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第10章 物の怪の新たな人材と朝活デビュー
【081】営業6日目 営業開始その7 朝活でのジャンケンと有効性
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「次宜しいですか?」
白髪混じりのふっくらとした恰幅の良い初老の男性が話しかけてくる。あたりを見回すと、僕と天馬さん、雪那さんの所に人が大勢並んでいる後は2~3組でジャンケンしているくらいだ。
「ええ、大丈夫ですよ。ウィーンです。宜しくお願いします。」
「私は、小豆洗いの大納言小豆(だいなごんあずき)と言います。では、行きますぞ」
「「最初はグー、ジャンケンポン」」
僕がチョキを出すと、大納言さんもチョキを出してきた。うむ、緊張して来た。
「あいこでショ」
僕はチョキで、大納言さんはグーを出してきて負けてしまった。
「また、負けてしまいました」
「私の方は、これで2連勝ですね。弾みがつきましたわ。ありがとうございます」
僕達は握手をして、別れた。
「次は私ですよ。お願いしますね。ウィーンさん。猫又の小咲(こさき)です。」
小柄な、さくらちゃんと同じくらいの背の高さの女の子が話しかけて来た。
「ええ、小咲さんウィーンです。宜しくお願いします」
「「最初はグー、ジャンケンポン」」
僕はチョキで、小咲ちゃんはグーを出してきて負けてしまった。
「やったー。勝った~。ありがとうウィーンさん。でも、チョキばっかり出すんですね。」
「えっ、そうでした?気づかなかったですね。ということは、先ほどまでの試合も全部見てたんですね。」
「ええ、そりゃ~本気のジャンケンですからね。勝つためには情報収集出来るだけやりますよ。では、私は次に行きますね。またね。ウィーンさん。」
と言って、ウインクして次に小咲ちゃんは向かっていった。これで3連敗かー。本気でやっているつもりだっけど、小咲ちゃんみたく勝つために、貪欲に相手を観察したり、情報収集までは、しなかったから、本気ではなかった。積もりだったってことか。
「次私いいですか?」
「ええ、でも、私は既に3回ジャンケンしましたけど、大丈夫でしょうか?」
「それなら大丈夫ですよ。全員が3回最低することが目的ですから、飽きたら座って雑談してても大丈夫ですし、そのままジャンケンを色んな人とやっても大丈夫です。私は、夢喰らいの獏(ばく)の夢魔(むーま)といいます」
「私はウィーンです。宜しく。では行きますよ」
「「最初はグー、ジャンケンポン」」
ぼくは、さっきまでの手とは違いチョキとは違うものを出した。そして、ムーマさんは、グーを出してきた。どうもこの人も、色々と観察して癖を見ていたようだ。そして、僕が出したのはパーだった。
流石に先程小咲さんから指摘され、また、観察されていたら、初手から相手はグーを出してくると思ったので、裏を書いてそれに勝てるパーを出したんだ。
結果は僕の勝利だった。
「やったー、ようやく一勝だ。」
先程まで、負け続けて、鬱屈していた気持ちが嘘のように晴れやかになった。遊びのジャンケンとはいえ、本気で勝ちにいって勝った時の余韻は素晴らしいものだった。
「いやはや負けてしまいましたな。テッキリチョキを出して来ると思ったのですが。当てが外れてしまいましたな。はっはっはっ。いい笑顔ですな。では、また」
と言って握手をして去っていった。僕が一勝を上げたことで、先ほどまで並んでいた列も霧散していった。
僕は座ってのんびりと周りを観察し始めた。そう、さっきまでは、話してから情報を仕入れて、スタッフを探そうと思っていたんだけど、せっかくだから自分で情報をある程度収集してからやってみようって思うようになった。
本気のジャンケンで最初から僕が本気になってなかったように、スタッフ探しも言葉では、探してるとは言いながらも、本気ではやってなかったと気づいたんだ。情報は自分から取りに行かなきゃ。
本当に欲しい人材であるなら、その人が例え仕事をしていたとしても、説得して捕まえなきゃ。待ってるだけじゃダメなんだ。僕から進んで一歩踏み出さないと本当に欲しい結果は得られないんだ。
どこかの本に書いてあった一文が思い出される。
『本当に欲しいと思っていたら、何気ない日常の風景でも、その欲しいものが情報として入って来る』って。
こういう車種のカラーのものが欲しいと思っていたら、何気なく走っている車からも、情報を取り入れるし、車で移動中も車屋さんの前を通り過ぎたら自然とチェックするようなものだ。
僕は、本当に必要だと感じてなかったのかも知れないな。必要だったら、毎日来ているお客さんの中からも、探せていたかもしれない。あのお客さんだって全てが人間であるはずもない、中には物怪だっていたはずなんだ。
しっかり注意してみていれば、それを探せ出せたかもしれないのに。してなかったから、探すことも、出来なかったんだ。
あとは、より詳細に探すならどんな人に来て欲しいかを明確に心の中に描かなければ、そういう人を探すことも、出来ない。
白髪混じりのふっくらとした恰幅の良い初老の男性が話しかけてくる。あたりを見回すと、僕と天馬さん、雪那さんの所に人が大勢並んでいる後は2~3組でジャンケンしているくらいだ。
「ええ、大丈夫ですよ。ウィーンです。宜しくお願いします。」
「私は、小豆洗いの大納言小豆(だいなごんあずき)と言います。では、行きますぞ」
「「最初はグー、ジャンケンポン」」
僕がチョキを出すと、大納言さんもチョキを出してきた。うむ、緊張して来た。
「あいこでショ」
僕はチョキで、大納言さんはグーを出してきて負けてしまった。
「また、負けてしまいました」
「私の方は、これで2連勝ですね。弾みがつきましたわ。ありがとうございます」
僕達は握手をして、別れた。
「次は私ですよ。お願いしますね。ウィーンさん。猫又の小咲(こさき)です。」
小柄な、さくらちゃんと同じくらいの背の高さの女の子が話しかけて来た。
「ええ、小咲さんウィーンです。宜しくお願いします」
「「最初はグー、ジャンケンポン」」
僕はチョキで、小咲ちゃんはグーを出してきて負けてしまった。
「やったー。勝った~。ありがとうウィーンさん。でも、チョキばっかり出すんですね。」
「えっ、そうでした?気づかなかったですね。ということは、先ほどまでの試合も全部見てたんですね。」
「ええ、そりゃ~本気のジャンケンですからね。勝つためには情報収集出来るだけやりますよ。では、私は次に行きますね。またね。ウィーンさん。」
と言って、ウインクして次に小咲ちゃんは向かっていった。これで3連敗かー。本気でやっているつもりだっけど、小咲ちゃんみたく勝つために、貪欲に相手を観察したり、情報収集までは、しなかったから、本気ではなかった。積もりだったってことか。
「次私いいですか?」
「ええ、でも、私は既に3回ジャンケンしましたけど、大丈夫でしょうか?」
「それなら大丈夫ですよ。全員が3回最低することが目的ですから、飽きたら座って雑談してても大丈夫ですし、そのままジャンケンを色んな人とやっても大丈夫です。私は、夢喰らいの獏(ばく)の夢魔(むーま)といいます」
「私はウィーンです。宜しく。では行きますよ」
「「最初はグー、ジャンケンポン」」
ぼくは、さっきまでの手とは違いチョキとは違うものを出した。そして、ムーマさんは、グーを出してきた。どうもこの人も、色々と観察して癖を見ていたようだ。そして、僕が出したのはパーだった。
流石に先程小咲さんから指摘され、また、観察されていたら、初手から相手はグーを出してくると思ったので、裏を書いてそれに勝てるパーを出したんだ。
結果は僕の勝利だった。
「やったー、ようやく一勝だ。」
先程まで、負け続けて、鬱屈していた気持ちが嘘のように晴れやかになった。遊びのジャンケンとはいえ、本気で勝ちにいって勝った時の余韻は素晴らしいものだった。
「いやはや負けてしまいましたな。テッキリチョキを出して来ると思ったのですが。当てが外れてしまいましたな。はっはっはっ。いい笑顔ですな。では、また」
と言って握手をして去っていった。僕が一勝を上げたことで、先ほどまで並んでいた列も霧散していった。
僕は座ってのんびりと周りを観察し始めた。そう、さっきまでは、話してから情報を仕入れて、スタッフを探そうと思っていたんだけど、せっかくだから自分で情報をある程度収集してからやってみようって思うようになった。
本気のジャンケンで最初から僕が本気になってなかったように、スタッフ探しも言葉では、探してるとは言いながらも、本気ではやってなかったと気づいたんだ。情報は自分から取りに行かなきゃ。
本当に欲しい人材であるなら、その人が例え仕事をしていたとしても、説得して捕まえなきゃ。待ってるだけじゃダメなんだ。僕から進んで一歩踏み出さないと本当に欲しい結果は得られないんだ。
どこかの本に書いてあった一文が思い出される。
『本当に欲しいと思っていたら、何気ない日常の風景でも、その欲しいものが情報として入って来る』って。
こういう車種のカラーのものが欲しいと思っていたら、何気なく走っている車からも、情報を取り入れるし、車で移動中も車屋さんの前を通り過ぎたら自然とチェックするようなものだ。
僕は、本当に必要だと感じてなかったのかも知れないな。必要だったら、毎日来ているお客さんの中からも、探せていたかもしれない。あのお客さんだって全てが人間であるはずもない、中には物怪だっていたはずなんだ。
しっかり注意してみていれば、それを探せ出せたかもしれないのに。してなかったから、探すことも、出来なかったんだ。
あとは、より詳細に探すならどんな人に来て欲しいかを明確に心の中に描かなければ、そういう人を探すことも、出来ない。
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