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第5章 アカネと美味しい食卓

【男の娘040】アカネとマヨネーズの魔力

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「では開始しますので、お母様は見ないようにお料理しててくださいませ。」

「あいよ。終わったら声かけてね。」

 私は材料を取り出す。酢がなかったので、ワインビネガーで代用です。多分大丈夫なはず。
油はうちの農園で採れたオリーブオイルを使用する。植物油ってイメージがあるけど、動物性の油でも大丈夫なのかな?いや、固形化しそうな気もするし、マヨネーズには不適合だよね。きっと。

 たまごを、机の角に当てて、割れ目を入れ、二つに割ります。割った殻を利用して、片方の殻から、卵黄だけを上手いこと移動させる。卵黄だけになったら、それをボールに入れる。白身はマヨネーズには使わないので、後で卵焼きの材料にドッキングさせるよ。

 ボウルに残りの材料の、塩、ワインビネガーを入れて攪拌します。オリーブオイルは一度に全部入れると分離してダメになるので少量ずつ入れて攪拌していきます。白く濁ってきたら再びオリーブオイルを少量入れて、再びかき混ぜる。その繰り返しです。

 クリーム状になったら完成なんだけど、腕がきつい。かき混ぜすぎて、腕が腱鞘炎(けんしょうえん)になりそうだよ。地球ならハンドミキサーがあって、スイッチ入れれば、ビュ~~~ンとかき混ぜてくれてこんな大変な思いしなくてもいいのに。。。あっ、お菓子作るときにメレンゲ作った方がいいけど、これもやっぱり攪拌が大変だから、ハンドミキサーが欲しいな。次点で泡だて器が欲しい。

 今は、フォーク数個と、さっき使った木の棒を複数まとめて使用してかき混ぜている。うん、菜箸(さいばし)も欲しいな。普段使い慣れている調理器具が使えないってすごい不便だね。ホットケーキもメレンゲ入れてフワフワにしたいし。調理器具の開発も急務で行わないとね。

 事前調査せずに結納金の返済期間を2年にしたのは、失敗だったかもしれない。足りないものが多すぎるよ。というか、全部開発して、売りに出していったら、それだけでも商売で成功しそうな気もするね。

「う~~う~~、腕がだるくて回せない。まだ全然マヨネーズになってないよ。こんな時に風魔法が使えたら、小さな竜巻を起こして、ボールの中で攪拌させるのに。。。んっ、そうだ。

小人さん。ちょっと手伝ってくれる?」

と7人の妖精さんたちがとことこと作業をやめてこちらにやってくる。

「このボールの中にあるものを思いっきりかき混ぜてくれる?」

7人の小人が一斉に敬礼をして、作業に取り掛かる。

「うん、助かったよ。風魔法に頼らなくても、私には7人の小人さんがいるもんね」

 数分後、マヨネーズが完成した。ちょっと、スプーンで掬(すく)って舐めてみると、うん、マヨネーズの味だ。でもやっぱりちょっと味が違うね、ワインビネガーとオリーブオイルを使った影響みたい。いつもはお酢とサラダ油使っているからね。油によっても味が変わるからマヨネーズの七変化だよ。ごま油のあの香ばしい香りと味が好きだから、それでマヨネーズ作るのもいいかもしれない。

 ひとまずは、マヨネーズの味になってるし試作品としては完成だね。

「お母様マヨネーズ出来ましたわ。是非ご試食なさって下さい。」

「あら、かなり頑張ってたみたいだけど出来たのね。どれどれ。」

とちょんと小指をマヨネーズにつけて、口の中に入れてみる。

「独特の癖のある味だね。これはアカネちゃんの言う通り、旦那とマッシュは目の色を変えてたべそうな気がするわ。調味料本体を出すのは禁止だね。サンドイッチにして出す分には問題ないよ。」

「やった~~~。お母様、ニンジンのスティックをこれにつけて食べても美味しいですよ。あとさっきの揚げ物も。」

「そうかい?じゃ~もう少し食べてみようかね。」

 ニンジンのスティックにマヨネーズをちょっとつけて食べて、その後は、また何度もつけてニンジンスティックを完食してしまった。揚げ物もお肉と、野菜を一品ずつだけ試してもらった。

 いやね。お母様自身も揚げ物とマヨネーズの魔力に囚われてしまったみたいで、さっきから延々と試食を繰り返して、朝食の量としては完全にオーバーしてしまっている。これから、まだサンドイッチの試食が残っているんだけど、大丈夫かな?

「いや、このマヨネーズ美味しいわね。ニンジンにつけて食べると、野菜苦手な子でも食べれそうだし、揚げ物もより一層味わいがましているわね。マヨネーズの作り方見てなくてよかったわ。自分で作ってたら、延々と作っては食べ、作っては食べを繰り返しそうだもの。

 しばらくは、少しずつ出して、みんなに慣れていってもらった方がいいかもね。これは獣人の皆さんも目の色を変えて欲しがるだろうから、絶対にあげてはいけないよ。きっと、ふわふわパンの時よりも大変なことになるからさ。」



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