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第6章 アカネと森の狼さんと熊さん クラッシュ編
【男の娘050】アカネと牧場防衛2
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ペレトンさんが勝鬨を上げたが、狼達は気にせずに家畜や人間たちを襲っている。なんで?こういう時って、指令者を倒したら瓦解して、撤退するのがお約束のはずなのに。
ペレトンさんも状況が変わらずに戸惑っている。グラファンさんは、次の狼に移動して、空中から攻撃を仕掛けていた。
「ワォーん。おい、お前ら、俺がお前らのボスを討ち取ったと、言っているだろうが。これ以上は意味がないだろ。撤退しとけや。」
ペレトンさんが獣人による特性なのか、遠吠えをあげて、狼達に問いかけている。グラファンさんが鳥と話せるなら、ペレトンさんは、狼や羊、牛なんかと話せるのだろう。
しかし、戦いの喧騒が煩いためなのか、誰も見向きもしていない。何度かボス狼の頭を、高くかかげ、問いかけるが、狼の襲撃が止まることはなかった。
そこへ、
「ワォーん、ワンワン。」
と、老齢の狼が座りながら、ペレトンさんに向かって吠えている。
「なんだと、そりゃ、本当かよ。それなら、俺たちは、お前らここにいる狼を全て討伐することになるんだぞ。」
「ワォーん、ワンワン。」
「はっ、それは困るってか。だがな、俺たちは、お前らから仕掛けられたことで命の取り合いをさせられているんだ。お前らが手を止めない限り、俺たちが手を止めることはないんだぜ。」
「ワォーん、ワンワン。」
老齢の狼が先程より甲高い声で大きく吠えた。牧場に響き渡る遠吠えに、大鎌たちは、攻撃をやめ、老齢狼の後ろに下がっていった。
襲われていた家畜達はその場でうずくまり、人間たちは、荒い息を、上げ狼達の方を注視している。これから何が起こるかを待ち構えていた。
「ワォーん、ワンワン。」
「一旦は、引き上げたってか。なら、襲ってきた理由を詳しく聞こうか。それと、ボスがさっきの大狼じゃないとすれば、指揮者は、一体誰なんだ?ヨボヨボのあんたか?」
「ワォーん、ワンワン。」
「んー何何。ははーん。なるほどな。あっみんな今そこの老狼と話してたんだが、どうもこいつらは、ここを襲いたくて、襲ってきたのではないそうだ。」
「襲いたくて襲わなかったら、なんだって言うんだ?」
「こいつらも見ようによっては被害者でな。どうも、森の奥で生活していた魔熊どもがここ数年で繁殖し、徐々に生活エリアを拡大し、最近になって狼の生活圏に入ったようなんだ。
で、群れの長と側近の狼達は勇敢にも戦ったのだが、傷一つもつけられずに敗北したようだ。それにより、配下の狼達は、敗北を悟り、魔熊の軍勢に下ったようだ。
現在は魔熊たちの餌を集めるために狩に来ているらしい。魔熊達からの指令のため、ここの指揮官をいくら倒したところで意味がなかったわけだわな。」
「ペレトン、そいつは本当か。なら、狼達を倒した所でいずれは魔熊達とことを構えねばならんことになるな。」
「その通りですね。ベジタルさん。ましろ、今、先に狼達が襲って来たのがラッキーくらいなものですよ。こちらは負傷者こそいるものの、死者は幸い出ておりませんし。何より、これ以上繁殖し数を増やす前に討伐しに行くことが可能です。」
「グラファンその通りだな。そして、魔熊に対抗するための準備をする時間もわずかだがある。それに。。。」
ちらりとお父様が狼達の方を向く。
「上手く行けば、戦力も確保出来そうだからな。ペレトン、狼達を説得して、私達と一緒に魔熊達と戦ってくれるように説得してくれるか?」
「もちろんよ。ベジタルの旦那。ワォーん・・・」
「アカネどうやら、ここでの襲撃はこれで終了のようだね。もっとも次の戦いが見えてきたがね。」
「マッシュ兄さんお疲れ様です。よかったー、幸い死者は出ませんでしたからね。でも、狼の勇士でも、傷一つつけられない、魔熊複数って、倒すことが出来るんですか?狼の噛みつきや引っ掻きって、私にされると一撃で致命傷になりそうに見えますよ」
「それに関しては、まだどうなるかはわからないな。多分、これから、魔熊討伐に向けての作戦会議が始まるから、そこで具体的な案が決まるだろ。アカネは、心配しなくていいよ。僕だちが、必ず仕留めて、アカネや母さん、キャロットだちを守って見せるから。」
とマッシュ兄さんが、守ると言い切ってこちらを向いてニカっと笑った。こんな兄さんを見たら絶対に惚れてお嫁にくる女性いると思うんだよね。
私もちょっとくらっときちゃうし。でも、その姿を見ることって、危険な場面にならないと見れないから、それはちょっと難しいかな。吊り橋効果ってやっぱり効果あるんだろうね。人が動物として生きて来た時の本能に由来する部分かな。
危機的な状況になると、種の保存をしようと本能が動き出して、感情に訴えかけるみたいな形で。そういう意味では、最近の日本の少子化は、そういう危機的な状況になることがないから種の本能が働いていないせいもあるのかも知らないわね。
ペレトンさんも状況が変わらずに戸惑っている。グラファンさんは、次の狼に移動して、空中から攻撃を仕掛けていた。
「ワォーん。おい、お前ら、俺がお前らのボスを討ち取ったと、言っているだろうが。これ以上は意味がないだろ。撤退しとけや。」
ペレトンさんが獣人による特性なのか、遠吠えをあげて、狼達に問いかけている。グラファンさんが鳥と話せるなら、ペレトンさんは、狼や羊、牛なんかと話せるのだろう。
しかし、戦いの喧騒が煩いためなのか、誰も見向きもしていない。何度かボス狼の頭を、高くかかげ、問いかけるが、狼の襲撃が止まることはなかった。
そこへ、
「ワォーん、ワンワン。」
と、老齢の狼が座りながら、ペレトンさんに向かって吠えている。
「なんだと、そりゃ、本当かよ。それなら、俺たちは、お前らここにいる狼を全て討伐することになるんだぞ。」
「ワォーん、ワンワン。」
「はっ、それは困るってか。だがな、俺たちは、お前らから仕掛けられたことで命の取り合いをさせられているんだ。お前らが手を止めない限り、俺たちが手を止めることはないんだぜ。」
「ワォーん、ワンワン。」
老齢の狼が先程より甲高い声で大きく吠えた。牧場に響き渡る遠吠えに、大鎌たちは、攻撃をやめ、老齢狼の後ろに下がっていった。
襲われていた家畜達はその場でうずくまり、人間たちは、荒い息を、上げ狼達の方を注視している。これから何が起こるかを待ち構えていた。
「ワォーん、ワンワン。」
「一旦は、引き上げたってか。なら、襲ってきた理由を詳しく聞こうか。それと、ボスがさっきの大狼じゃないとすれば、指揮者は、一体誰なんだ?ヨボヨボのあんたか?」
「ワォーん、ワンワン。」
「んー何何。ははーん。なるほどな。あっみんな今そこの老狼と話してたんだが、どうもこいつらは、ここを襲いたくて、襲ってきたのではないそうだ。」
「襲いたくて襲わなかったら、なんだって言うんだ?」
「こいつらも見ようによっては被害者でな。どうも、森の奥で生活していた魔熊どもがここ数年で繁殖し、徐々に生活エリアを拡大し、最近になって狼の生活圏に入ったようなんだ。
で、群れの長と側近の狼達は勇敢にも戦ったのだが、傷一つもつけられずに敗北したようだ。それにより、配下の狼達は、敗北を悟り、魔熊の軍勢に下ったようだ。
現在は魔熊たちの餌を集めるために狩に来ているらしい。魔熊達からの指令のため、ここの指揮官をいくら倒したところで意味がなかったわけだわな。」
「ペレトン、そいつは本当か。なら、狼達を倒した所でいずれは魔熊達とことを構えねばならんことになるな。」
「その通りですね。ベジタルさん。ましろ、今、先に狼達が襲って来たのがラッキーくらいなものですよ。こちらは負傷者こそいるものの、死者は幸い出ておりませんし。何より、これ以上繁殖し数を増やす前に討伐しに行くことが可能です。」
「グラファンその通りだな。そして、魔熊に対抗するための準備をする時間もわずかだがある。それに。。。」
ちらりとお父様が狼達の方を向く。
「上手く行けば、戦力も確保出来そうだからな。ペレトン、狼達を説得して、私達と一緒に魔熊達と戦ってくれるように説得してくれるか?」
「もちろんよ。ベジタルの旦那。ワォーん・・・」
「アカネどうやら、ここでの襲撃はこれで終了のようだね。もっとも次の戦いが見えてきたがね。」
「マッシュ兄さんお疲れ様です。よかったー、幸い死者は出ませんでしたからね。でも、狼の勇士でも、傷一つつけられない、魔熊複数って、倒すことが出来るんですか?狼の噛みつきや引っ掻きって、私にされると一撃で致命傷になりそうに見えますよ」
「それに関しては、まだどうなるかはわからないな。多分、これから、魔熊討伐に向けての作戦会議が始まるから、そこで具体的な案が決まるだろ。アカネは、心配しなくていいよ。僕だちが、必ず仕留めて、アカネや母さん、キャロットだちを守って見せるから。」
とマッシュ兄さんが、守ると言い切ってこちらを向いてニカっと笑った。こんな兄さんを見たら絶対に惚れてお嫁にくる女性いると思うんだよね。
私もちょっとくらっときちゃうし。でも、その姿を見ることって、危険な場面にならないと見れないから、それはちょっと難しいかな。吊り橋効果ってやっぱり効果あるんだろうね。人が動物として生きて来た時の本能に由来する部分かな。
危機的な状況になると、種の保存をしようと本能が動き出して、感情に訴えかけるみたいな形で。そういう意味では、最近の日本の少子化は、そういう危機的な状況になることがないから種の本能が働いていないせいもあるのかも知らないわね。
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