上 下
101 / 105
第7章 アカネとフルーテスとのお茶会編

【男の娘101】反撃開始 その2

しおりを挟む
「お父様出来ましたわ。」

 床に書かれている魔法陣は、寸分狂いもない真円。ダイナってすごく書くのがうまいんだね。私がやると少しやれちゃうのに。

 どきどきしてきた。そろそろ反撃開始である。小人さん達は、各々が持ち場について待機しているし、リリムちゃんもキャロットちゃんの近くに待機中だ。

「うむ、ダイナ見事な魔法陣だ。さぁ、ガーネットよ。魔法の適正をこの場で、示してみよ。」

「プラダさん。その前にこの私の自由を縛っているものを外してもらえませんか?」

「ふむ、そうだな。魔法陣で適正を測るには、致し方のないことだ。妙な真似は考えるんじゃないよガーネット。こちらにはキャロットさんがいるのだから。ガーネットの縄を外してやりなさい。」

 見張りをしていた、チンピラっぽい人が私の手首と足首にか縛っている縄を、ナイフで強引に切っていく。

 危ないな~私の繊細な肌が切れちゃったらどうするのよ。商品価値がなくなるわよ。

「おい、手荒に扱うなよ。その子には多大な商品価値があるんだからな。傷物にするなよ。」

「ハイ」

 と元気よく返事したのは良いが結局変わってない。私は身動き一つしない様に神経を張り巡らせた。

「解き終わった様だね。さーガーネット。お前の力を私たちに見せてごらん。」

 私は久しぶりに自分の足で立った。いつものドレス姿ではなく、寝巻き姿で。いやはやお恥ずかしい限りである。色気のある寝巻きを着てなくて本当によかったよ。
 
 私は魔法陣の前に歩いていく。ゆったりとした動作で慌てず急がず平然を装いながら。魔法陣の中央に立った。

 辺りは鎮まりかえっている。この結果をかなり注視している様だ。

 私は、この倉庫にいる一同の視線を一手に引き受けながら、魔法の適正試験を行うんだよね。キャロットちゃんを見ると、この後するべきことが分かっているのか少し緊張しているみたいなんだよ。私は笑顔でニコッと笑って手を振った。

 キャロットちゃんはそれをみて笑顔を返してくれたんだよ。よかったよかった緊張がほぐれて。

 私は両手の掌を胸の前で静かに合わせた。そして、魔法適正検査に必要な呪文を唱えていく。

「主神ゼファの名の元に、かのものの適正を示さん。」

 ダイナが描いた真円の魔法陣に、私の足元から魔力か流れだし、発光していく。虹色の発光で周囲がざわめきだす。

「にっ、虹色、」

「虹色ですわ。まさか、お姉様が…………」

 そのことはあまり気にしないで次の所作に移る。
 確か次は両手を横にぐーっとを伸ばすんだったよね。

 足元に留まっていた虹色の光が、魔法陣全体に行き渡り、色鮮やかに発光する。周囲の人はそれをただだだ、息を呑んで見つめるばかりである。

 私は、そのまま手を伸ばした状態でぐるっと一回転した。

これで魔法陣に描かれているものに適応していたら、そこに魔力の柱が立つ筈である。

 ターンした途端に、虹の柱が3本いや、4本立ち上がる。
 
 さて、今回は時空と空間以外でどんな適正を描いたんだろうか?まー今更知ったとしても私には関係ないか。

「お父様、時空に、空間の適正がありますわ。他にも…………」

「あぁダイナその通りだ。かなりの価値が見込めるぞ。空間だけでもかなりの希少な適正だが、それに加えて時空や他の希少な属性もあるとなると、世界を探してもそんな人材はいないだろう。これは、取引先との価格を見直す必要があるな。10倍?いやいや、ここまでの希少価値なら、それだけでは済まんな。100倍以上だな。」

「お父様ついに私達の苦労が報われる日が来たんですね。」

 喜びあって、ダイナとプラダが喜んでいる所に突如ベチャッと茶色の物体が着いた。

  それを確認して、私は、小人さん達の召喚を解除した。そして、

「発酵(フェルメンテ)!!!!」

 大きな声で魔法を唱える。急速に茹でられた豆が発酵していく。

「いたい、臭いですわ。お父様、これは一体何ですの?触って振り払おうにも粘ついて、取れませんわ。気持ち悪いです。」

「ガーネット、何の魔法を唱えた。それに一体これは何なんだ!!」

 「プラダさんもダイナも他の皆さんも早くそれを落とした方が良いですよ。それは生き物を腐らせる呪いのナトーというものですわ。私が黒魔術を使えることはご存知でしょう。先程のものは、腐敗を加速させる呪いですわ。」

「ちょっちょっとお父様。私はこのまま腐れて死んでしまうのはいやですわ。早く落として下さい。」

「ダイナ、それは私も一緒だよ。後一歩の所でまさかこんなことをしてかしてくるとは。」

 「あっ、早く落とした方がいいですよ。免疫のない人程、腐る過程が早いですから。あっ、それとナトーを落とす方法ですが、海水で洗流すのが一番………」

   私が解決方法をいいわ終わらない内に、プラダもダイナも見張りの人たちもが我先にと倉庫の入り口に向けて走っていった。

「リリムちゃん、もういいわよ。」

 ぼふんという煙と共にキャロットちゃんの隣にリリムちゃんが姿を表した。

「リリムちゃんの出番です!って、もうないですね。」

 そういう話を、していると私の捕まっていた場所に転移ゲートが開き、中からマッシュ兄さん、ティムが現れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢は薬師を目指す~悪役令嬢ってなんですの?~【短編版】

ゆうの
ファンタジー
 公爵令嬢、ミネルヴァ・メディシスは時折夢に見る。「治癒の神力を授かることができなかった落ちこぼれのミネルヴァ・メディシス」が、婚約者である第一王子殿下と恋に落ちた男爵令嬢に毒を盛り、断罪される夢を。  ――しかし、夢から覚めたミネルヴァは、そのたびに、思うのだ。「医者の家系《メディシス》に生まれた自分がよりによって誰かに毒を盛るなんて真似をするはずがないのに」と。  これは、「治癒の神力」を授かれなかったミネルヴァが、それでもメディシスの人間たろうと努力した、その先の話。 ※ 様子見で(一応)短編として投稿します。反響次第では長編化しようかと(「その後」を含めて書きたいエピソードは山ほどある)。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました

みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。 日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。 引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。 そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。 香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜

光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。 それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。 自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。 隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。 それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。 私のことは私で何とかします。 ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。 魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。 もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ? これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。 表紙はPhoto AC様よりお借りしております。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!

くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。 ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。 マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ! 悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。 少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!! ほんの少しシリアスもある!かもです。 気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。 月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)

処理中です...