるわん。」
「はい、お願いします」
「まずは、杵を大きく振りかぶるでしょん」
「こうですか?」
「違うわよん。右手は、こうね、先端に近い方がいいわん。う~ん、ここねん。で左手は、一番端を持つのよん。梃子の原理ってわかるわよねん。なるべく、支点から離れていた方が力が増すのよん。」
妲己姉さんはそう言って、露出の大きい衣装で、身を寄せて、僕の手を取りながら、適切な位置に手を置いてくる。年末最後にこの状況とは果たして理性を保つ事が出来るのだろうか?
「なるほど、力学的に最小の力でより最大の力を引き出すためのものなんですね。それだと右手も持ち手に近い方が力が出るのでは?」
「やってみればわかるわん。」
「はいっ」
と振り下ろす。
「ガンっ」
杵で打つ先が少しずれてしまって、もち米ではなく、臼の縁にあたってしまった。『ジーン』と少し手に痺れが走る。
「ほらねん。いくら吸血鬼のウィーンさんだって、そんな先端に重いものをつけていたら、中々思う通りに振り下ろせないわよん。だからね。力の方向を安定させるためにもこの右手はここにいるのよん」
と僕の右手を妲己姉さんは両手で優しく包んで、杵の先端の重りのある方に持って行く。うん。いい香りがして、少し理性が保てなくなってくる。何度もされると流石にまずい気もする。なるべく妲己姉さんの言うことを聞いて、手取り足取りのご指導がないようにしないと身がもたないよ。
「分かりました、ありがとうございます。ですから、妲己姉さん離れてください。」
「ええん、わらわがせっかく密着して丁寧に教えているのにん。ウィーンさんは御不満なのん?」
「いえ、そういうわけでは在りませんが、妲己姉さんの色香が強くて自制心を保つのが厳しいのですよ。」
「あらんそうかしらん。ふふっ」
と笑って離れてくれた。ありがたい。これで集中してすることが出来る。でもおかしいな。楽しいこと好きの妲己姉さんなら、ここぞとばかりに何かしてくると思ったんだが杞憂(きゆう)だったか。
「ではもう一度やりますね。振り上げて、素早く振り下ろす。」
「ポンっ」
「多いい音が出ましたよ。」
「そうねん、中々いい恰好だったわん。その調子でどんどんお餅をついてねん。さっその間に、小咲さんは、お餅をひっくり返してねん」
「はいっ」
と小咲ちゃんが杵が振り下ろされて、周りにもち米が飛んで行ったのを打ちやすいように集めてくれる。
「はいっ」
「はいっ、ウィーンさん小咲さんの準備が終わったみたいよん。またお餅をついてねん」
「ポンっ」
「はいっ」
「ポンっ」
「はいっ」
「ポンっ」
「はいっ」
・
・
・
・
・
何十回振り下ろしただろうか、やっぱり杵が重いせいだろうか?結構杵を打ち上げる手が厳しくなってくる。でもそのかいあって、もち米は※の形を維持できなくなり、真っ白な丸いお餅の形となった。
「あらん、いい感じになったわねん。ウィーンさんも小咲さんもご苦労様ねん」
そう言って、妲己姉さんは、白いお餅を持ってきたまな板の上に濡らした手でさっと移し替えて、テーブルの上に持って行った。
「おお~~い、ウイーンつき終ったんなら、はよ次もってかんかい。」
「は~い、今行きます。」
もう時間との闘いである。次から次へともち米が炊きあがってくるので、次々と餅を叩いていかなければならない。次のもち米をさっき使っていた臼に移し替える。湯気が上がるがもう、あの熱いことはしたくないので、回避はばっりちだ。
「次、次はミリィがやるにゃ~~~。」
今まで見ていたミリィが参戦を申し出てきた。
「じゃ~~次は、ミリィちゃんとウィーンさんのコンビでお願いしますね。」
「ミリィはどっちをやりたい?」
「ご主人みたいにぺったんぺったんやりたにゃ~」
「なら僕はお餅をひっくり返す方をやるね」
「お願いするにゃ~」
「ウィーンさん返し手はやったことがあるんですか?」
「返し手ですか?」
「ええ、お餅をひっくり返す役の人を相の手とか返し手と呼ぶんですよ。ということは初めてなんですね」
「ええ、餅つき自体初めてでさっきお餅をつくのをしたばかりですから?」
「宜しいでは、私が教えますね。ミリィちゃんも初めてなんだよね。」
「そうにゃ~、ミリィも初めてだにゃ~。ミリィにも教えて欲しいにゃ~」
「はい、ならウィーンさんも袖が邪魔になるからこれで、裾を結んで頂戴ね」
と小咲ちゃんがたすきを渡してくる。
僕は背中にたすきをひっかけ、背中でクロスするように、前にたすきをもってきて、袖が邪魔にならないように結んだ。
「さっ、準備はOKです。」
「じゃっ、ウィーンさん。これを持ってね。」
と妲己姉さんが先ほどよりも大きくて重い杵を渡してきた。
「妲己姉さん。さっきより重いのですが…………。」
「ウィーンさんなら大丈夫よ~~ん。わらわは大きいのが好みなのよん。さっ、もち米が冷える前にやってしまうわよん。大丈夫よんわらわが丁寧に教えるわん。」
「はい、お願いします」
「まずは、杵を大きく振りかぶるでしょん」
「こうですか?」
「違うわよん。右手は、こうね、先端に近い方がいいわん。う~ん、ここねん。で左手は、一番端を持つのよん。梃子の原理ってわかるわよねん。なるべく、支点から離れていた方が力が増すのよん。」
妲己姉さんはそう言って、露出の大きい衣装で、身を寄せて、僕の手を取りながら、適切な位置に手を置いてくる。年末最後にこの状況とは果たして理性を保つ事が出来るのだろうか?
「なるほど、力学的に最小の力でより最大の力を引き出すためのものなんですね。それだと右手も持ち手に近い方が力が出るのでは?」
「やってみればわかるわん。」
「はいっ」
と振り下ろす。
「ガンっ」
杵で打つ先が少しずれてしまって、もち米ではなく、臼の縁にあたってしまった。『ジーン』と少し手に痺れが走る。
「ほらねん。いくら吸血鬼のウィーンさんだって、そんな先端に重いものをつけていたら、中々思う通りに振り下ろせないわよん。だからね。力の方向を安定させるためにもこの右手はここにいるのよん」
と僕の右手を妲己姉さんは両手で優しく包んで、杵の先端の重りのある方に持って行く。うん。いい香りがして、少し理性が保てなくなってくる。何度もされると流石にまずい気もする。なるべく妲己姉さんの言うことを聞いて、手取り足取りのご指導がないようにしないと身がもたないよ。
「分かりました、ありがとうございます。ですから、妲己姉さん離れてください。」
「ええん、わらわがせっかく密着して丁寧に教えているのにん。ウィーンさんは御不満なのん?」
「いえ、そういうわけでは在りませんが、妲己姉さんの色香が強くて自制心を保つのが厳しいのですよ。」
「あらんそうかしらん。ふふっ」
と笑って離れてくれた。ありがたい。これで集中してすることが出来る。でもおかしいな。楽しいこと好きの妲己姉さんなら、ここぞとばかりに何かしてくると思ったんだが杞憂(きゆう)だったか。
「ではもう一度やりますね。振り上げて、素早く振り下ろす。」
「ポンっ」
「多いい音が出ましたよ。」
「そうねん、中々いい恰好だったわん。その調子でどんどんお餅をついてねん。さっその間に、小咲さんは、お餅をひっくり返してねん」
「はいっ」
と小咲ちゃんが杵が振り下ろされて、周りにもち米が飛んで行ったのを打ちやすいように集めてくれる。
「はいっ」
「はいっ、ウィーンさん小咲さんの準備が終わったみたいよん。またお餅をついてねん」
「ポンっ」
「はいっ」
「ポンっ」
「はいっ」
「ポンっ」
「はいっ」
・
・
・
・
・
何十回振り下ろしただろうか、やっぱり杵が重いせいだろうか?結構杵を打ち上げる手が厳しくなってくる。でもそのかいあって、もち米は※の形を維持できなくなり、真っ白な丸いお餅の形となった。
「あらん、いい感じになったわねん。ウィーンさんも小咲さんもご苦労様ねん」
そう言って、妲己姉さんは、白いお餅を持ってきたまな板の上に濡らした手でさっと移し替えて、テーブルの上に持って行った。
「おお~~い、ウイーンつき終ったんなら、はよ次もってかんかい。」
「は~い、今行きます。」
もう時間との闘いである。次から次へともち米が炊きあがってくるので、次々と餅を叩いていかなければならない。次のもち米をさっき使っていた臼に移し替える。湯気が上がるがもう、あの熱いことはしたくないので、回避はばっりちだ。
「次、次はミリィがやるにゃ~~~。」
今まで見ていたミリィが参戦を申し出てきた。
「じゃ~~次は、ミリィちゃんとウィーンさんのコンビでお願いしますね。」
「ミリィはどっちをやりたい?」
「ご主人みたいにぺったんぺったんやりたにゃ~」
「なら僕はお餅をひっくり返す方をやるね」
「お願いするにゃ~」
「ウィーンさん返し手はやったことがあるんですか?」
「返し手ですか?」
「ええ、お餅をひっくり返す役の人を相の手とか返し手と呼ぶんですよ。ということは初めてなんですね」
「ええ、餅つき自体初めてでさっきお餅をつくのをしたばかりですから?」
「宜しいでは、私が教えますね。ミリィちゃんも初めてなんだよね。」
「そうにゃ~、ミリィも初めてだにゃ~。ミリィにも教えて欲しいにゃ~」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
43
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる