【完結】TS転生で悪役令嬢に?~婚約破棄され辺境に嫁ぎ、ホットケーキで結納金返済です。~

近衛 愛

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第6章 アカネと森の狼さんと熊さん クラッシュ編

【男の娘061】アカネと魔熊退治の結末

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「アカネちゃんすごいじゃないの。あの硬くて、獣臭くてとても食べられないお肉がこんなに柔らかく、美味しくなるなんて、まるで魔法でも見ているみたいだわ。」

一応、試食の時に何も手を加えていない熊肉、同じく薄く切って、焼いたんだけど、とても食べらるようなものじゃなかった。試しにみんな10円玉くらいの大きさにして食べたんだけど。

まず、噛みきれない。硬いゴムを食べているようだ。噛んでも噛んでも噛みきれない。そして噛むたびに嫌な獣臭い味があ口の中一杯に広がる。とても不味い。美味しくない。確かにティムの言いたいこともよく分かった。

鼻の効く、獣ならもっと嫌かも知れない。でも、肉食獣って、生肉を血のついたまま食べるから、そういうのは気にならないのかな。野生の狼達ならこれでも食べてくれるのかも。

結局、飲み込むことが出来なかった私とお母様は、口元を隠しながら、ゴミ箱に、噛んでいた肉片を吐き出した。ティムは、嫌な顔をしながらもごっくんと飲み干していた。

口の中が変な味が残っていて、必死に水で口の中を濯いでいた。

その後での、浸けたものを試食したので驚きは凄かった。でも、私が美味しいというまでは、二人とも手をつけなかったんだよね。

「いえいえ、お母様が蜂蜜やヨーグルトを作ってくれていたおかげですよ。いや、でも本当、少しだけど食べれる目処がついて良かったですね。」

「そうさね。流石に手をつけない状態でのあのお肉、お腹が空いていたとしても食べたくないからね。しかも、まだまだ大量に残っているから良かったわ。これで、森の熊の問題も解決したようなものよね。」


「そうですね。後は、夕食が終わったら、薄くスライスした熊肉をお鍋で煮込んでみますね。それで、肉が柔らかくなって、灰汁が取れれば、きっと調味料を使わなくても食べられると思いますから。」

「アカネちゃんが言うなら間違いないさね。さっ、ちゃっちゃと残りの夕飯の準備をしちゃおうか。今日は頼みの綱の可愛い小人さん達もいないからね。」

◆ ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆

夕食後、お父様からの発表があった。


「ペレストやグラファンに森の小動物や鳥たちに調査をしてもらった結果。森には約50頭ほどの熊が棲息していることが判明した。それに伴い、大幅に動物や木の実の数が最近は減少しているそうだ。

 狼達が、襲って来たのも、食べるものが少なくなった故に取りに行かせた感じだな。これは今朝までの報告の分だ。

 午後からは、その状況が慌しく変化した。広範囲に棲息していた熊が一箇所に集まり出した。どうやら、熊の主が昨夜一匹の巨浪になす術もなく、やられ、亡骸ごと持って行かれたのが原因のようだ。

 それで事態を重く見たのか、他も襲われることを危惧して集まったのか、復習しようとしての作戦会議かは分からんが集まったようだ。」


 ほえーーーーっ、昨日とってきた、さっきちょっと食べた魔熊の、お肉って、主人さんのお肉だったのね。ティムったらかなり強いのね。ドラゴンだから強いと言えば強いのだろうとは思ってだけど、ボス熊を一噛とは、、、

 ここら辺にティムの敵はいないようだね。これなら、安心して、熊を狩ってもらえるね。


「ペレスト達はその巨浪の話を聞いて、この地の神獣フェンリル様と結びつけた。かなり興奮して盛り上がっておったな。狼達も遠吠えをいくつも上げて興奮しておった。

 その中で今後のことについて話したのだが。

強いバックアップが出来たおかげか、意気揚々と群を連れて、狼達は、残りの熊をやっつけにいった。グラファンとペレスト達も一緒に討伐に行った。」


あらあら、展開が早すぎやしませんか?ティムに残りの熊も時間を、かけてゆっくりと狩ってもらう予定だったのに。熊肉もこれ以上は、増えないってこと?なんか拍子抜けの結末になっちゃってたね。

「その狼達と熊への反撃に対しての報告は明日以降もらうことになってある。なにはともあれ、これで大事は一つ完了したということだ。」

みんなそれ程被害もなく終わりそうでホッとしている。

◆ ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆

後日談、

狼達は、グラファンやペレスト達の協力も、あって無事に熊を追撃したもようだ。狼達の被害は大きかったものの、逃げ腰の熊を相手に辛勝を挙げた。

熊達は、また、巨狼が来ることを恐れ、森の奥に引っ込んでいったようだ。その際に足の遅い子熊を何匹か倒したようだ。

大人の熊相手には、あいも変わらず攻撃が通じなかったようだ。巨狼の存在の力が大きく影響していたようだ。

これで、牧場や家の周辺には魔熊の影はなくなり、さらに、狼の数も併せて激減したこともあり、小動物が暮らせる森たとなりました。

ベジタル家は、残った熊の肉を熟成させ、味を占めたのはよかったものの、もうしばらくは熊のお肉を味わうことが出来なくなりました。


「あんなに美味しく食べられるので有れば、もう何匹か狩っておけばよかったかのー」

ティムの食い意地が食卓を大きく賑わすのでした。



 
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