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第11章 ダンジョンフロア2階 オープン準備編

【091】雪山でのテストプレイ with スキー&スノボー

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「おはようございます」

朝9時に受付ロビーに集合だったのにもかかわらず、なぜか、僕の寝泊まりしている制御室に続々と人が集まってきた。

「ニャー。朝から、千客万来ニャー。」

ミリィは、人が来てくれるのが嬉しいらしく朝から上機嫌だ。もしかして、ミリィって招き猫の要素もあるのかな?愛嬌たっぷりの猫って人が集まって来そうだしね。


みんなは時間までSHOPを覗きながら、どのウェアーを来て、スキーかスノボーか、柄はどうするのか?色んなことに余念がない。スタッフの皆さんは今日が待ち遠しくてたまらなかったようだ。


良く考えれば、ウインタースポーツであるスキーやスノボーは、冬の、シーズンで雪が積もってないと出来ない期間限定のスポーツですからね。やりたくても、日本では夏場に出来るところなんてあるわけない。

 そう、このダンジョンマート金沢の2階フロアでなければ。

「あっ」

気づかなければよかったのに気づいてしまった。

「どうしたんですか?ウィーンさん?」

ちょっとした発言で、一斉にみんなの目がこっちに集まる。

「いや、この雪山ダンジョンを夏場に公開する危険性について皆さんのテンションの上がり具合をみて気づいてしまったので。。。」

「何をおっしゃっているんですか?ウィーンさん。そんなのスキー、スノボーをできるようにした時から分かっていることじゃないですか。」

うんうんうんと、天魔さんの発言に対して、小咲ちゃん、雪那さんが頷く。ミリィは、「ニャー?」と言って首を傾げたいる。

「というか、その想定を持って作られたんじゃないんですか?」

「いや、今よりはそこそこ人が集まるだろうとは考えて作ってましたけど、熱狂的なファンが前で話しているのを見ると、とてもそれだけでは終わらない気がして来まして。下手したら、オープン初日並みになるのではないかと思ってしまって」

「それは私たち、ウィンタースポーツをこよなく愛するもの達を侮り過ぎですね。私たちは、出来るとあらば、海を超え、スキーの出来るスイスにでも行きます。予算や日程の関係で行けないだけで、行けるなら行きますよ。2日休みをもらえれば、北海道に行って滑ってきてもいいくらいです。」

うんうん、と二人が頷く。うん?今ききづてならない発言があったような。天魔さんは、大阪にいて、そこからでもスキーをしに1泊2日で北海道でスキーをする?それはつまり


「ウィーンさん、雪山ダンジョンをオープンして、スキーやスノボーが出来ることが日本中に知られた段階で、北は北海道、南は沖縄まで、全国のスキー、スノボーの愛好家が押し寄せてくる可能性が非常に高いですよ。」

そこまで、そこまで、人が集まる可能性があるの?いや、ちょっと待って、オープン初日でさえ、石川の近隣の福井、富山、新潟、長野だけ新規登録者で、あんだけ混雑したのに?

「もしかして、ウィーン。そこまでの来客数の想定はしていなかったのですか?大体どれほどで見積もっていたのですか?」

「増えるとは、言っても、現状、土日も、平日も1.1~1.2倍の見込みで考えてましたので、現状の人数なら、ギリギリフルで入れば対応出来ると思ってたのですけど。違いましたか。」

天魔さんと小咲ちゃんが顔を見合わせる。
「平日はいい線いってると思います。ですが、休日は。。。」

「ええ、土日の休日は想定の見込みが甘いですよ。おそらく、1.3~1.5倍くらいにはなると思ってます。冬になれば、ウィーンタースポーツは現実でも出来るので分散されるでしょうが。」

「ええ、冬になったら、冬になったで、オアシスで水遊びしたいという人が増える可能性が高いので。」

ぐっ、まさかオールシーズンで軒並み人数が増えるとは、1.5倍はとてもではないけど、回せる自信はないよ。

ただでさえ、オアシスの過分状況も他の支店頼りという状態で、さらに人数の上乗せとか。これ以上の増援はお願い出来ないしなー。

「ウィーンさん。そんな深刻な顔しなくても大丈夫ですよ。まだ時間はありますから、ねっ。」

「雪那さん。時間ってどれくらいあるんでしょう?」

「私はそこまで詳しくはわかりません。小咲ちゃんどんな感じになります?」

「私も入ったばかりですので、正確な状況をまだイマイチ把握してませんので、おおよその目安になりますよ。天魔さん違ってたら、遠慮なく指摘して下さいね。

まず、雪山のダンジョンのオープンは、今日から一週間後ですよね。で、雪山に関する告知はしていなくて、あくまで、ダンジョン2階が開放されるという告知っけですよね。」

「はい」

「となると、初日からいきなりどさっというのはまずあり得ないと思います。オアシスの際はミリィちゃんが可愛いらしい水着姿の写真がホームページにアップされてたから、初日からその存在が多くの人に知らされて、各個人のにゃんスタにアップされて拡散された。ここまでは、いいですか?」

「はい」

「でも今回の雪山ダンジョンは、情報の一際が秘匿されてます。スキーやスノボーの面影がなければスタート時期は遅らせられるでしょう。かりに初日に運悪く、見つかったとしても、ニャンスタにあげる人は、それ程多くないと思います。ざっくり考えて、最短でも1ヶ月の猶予はあると思いますが、いかがでしょう?」

「概ね小咲さんの考えている通りで問題はないと思います。温泉は、直ぐに周知されるでしょうが、ごく少数が増えるだけと考えてます。既存客で仕事帰りの人はさっと寄って行くと思いますが、新規での客層で考えると少ないと思います。」

「なら、1ヶ月は猶予があるということですね。」

「でも、それって、私たちがスキー、スノボーを滑らないことが条件に入ってないかしら。」

「鋭い指摘ですね。雪那さん。その通りです。無論私たちは、営業時間中に滑ることはないので、見られることはありません。ですが。。。」

「滑った後の跡で、なにかあると気づかれることはある?」

「そうです。よくある滑り跡やストックの穴が多数有れば、もしかしたら、スキーやスノボー出来るんじゃない?」

「と思いつく人は沢山出てくる?」

「ええ、そうでなくても、滑ってみたいという人が現実世界のダンボールや何かで、ソリ遊びを行えば広まるのは一瞬でしょう。」

「それに私は思うんですが、インフルエンサー達がこれだけ人気のあるダンジョンマートの新規階層に一番のりしない訳はありませんね。」

「その組み合わせが、初日になると。。。」

「どっどうなるんですか?」

「翌週の土日には、人でわんさか溢れている状況が出来上がります。」

「いや、それって、猶予が1ヶ月ではなく、実質2週間ないって状況ではないですか。」

「そうなりますね。でもそれは極々僅かな可能性で、おおよその見込みは先ほどの一ヶ月と思ってもらって大丈夫ですよ。」

「ねぇー、皆さん?時間になったことですし、一旦難しい話は横に置いといて、テストプレイして、頭を、スッキリさせません?」

「ええ、そうですね。まずはバグ取りをしないとオープンも何もあったものではありませんから。」

「行きましょう~」

「おーーっ」


「では、僕は有事に備えてここで考えてますので、皆さん頑張ってバグ出し、して下さいね。」

小咲ちゃんと雪那さんが視線を合わせて、二人で頷いた。それこら、パチンと指を鳴らす。天魔さんとミリィが僕の両脇をガシッと掴んだ。

「せっかくなので、みんなで交流を深めましょう」

「おーーっ」

「いや、ちょっと僕はやることがあるから。。。」

とずらずると引かれて、雪山に連行されてしまった。
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