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第5章 星空満点空中ツアー
【041】初めての休暇と星空満点空中ツアー3
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こっちから聞こえてきたんだが、少しずつ声が聞こえなくなってきた。
「くそっ、もう少しで悲鳴のあった箇所まで近づくことが出来たのに。」
普段悪態をあまりつくことのないウィーンは焦っていた。
鬱蒼と茂る木や、草が、まっすぐに走っていこうとする僕の足を阻み、少しずつ迂回しながらすすんでいるので、声が聞こえなくなってから、声の方に進んでいたつもりだがそれもどこまで方角があっているかもわからなくなってきた。
もう少し手がかりがあれば、見つけられると思うんだが、
「おお~~い、さっきの助けを呼んでいた人、どこにいるんだい。助けに来たけど場所がわからない。教えてくれ~~~」
走るのをやめて、静かになった森に、ウィーンの叫び声だけが響き渡る。反応がない。
もう手遅れになってしまったのだどうか?
そう思いかけて着た時、ささやかな風が流れた。そして、そこから微かに漂う香ばしい血の香り。吸血鬼であるウィーンであるからこそ、血の匂いを嗅ぐことが出来た。
ちっ、こっちの方角から漂っている。やっぱり、方角をどこかで間違えていたか。そして、この匂いは独特である、いつも飲んでいるブラッドワインの匂いと違う。
これは人間の匂いではない。とすると、動物か、物の怪ということになる。
ここからは、より一刻を争う事態となる。血をより強く渇望して、追いかけるため、ウィーンは再び人化をとき、吸血鬼の姿となった。
よし、これでより強く血の流れがわかる。空を飛ぶことは出来ないが、スマホのナビがあるかのように、森の中の道なき道を進んでいった。
近づけば近づくほど血の匂いが強くなっている。地面に血痕も見え始めたから、すぐ近くにいるだろう。そうやってより血の匂いが強い場所に近づいていくと、洞穴の前に血だまりの中で横たわっている少女がいた。
氷のように白い紙に、白い和服の着物(べっとりと血がついて、赤く染まっているが)。
「きみ、大丈夫かい。助けにきたよ。」
意識を確かめるように、肩を抱き、上半身を起こし、囁きかけるが、意識は戻らない。
少女の体を一旦もとにもどし、地面に横たわらせた。血が出ているの脇腹のとこからのようだ。少女には申し訳ないが、和装の服をほどいた。幸い肌襦袢を下に来ていたため、素っ裸になることはなかった。
患部のとこのみ、肌襦袢を捲り患部の位置を確認する。銃創のような跡がり、脇腹を貫通していた、かなりの血が出ていたようだ。
出血を止めるための止血に関しては吸血鬼の右に出るものはいないだろう。吸血鬼は、通常人間の首筋に噛みつき、そこから、血を吸うのである。
そのとき、牙の跡が、そのままだとそこから出血して、血が失われた後の出欠は命にかかわる。そんなことをしていれば、立ち待ち吸血鬼の仕業でないと勘ぐられ、お縄についてしまう。
なのでそうはならないように、吸血した後は唾液の成分と空気が触れ合うことで、患部との膜を作り、皮膚も若干治癒して、なにごともなかったようにしてしまうのだ。
通常なら、少女の脇腹を舐めることなどするわけはないのだが、ここは緊急事態で一刻を争う。指を舐めて、患部に当ててを治療していては間にあわないのだ。
僕は、少女の幹部に口をつけ、彼女から出る血に唾液を混ぜ、凝固させていった。貫通しているので、正面からだけでなく、背面も同じように凝固させていく。
血が出なくなったことを確認し、脈を取ってみる。まだ、弱いが脈がある。生きてはいる。呼吸も浅いがちゃんとしている。ただ血を失い過ぎていて、このまま放置しておけば、出欠をとめた状態でも死に至るだろう。
僕は、急ぎ、少女を御姫様抱っこし、そのまま空を飛び、森の上空へと出た。僕には、これ以上の手当ては無理だ。でも、長い年月を生きる九尾の狐である妲己姉さんならなんとか出来るかもしれない。
いや、きっと出来る。こういうことになると、わかっていた形跡があって、僕をここに来るよう仕向けたのだから、対策はきっとある。
電話をするのも惜しんで、すぐに待ち合わせの高原へと向かっていった。ほどいた着物をまともに結んでもいないので、風抵抗が大きいが、それよりも先に妲己姉さんに見せる方が先だ。
急いで高原の上空まで行くと妲己姉さんが手を振ってそこにいた。
「ウィーンさんここよここ。早く降りてきてねん」
猛スピードで着陸する、衝撃が少女にいかないように、到着するまにスピードは殺した。
「妲己姉さん。この子がこの子の命が危ないんです。僕では止血することが精一杯でした。妲己姉さんならなんとか出来るんでしょう!!」
僕は強い剣幕で妲己姉さんにすがるように詰め寄った。
「ええ、勿論大丈夫よん。そのままその雪女の子をこっちに見せてねん。」
手に抱えている少女を妲己姉さんが見やすい位置に差し出した。
「うん、一命はなんとか取り留めているようねん。それならなんとかなるわん」
といって、片方の手のひらを、彼女の患部に当てた、なにか淡い祈りの灯みたいな綺麗な灯りが妲己姉さんの手から、少女の方へ流れていくのが見えた。
少女の血色がよくなって、呼吸も浅いものから、深いものへと変わっていった。弱弱しく、聞き取れなった心臓の鼓動も聞こえるようになった。
「すごいです。妲己姉さんありがとうございます。本当にもうダメかと思いました。それにしても凄い技ですね?気功とか言うので、生命エネルギーを分け与えたのですか?」
「ふふふっ、それに関しては秘密だわん。危なかった雪娘が助かったんだからいいじゃないのん。男の子は些細なことを気にしてたら大きくなれないわん。」
「いや。ものすごく大きいことだと思いますけど、わかりました。多分事情があるんでしょうし、それに関しては聞きません。もう一つ。この少女が危ないことが妲己姉さんにはわかっていたんですよね?」
「ふふふっ、それに関しては、ウィーンさんの御想像にお任せするわん。経過が重要ではなくてよん。結果、その雪娘が助かった。その事実があれば大丈夫でしょん」
「ふ~~~っ、この件に関しても秘密ですか。わかりましたよ。妲己姉さんの指示があって、一つの物の怪の命が助かったそれでいいんですね。」
「それもちょっと、ううん、大幅に違うわねん。一つの物の怪の命だけじゃないわよん。多くの生きる命を救ったのよん、わらわではなく、ウィーンさんあなたがねん。」
と意味ありげに僕を指さした。
「えっ、妲己姉さんではなく、僕がですか?それは、全くもって違うでしょう。妲己姉さんが夜空を飛びたいなんてことを言わなければ、僕はここに来ることはなかった。
だから、きっかけを作ったのは僕ではなく妲己姉さんです。ですから、多くの命を救ったというのであれば、それは僕ではありません。妲己姉さんです!!」
「でもそのわらわが、ここ日本の金沢に来るきっかけを作ったのはウィ~ンさん、あなたよん。あなたがここでダンジョンマート金沢を経営すると決めたから、今、ここにわらわがいて、今ここの少女に至るのよん。
それに、助けると決めたのもわらわではなくて、あなたよねん。」
「いや、それは確かにそうなんですけど、そんな大そうなことはしてないんですよね。」
「ま~それは些細なことだわん」
「確かに、気にはなるけど、今は関係ないですね。この子がどうして、脇腹を打たれたのか?そちらの方が重要ですね。そして、この子を今後どうするのかも。」
「そうねん。でも話を聞かないことには何もわからないわん。」
といって、パチっと妲己姉さんが指を鳴らす。
すると気を失っていた少女が目を覚ました。
「えっ、ここは一体?あなた方は?私は確か、クマに間違われて、腹を撃たれて、洞穴まで逃げてきたと思ったのに。。。。」
「あらん、起きたみたいねん。ウィ~ンさん宜しく。」
「はじめまして、僕はウィーンと言います。あなたの助けを呼ぶ声を聴いて、洞穴の前で血まみれで倒れているあなたを助けました。僕は止血をしましたが、それでもまだ、命にかかわるので妲己さん。彼女に助けてもらいました」
といって、ボディコン姿の妲己姉さんを紹介する。
「くそっ、もう少しで悲鳴のあった箇所まで近づくことが出来たのに。」
普段悪態をあまりつくことのないウィーンは焦っていた。
鬱蒼と茂る木や、草が、まっすぐに走っていこうとする僕の足を阻み、少しずつ迂回しながらすすんでいるので、声が聞こえなくなってから、声の方に進んでいたつもりだがそれもどこまで方角があっているかもわからなくなってきた。
もう少し手がかりがあれば、見つけられると思うんだが、
「おお~~い、さっきの助けを呼んでいた人、どこにいるんだい。助けに来たけど場所がわからない。教えてくれ~~~」
走るのをやめて、静かになった森に、ウィーンの叫び声だけが響き渡る。反応がない。
もう手遅れになってしまったのだどうか?
そう思いかけて着た時、ささやかな風が流れた。そして、そこから微かに漂う香ばしい血の香り。吸血鬼であるウィーンであるからこそ、血の匂いを嗅ぐことが出来た。
ちっ、こっちの方角から漂っている。やっぱり、方角をどこかで間違えていたか。そして、この匂いは独特である、いつも飲んでいるブラッドワインの匂いと違う。
これは人間の匂いではない。とすると、動物か、物の怪ということになる。
ここからは、より一刻を争う事態となる。血をより強く渇望して、追いかけるため、ウィーンは再び人化をとき、吸血鬼の姿となった。
よし、これでより強く血の流れがわかる。空を飛ぶことは出来ないが、スマホのナビがあるかのように、森の中の道なき道を進んでいった。
近づけば近づくほど血の匂いが強くなっている。地面に血痕も見え始めたから、すぐ近くにいるだろう。そうやってより血の匂いが強い場所に近づいていくと、洞穴の前に血だまりの中で横たわっている少女がいた。
氷のように白い紙に、白い和服の着物(べっとりと血がついて、赤く染まっているが)。
「きみ、大丈夫かい。助けにきたよ。」
意識を確かめるように、肩を抱き、上半身を起こし、囁きかけるが、意識は戻らない。
少女の体を一旦もとにもどし、地面に横たわらせた。血が出ているの脇腹のとこからのようだ。少女には申し訳ないが、和装の服をほどいた。幸い肌襦袢を下に来ていたため、素っ裸になることはなかった。
患部のとこのみ、肌襦袢を捲り患部の位置を確認する。銃創のような跡がり、脇腹を貫通していた、かなりの血が出ていたようだ。
出血を止めるための止血に関しては吸血鬼の右に出るものはいないだろう。吸血鬼は、通常人間の首筋に噛みつき、そこから、血を吸うのである。
そのとき、牙の跡が、そのままだとそこから出血して、血が失われた後の出欠は命にかかわる。そんなことをしていれば、立ち待ち吸血鬼の仕業でないと勘ぐられ、お縄についてしまう。
なのでそうはならないように、吸血した後は唾液の成分と空気が触れ合うことで、患部との膜を作り、皮膚も若干治癒して、なにごともなかったようにしてしまうのだ。
通常なら、少女の脇腹を舐めることなどするわけはないのだが、ここは緊急事態で一刻を争う。指を舐めて、患部に当ててを治療していては間にあわないのだ。
僕は、少女の幹部に口をつけ、彼女から出る血に唾液を混ぜ、凝固させていった。貫通しているので、正面からだけでなく、背面も同じように凝固させていく。
血が出なくなったことを確認し、脈を取ってみる。まだ、弱いが脈がある。生きてはいる。呼吸も浅いがちゃんとしている。ただ血を失い過ぎていて、このまま放置しておけば、出欠をとめた状態でも死に至るだろう。
僕は、急ぎ、少女を御姫様抱っこし、そのまま空を飛び、森の上空へと出た。僕には、これ以上の手当ては無理だ。でも、長い年月を生きる九尾の狐である妲己姉さんならなんとか出来るかもしれない。
いや、きっと出来る。こういうことになると、わかっていた形跡があって、僕をここに来るよう仕向けたのだから、対策はきっとある。
電話をするのも惜しんで、すぐに待ち合わせの高原へと向かっていった。ほどいた着物をまともに結んでもいないので、風抵抗が大きいが、それよりも先に妲己姉さんに見せる方が先だ。
急いで高原の上空まで行くと妲己姉さんが手を振ってそこにいた。
「ウィーンさんここよここ。早く降りてきてねん」
猛スピードで着陸する、衝撃が少女にいかないように、到着するまにスピードは殺した。
「妲己姉さん。この子がこの子の命が危ないんです。僕では止血することが精一杯でした。妲己姉さんならなんとか出来るんでしょう!!」
僕は強い剣幕で妲己姉さんにすがるように詰め寄った。
「ええ、勿論大丈夫よん。そのままその雪女の子をこっちに見せてねん。」
手に抱えている少女を妲己姉さんが見やすい位置に差し出した。
「うん、一命はなんとか取り留めているようねん。それならなんとかなるわん」
といって、片方の手のひらを、彼女の患部に当てた、なにか淡い祈りの灯みたいな綺麗な灯りが妲己姉さんの手から、少女の方へ流れていくのが見えた。
少女の血色がよくなって、呼吸も浅いものから、深いものへと変わっていった。弱弱しく、聞き取れなった心臓の鼓動も聞こえるようになった。
「すごいです。妲己姉さんありがとうございます。本当にもうダメかと思いました。それにしても凄い技ですね?気功とか言うので、生命エネルギーを分け与えたのですか?」
「ふふふっ、それに関しては秘密だわん。危なかった雪娘が助かったんだからいいじゃないのん。男の子は些細なことを気にしてたら大きくなれないわん。」
「いや。ものすごく大きいことだと思いますけど、わかりました。多分事情があるんでしょうし、それに関しては聞きません。もう一つ。この少女が危ないことが妲己姉さんにはわかっていたんですよね?」
「ふふふっ、それに関しては、ウィーンさんの御想像にお任せするわん。経過が重要ではなくてよん。結果、その雪娘が助かった。その事実があれば大丈夫でしょん」
「ふ~~~っ、この件に関しても秘密ですか。わかりましたよ。妲己姉さんの指示があって、一つの物の怪の命が助かったそれでいいんですね。」
「それもちょっと、ううん、大幅に違うわねん。一つの物の怪の命だけじゃないわよん。多くの生きる命を救ったのよん、わらわではなく、ウィーンさんあなたがねん。」
と意味ありげに僕を指さした。
「えっ、妲己姉さんではなく、僕がですか?それは、全くもって違うでしょう。妲己姉さんが夜空を飛びたいなんてことを言わなければ、僕はここに来ることはなかった。
だから、きっかけを作ったのは僕ではなく妲己姉さんです。ですから、多くの命を救ったというのであれば、それは僕ではありません。妲己姉さんです!!」
「でもそのわらわが、ここ日本の金沢に来るきっかけを作ったのはウィ~ンさん、あなたよん。あなたがここでダンジョンマート金沢を経営すると決めたから、今、ここにわらわがいて、今ここの少女に至るのよん。
それに、助けると決めたのもわらわではなくて、あなたよねん。」
「いや、それは確かにそうなんですけど、そんな大そうなことはしてないんですよね。」
「ま~それは些細なことだわん」
「確かに、気にはなるけど、今は関係ないですね。この子がどうして、脇腹を打たれたのか?そちらの方が重要ですね。そして、この子を今後どうするのかも。」
「そうねん。でも話を聞かないことには何もわからないわん。」
といって、パチっと妲己姉さんが指を鳴らす。
すると気を失っていた少女が目を覚ました。
「えっ、ここは一体?あなた方は?私は確か、クマに間違われて、腹を撃たれて、洞穴まで逃げてきたと思ったのに。。。。」
「あらん、起きたみたいねん。ウィ~ンさん宜しく。」
「はじめまして、僕はウィーンと言います。あなたの助けを呼ぶ声を聴いて、洞穴の前で血まみれで倒れているあなたを助けました。僕は止血をしましたが、それでもまだ、命にかかわるので妲己さん。彼女に助けてもらいました」
といって、ボディコン姿の妲己姉さんを紹介する。
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