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第2章 ダンジョンマート金沢店 オープン編1日目

【010】ダンジョンマート金沢店オープンその1

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「「「おはようございます」」」
オープン開始の2時間前に集まった。8時ですよ8時。通勤ラッシュが電車も車も終わったかなって頃の時間帯です。今日は土曜日ですけども。

「ウィーン。おまえ、今日はもう、外みはったんか?」

「ええ、さっきビルの屋上からチラッとみました。問題ないな~いつもと変わらない日かなと思いました。それで、コンビニに菓子パン買いにいったら、ビル前の地下道への入り口がひどいことになってましたね。」

「おお、そうやちゃんと見とったんなら問題ないわ。ってそんなことあるかい!!あんな入口前にぎょうさん人間がたむろっとたら、近隣の皆様に迷惑やろが。

ほら、あこの仕事にきたであろう、ねえちゃん。入ろうとしても、前に人がおって入れんやろが。さっさと行って、散らして、お客様に綺麗に並んでもらってこい。

うちらは、打ち合わせ軽くしてから、予定より早いけど、準備始めるし。己はここの代表やねんから、ご迷惑かけてる近隣の皆様にもご挨拶してこんかい。」

「はいっ、ではみなさん。ちょっと離れますけど。オープン初日頑張りましょう。」

「おお~~~っ」

ダンジョンマート金沢支店の前のたむろしている若者集団の前にくる。やっば~い。ひ~ふ~み~よ~~~。。。。。ここだけでもうすでに100人近くいるじゃないか。ダンジョンマートのメジャー名とダンジョン探索の効果おそるべし。

「お集まりの皆さんおはようございます。私はダンジョンマート金沢店のスタッフです。皆さんはダンジョンマートのオープンに来られた方でしょうか?」

「「「はいっ、そうで~~~す」」」

数十人規模の若者の声が閑静だった駅前に大きく響き渡る。

「みなさん。ご来店くださりあえりがとうございます。ここに集まると近隣の皆様にご迷惑になってしまいますので、順番に並んでくださいね。お返事は小さめにお願いします。」

「「はいっ」」

小さめの返事で返してくれた。ここらの若者は教育が行き届いているようだ。理由を説明して、お願いしたらちゃんとこちらに合わせて動いてくれる。

仕事に行くお姉さんに、軽く会釈をし、入口に入ってもらうように手で促した。相手も「ありがとうございます」と小さな声で会釈して、行ってくれた。

「整理番号を配布しますので、こちらをお持ちになっていたら、あとで優先的には入れます。ですので、このまま並ばなくて大丈夫ですよ」

「おっれいっちば~~ん」

「なにいってんだ。お前は俺より後にきただろうが。。。」

若者同士が俺が先だ、だれが先だと、諍いを初めてしまった。若いっていいね~。「はいはい」手を叩きながら、声をちょっと荒げて対応する。

「喧嘩している人は、一番最後に整理番号をお渡ししますね。他の並んでいるかたから、整理番号をお渡ししますので、こちらにお並び下さい。」

諍いがぴたっと止まって、順番に並んでいく。どうやら、この人数での最後にはなりたくないようだ。それならそうと争わなきゃいいのにね。

ほんっと若いな~。順番に整理番号を配布していった。もらった人から列を離れ、近くにあるファミレスかどこかで時間を潰してくるようだ。

次々と整理番号を配布しているが、次から次へと人が列に並び終わりが見えなくなってしまった。どこまでゆくのこんな地下通路の中って、金沢駅の方に向かってるね。

ま~、地上でこんな真夏の日に朝から並びたくはないから丁度いいけど。

幸い地下のイベントホールでは、この2日間は、イベントされていないため。ぽっかりつ空間が空いてるし。よかったわ。てか、本当に今日は何人来るんだろう?

今日はビギナーだけのオープンになるので、新規登録者だけがくる形でベテランの探索者はさらに2週間後となる。

その分新規登録にかかる時間がオープン初日はものを言うのだが。ちなみに新規登録にかかる時間は、昨日のよしさんのシミュレーションでは、一人5分らしい。これを受付3人で行うので、1時間あたりにさばける量は、36人である。

なので、初日の最大動員数は、360人である。休憩やその他のイレギュラーも考慮して。300人までを整理番号の対象としている。
他の人は、入れるかもしれないから来てもらっても大丈夫なのだが、一応は入れないかもしれないことを説明の上、了解した人には並んでもらうことになっている。

「ウィーンさん、お疲れ様ですわ。朝のミーティングが終わったから交代に来たわよ。もう250番まで配ったのね。後はわらわに任せてもいいわ。この分だと、誘惑の術を使う必要はまったくなさそうね」

「って、妲己さんなんて恰好してるんですか。さっきまでは普通の私服だったのに。それにダンジョンマート支給の制服来ての対応だって言ったじゃないですか。」

若干目に涙をうかべながら、妲己さんに哀願してみる。だってだって、秋葉でもないのに、朝から、金沢駅の度真ん前で、バニーガールの衣装に身を包んだ蠱惑的な妲己さんが立ってるんだから。。。。。

バニースーツから出る可愛らしく、綺麗な狐耳(そう、ウサギの耳ではなく、自前の狐耳)。そして、尻尾も自前の尻尾。九本もだして、物の怪パワー全開である。

「それにその姿、半分物の怪化しちゃってるじゃないですか。困りますよ。僕ら物の怪は、人間の一般的な形では存在しないことになってるんですから。」

「わらわのことなら大丈夫よ~~ん。中国でもオープンの時はこれ以上に煽情的な衣装で登場したわ。みんなトロトロで誰もそんなささいなこと気にしなかったわよ。

それに、これだけメイド喫茶やアニマル喫茶が溢れてて、巷(ちまた)でコスプレイヤーが獣人の仮装している現代だもの。わらわのことを誰も九尾の狐とは思わないんわよ。 ちょっと、露出の高い服を着た、狐のコスプレをした美人な人で終わりよ」

「そっ、そうですか。う~~ん。そういわれるとそうかも知れませんね」

エリックさんもヨシさんも留めてくれればいいのに。僕だと、丸め込まれてしまうんだよね。ま~他にしなければならないこともあるし、ここは妲己さんの弁を信じよう。

「わかりました。ではこは交代で、人員の誘導と説明をお願いしますね。けっして、若い男の子に粉かけて、食べちゃだめですよ。もちろん触れてもダメです」

一応ここのオーナーは僕なので言うべきことはキチンと伝えておく。もっとも守ってくれる保証は何もないのだが。。。。

「わかったわ。眺めるだけで、終わらせるわよ。」

「ではお願いします。」

妲己さんに後を任せて、僕は受付ホールに急いで戻るのだった。
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