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第7章 アカネとフルーテスとのお茶会編
【男の娘091】ベジタル家での一年の成果
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春が過ぎて、初夏となった。私がベジタル家に来てから一年が経過した。私はお父様の書斎に呼ばれた。書斎にはお母様、マッシュ兄さん、お父様の3人だけである。
「ごほん。アカネ。契約から一年だったので、領地の成果を報告しよう。」
「はい、お願いします。」
はじめての成果報告である。日本にいた時は、お爺ちゃんとおばあちゃんちゃんが全てやっていたので、いくらの売り上げか上がったとか、どれだけの費用がかかったのかは分からなかった。
この瞬間は、学校で成績表をもらう時よりもドキドキするや。一年目は、ホットケーキミックスとして外郭は出来たし、フルーテスの家でもプレゼン出来た。お茶会も大成功だし、サトウキビの苗もティムのお陰で手に入れて、試作だけど黒糖も手に入ったから一年目の成果としては順調な筈だ。
「アカネは実にここに来てからの一年大変よくやってくれた。料理やお菓子の開発に、養蜂、ホットケーキミックス、日本酒、ロイヤルゼリーextra、砂糖と通常ではありえないスピードだった。領地に与えた貢献度としては文句なしの満点である。上記にくわえ、みんなの助力があったが、魔熊襲撃での被害を限りなく抑えたことも高評価であった。」
うんうん、滑り出しはいい調子だね。これなら、ひょっとするとひょっとするかもね。
「で、領地の売り上げに関してだが、こちらに関しては昨年と比較してほぼ横ばいだ。」
がっかりである。ちょっと褒められて、満点もらってもしかしたらという期待があった分、反動が大きかった。
「理由はいくつかあるが……。一番は開発業務に我々みんなが手を取られたことだな。新しいことをした分それに関する時間を取られ過ぎた様だ。これに関しては新規事業を行う上で避けられないことだろう。しかしだな、アカネガッカリすることはないぞ。それだけお金や時間を投資したにも関わらず横ばいなんだよ。これは、投資した新規費用を抜いて考えればかなりの売上アップとなる。そして、今年はその投資分の費用を回収していくごとになる。」
ほっと胸を撫で下ろす。後私に残された契約の期間は一年である。一年以内には結果を出さなくてはいけないのに。横ばいやマイナスでは成果が上がっておらず、達成の見込みは殆どないと思っていたが………よかった。これで来年には収益が改善されることが期待出来る。後はその収益の改善幅を契約の金額よりも、なるべく大きくこえることである。
「アカネよくやってくれたベジタル領の収益は今年は大幅にアップするだろう。」
「ありがとう。アカネ」
「ありがとうね、アカネちゃん」
「お父様も、お母様もマッシュ兄さんもこちらこそ私の我儘のために協力してくれてありがとう。契約を完遂するためにも今年はホットケーキミックスをバンバン作って、お菓子文化を増やしていきます。そして、マッシュ兄さんの婚約相手も今年中に探して参りますわ。」
そう私が発言した瞬間辺りが鎮まりかえった。
えっ、なんで?私何か不味いこと言ったかな?マッシュ兄さんが打ちひしがれている様に見える。お父様もお母様も苦笑いになっている。
「はっはは………。そうだね。それは宜しく頼むよ。そこまで慌てなくて良いからな。」
「ええ、そうね。マッシュには自分の相手だから本人にも頑張ってもらわないと。」
マッシュ兄さんがお母様に脇腹を肘で突かれている。なんでだろう?
「そっそうだよ。アカネ、それに関しては契約のことは気にしないでいいよ。僕は僕自身で結婚相手を探して、その人に好きになってもらえる様にするから。」
「いえでも……私から言い出した条件である以上、それは履行しないと契約が成立しないですわ。」
「父さん、この件に関しては契約の書面から除外してもらってもいいかな。他の条件はそのままでさ。」
「マッシュ本人が言うなら、私としては依存はないがアカネはそれでいいのかな?」
「え?ええ。私としては、条件が少なくなるので、領地の開発に専念できるので願ったりですけど。辺境の地では、嫁になる人がいないからと言う理由が元の契約だったと思うのですが、本当に良いのですか?」
「あぁ、勿論だとも。」
私たちは、お互いに持っていた契約書を持ってきて、婚約者を探す旨の文章を二重線で消し、お互いの母印を押して、契約を変更した。
「これで契約は変更になった。」
お父様の言葉に私は頷いた。これで懸念点が一つ払拭された。意外とマッシュ兄さんの婚約者探しは苦労するのだ。亜人で良いのなら獣人や鳥人でいい人とは何人かと知り合いになったんだけど、人間の女性となると、ほんっとーに難しい。
街に出かけたのも、メリーナのお茶会に参加したいくらいで、他は出かけていないのだ。だから、私自身がベジタル家に来てあった人間の未婚女性というと、メリーナだけなんだよね。そのメリーナも辺境と聞いている時点で完全に対象外になってしまった。
手紙で何度かやりとりして、マッシュ兄さんの婚約者になりそうな相手を紹介して欲しいと頼んだんだけど、良い返事が返ってこなかったんだよね。
「ごほん。アカネ。契約から一年だったので、領地の成果を報告しよう。」
「はい、お願いします。」
はじめての成果報告である。日本にいた時は、お爺ちゃんとおばあちゃんちゃんが全てやっていたので、いくらの売り上げか上がったとか、どれだけの費用がかかったのかは分からなかった。
この瞬間は、学校で成績表をもらう時よりもドキドキするや。一年目は、ホットケーキミックスとして外郭は出来たし、フルーテスの家でもプレゼン出来た。お茶会も大成功だし、サトウキビの苗もティムのお陰で手に入れて、試作だけど黒糖も手に入ったから一年目の成果としては順調な筈だ。
「アカネは実にここに来てからの一年大変よくやってくれた。料理やお菓子の開発に、養蜂、ホットケーキミックス、日本酒、ロイヤルゼリーextra、砂糖と通常ではありえないスピードだった。領地に与えた貢献度としては文句なしの満点である。上記にくわえ、みんなの助力があったが、魔熊襲撃での被害を限りなく抑えたことも高評価であった。」
うんうん、滑り出しはいい調子だね。これなら、ひょっとするとひょっとするかもね。
「で、領地の売り上げに関してだが、こちらに関しては昨年と比較してほぼ横ばいだ。」
がっかりである。ちょっと褒められて、満点もらってもしかしたらという期待があった分、反動が大きかった。
「理由はいくつかあるが……。一番は開発業務に我々みんなが手を取られたことだな。新しいことをした分それに関する時間を取られ過ぎた様だ。これに関しては新規事業を行う上で避けられないことだろう。しかしだな、アカネガッカリすることはないぞ。それだけお金や時間を投資したにも関わらず横ばいなんだよ。これは、投資した新規費用を抜いて考えればかなりの売上アップとなる。そして、今年はその投資分の費用を回収していくごとになる。」
ほっと胸を撫で下ろす。後私に残された契約の期間は一年である。一年以内には結果を出さなくてはいけないのに。横ばいやマイナスでは成果が上がっておらず、達成の見込みは殆どないと思っていたが………よかった。これで来年には収益が改善されることが期待出来る。後はその収益の改善幅を契約の金額よりも、なるべく大きくこえることである。
「アカネよくやってくれたベジタル領の収益は今年は大幅にアップするだろう。」
「ありがとう。アカネ」
「ありがとうね、アカネちゃん」
「お父様も、お母様もマッシュ兄さんもこちらこそ私の我儘のために協力してくれてありがとう。契約を完遂するためにも今年はホットケーキミックスをバンバン作って、お菓子文化を増やしていきます。そして、マッシュ兄さんの婚約相手も今年中に探して参りますわ。」
そう私が発言した瞬間辺りが鎮まりかえった。
えっ、なんで?私何か不味いこと言ったかな?マッシュ兄さんが打ちひしがれている様に見える。お父様もお母様も苦笑いになっている。
「はっはは………。そうだね。それは宜しく頼むよ。そこまで慌てなくて良いからな。」
「ええ、そうね。マッシュには自分の相手だから本人にも頑張ってもらわないと。」
マッシュ兄さんがお母様に脇腹を肘で突かれている。なんでだろう?
「そっそうだよ。アカネ、それに関しては契約のことは気にしないでいいよ。僕は僕自身で結婚相手を探して、その人に好きになってもらえる様にするから。」
「いえでも……私から言い出した条件である以上、それは履行しないと契約が成立しないですわ。」
「父さん、この件に関しては契約の書面から除外してもらってもいいかな。他の条件はそのままでさ。」
「マッシュ本人が言うなら、私としては依存はないがアカネはそれでいいのかな?」
「え?ええ。私としては、条件が少なくなるので、領地の開発に専念できるので願ったりですけど。辺境の地では、嫁になる人がいないからと言う理由が元の契約だったと思うのですが、本当に良いのですか?」
「あぁ、勿論だとも。」
私たちは、お互いに持っていた契約書を持ってきて、婚約者を探す旨の文章を二重線で消し、お互いの母印を押して、契約を変更した。
「これで契約は変更になった。」
お父様の言葉に私は頷いた。これで懸念点が一つ払拭された。意外とマッシュ兄さんの婚約者探しは苦労するのだ。亜人で良いのなら獣人や鳥人でいい人とは何人かと知り合いになったんだけど、人間の女性となると、ほんっとーに難しい。
街に出かけたのも、メリーナのお茶会に参加したいくらいで、他は出かけていないのだ。だから、私自身がベジタル家に来てあった人間の未婚女性というと、メリーナだけなんだよね。そのメリーナも辺境と聞いている時点で完全に対象外になってしまった。
手紙で何度かやりとりして、マッシュ兄さんの婚約者になりそうな相手を紹介して欲しいと頼んだんだけど、良い返事が返ってこなかったんだよね。
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