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第1章 ダンジョンマート金沢店 オープン準備編

【000】仕事のできない僕は、ある日ダンジョンのオーナーになりました。

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僕は、吸血鬼一族の末裔であるウィーン・ド・ブラムだ。

僕は、一族の中では外れ物だ。兄たちは、親の後を継いで北欧にある立派な城で生活している。僕の名前からもわかる通り、僕の家は貴族だ。

僕の吸血鬼一族は、城で住みながら、僕(しもべ)である狼男たちをつかって、森や洞窟で、配下である蝙蝠を養殖している。

蝙蝠は夜な夜な、若くて綺麗な血を集めに、町を飛び回っている。集めた血は、親や兄たちが加工し、ワインとして、別の吸血鬼の人たちと貿易し生計をなしているのだ。

僕は、ぐずで運動神経がないため、狼男たちに指示をだすことも、綺麗な血を加工することもできず、とうとう親や兄弟たちから見放された。

先日、仕事のできないやつは邪魔だと。勘当させられた。幸い最後の生活費として、いくばくかの財宝とスマートフォンを持っていくことを許された。

今のITの時代において、スマホがないと生きていけないと思っている。僕は、色んなネットのサイトで仕事を探したが、中々ピンとくるものがなく、ダラダラとネット小説を見て過ごしていた。

そんなある日、メールが来た
『ダンジョン経営始めてみませんか?弊社では、この度、日本に進出することになりました。フランチャイズ化されているダンジョンをあなたがオーナーとなって始めましょう。』
 条件は特になく。 
加盟金として600万が必要だった。

『誰でもなれるあなたも今日からダンジョンのオーナーです。未経験でも大丈夫、本社の指導スタッフが温かく皆様のお手伝いをいたします』

よくある広告のメールだ。ネット小説をたまに読んでいると広告が表示される。
『あなたの年収はいくらかな?』って調べるサイトがあったので、そこで新規登録して調べたんだった。

その時の情報を元に送られてきたのだろう。
『小説ではよくあるのだ。ダンジョン経営をして、社会の底辺から、成功し、のぼりつめ。成り上がっていくお話が』僕はそんなサクセスストーリーが大好きだった。

城に居た頃の僕なら、面倒だし自信がないと断っていただろう。でも、今の僕には、手元の財宝(時価にして、約700万円)分のお金とスマホしかない。2~3年もぼーっとして暮らしていたら、なくなるお金である。

僕を雇ってくれる会社はなかった。
でも、これなら本社から優秀なスタッフを派遣され、すぐにでも経営できるようにしてくれるだろう。
僕は、すぐにダンジョン経営の会社に連絡し、その日から僕は『ダンジョン経営者』になったのだ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

1ヶ月が過ぎ、ダンジョンの基本の経営や運用内容を担当のエリックさんとスカイぺを通して、教えてもらった。エリックさんの教え方は非常に上手で、僕はすぐにやることを覚えた。本社が指示する場所に赴くことになった。

そこは、日本にある金沢という場所だった。東京や大阪、名古屋などの大都市は僕よりも先に応募し、優秀な成績を納めた人たちが先に行って経営している。

ダンジョン経営っていうのは、ダンジョンを都市部などのの人通りの多い所に設置し、人間のお客さんを呼びこむことだ。

ダンジョンは、近代化や設置する環境に合わせて、作成されている。ここ日本の都市部では、高層のビルが建てられている。京都や奈良なんかだと、立派な寺院や、お屋敷なんかでダンジョンを経営しているようだ。

ダンジョンでは、お客さんである人間を迎え入れ、冒険の体験をしてもらう。最近はVRRMOやテレビゲーム、ライトノベルなどの影響もあって、自分でも冒険をして、一発あてたいという若者が増えている。

そんな若者たちは、冒険をして、様々なモンスターを倒し、ダンジョン深くに眠るお宝を手に入れるのだ。もちろん、冒険にとって危険はつきものである。
死ぬこともある。危険な空気がピリピリしてないと、やった方も充実感がなくなる。

でも、人間が死んだりすると、人間の法がうるさく、ダンジョンが営業できない状態になってしまう。そこでダンジョン経営のフランチャイズ:ダンジョンマートでは、入場料をお金でもらう他に、死んだ時に復活してくれる保険契約が用意されている。

契約料は、寿命である魂だ。1年分に相当する魂を頂く。契約期間は一年で自動更新である。

こうすることで、冒険者は、ヒリヒリした空間を味わうことが出来ながら安全に冒険をすることができるのである。初めてのダンジョン経営となるため、目的の場所には、担当のエリックさんも同行してついてきてくれた。

「このビルがウィーン様が、ダンジョン経営される場所となります。このビルは、駅近くで徒歩5分でいける最高に立地のよい場所となります。

また、30階建てとなってますので、様々なトラップやモンスターを配置することができます。では、さっそく中に入り、ダンジョンを作って行きましょう。」

僕、ウィーンのダンジョン経営がここから始まる。
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