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第5章 アカネと美味しい食卓

【男の娘039】アカネとお弁当とサンドイッチ

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 その後も試食と称して、揚げたての野菜やお肉を1種類ずつ二人で堪能していく。至福の一時だね。これがあるから料理はやめられないよ。不味いものを食べるときもあるけど、それは自分で美味しいものを作っていけば少なくなるし、美味しい熱々を食べれるのは料理人だけなんだよ。

 そうこうしているうちに食パンも焼きあがった。出してみると、うん。食パンとはいいがたい形状をしている。もうね、山の間を抜けるトンネルみたいな形ですよ。しかも綺麗な円じゃなくてガタガタだし。見る人によっては手に取ってもらえそうにない造形になってしまったよ。

「へ~これが食パンかい?普通のパンと同じように見えるけど。」

 とお母様が所見の感想を漏らしてくるので、私はさっと16枚切の厚みで1枚だけカットした。耳の所は私が美味しく頂くことにして、中の白い部分をお母様にお渡しした。

「なるほどね。そうやって、切って食べるもんなんだね。確かにいつものフワフワのパンよりさらに白い中身の分だけだからさらにフワフワだね。で、これをもう一度焼き上げるとトーストになるわけかい?」

「ええ、そうですよ。お母様。食パンはどちらかと言えば、再度焼き上げる方が用途としては多いですね。フワフワの好みの人はそのまま、カリカリが好みの人は焼き上げてトーストにして食べれば問題なしです。」

「再度焼き上げるなら、多少乾燥してぱさぱさになっても問題ないわけだね。これは少し作りおきが出来そうだね。」

「お母様。ちなみにこの食パンがあると、サンドイッチが作れちゃうんですよ。」

「なんだい、そのサンドイッチっていうのは?」

「サンドイッチというのはですね。卵焼きやレタス、キャベツ、トマト、チーズ、お肉なんかを好みで挟んで食べるものですよ。パンで挟んで食べるので手も汚れませんし、フォークやナイフも不要ですわ。私今日のお弁当はさっきの揚げ物とサンドイッチにしようと思ってますの。これなら屋外でもあまり傷みを気にしませんし、手軽に食べれますから。」

 欲を言えば、サンドイッチにはマヨネーズは欠かせないと思っている。でも材料は卵(卵黄)、塩、油、酢が必要なんだよね。酢がまだ見てないからあるかどうかわからないし。それにマヨネーズは、ガーネットの時も食べたことはなかったから、おそらくこの世界には存在しないと言っていい。

 これは揚げ物に続くというか、それを超える上で大量の中毒症状者と肥満体形を作成する超危険な食べ物なんだ。日本ではマヨネーズをこよなく愛するマヨラーなるものが存在していたようだ。白ごはんに、マヨネーズをかけて食べるらしいけど、美味しいのかな?試したことはないけど。

 危険危険とても危険な食べ物なんだ。ランクで言うと、揚げ物がAランクなら、マヨネーズは危険度Sランクになってしまう。私はこの食べ物をこの世界に蔓延させてもよいものだろうか?ややちょっとふっくらしている人までが多いこの世界で、マヨネーズと揚げ物を作ってしまえば、確実に肥満体形の方が出てくること請け合いだ。

 だがしかし、美味しい料理を作るためには、マヨネーズは基本調味料の1種と考えていいよね。出来れば、今後は小麦粉の生産地を活かし、お好み焼きやたこ焼き、フランクフルトなども作っていきたい。マヨネーズがないとそれらの美味しさは半減してしまう。

 私一人の判断で決めてしまってよいものだろうか?でもその前にお母様にお酢があるかどうか確認しないとね。

「お母様、サンドイッチを作るにあたりどうしても調味料が一つ必用になってくるのですが」

「なんだい、アカネちゃん?その必用な調味料って?」

「お酢です。」

「お酢?聞いたことはないね。」

「お酢でなければ、ビネガーでしょうか?舐めると酸っぱく感じる液体調味料です。」

「ああそれなら色々とあるよ。料理でもたまに少し使うよ。あんまり多すぎると、誰も食べなくなるよ。」

 っと、一度ビネガーをメインに使った料理を出したことがあるのか、お母様がテヘッツっと可愛く舌をだした。お母様可愛いですわ。

「それを少し使わせて下さい。我が国の最終兵器の調味料マヨネーズを作ります。お出しするかどうかは、お母様のご意見を聞かせてもらてからにしようと思っています。」

「最終兵器の調味料だって、なんだってそんな物騒な表現になっているんだい?毒でも入っているのかい?」

「毒、毒ですか?薬も野菜も食べすぎればなんでも毒になりますから、毒といえば毒ですかね?でも、少量ならさほど身体への影響はほとんどありませんわ。」

「ま~そうさね。油自体が採り過ぎると体に悪いからね。でもそこまで言うんだったら、まだなにか懸念すべき材料があるんだろ?」

「ええ、この調味料は、禁断の秘薬とでも申しましょうか?若干の中毒性が見られるんです。ですので、意思の弱い方が食べてしまうと、取つかれたようにマヨネーズを欲してしまうのです。そして、取つかれてマヨネーズを摂取し続けた結果、肥満体質、病気等に比較的にかかりやすい身体になってしまうのです。」

「う~~んでもそういわれてもね~。アカネちゃんの作る新しい料理自体が中毒性がかなり高いのよ。パンケーキにしたって、フワフワパンにしたって、それにこれから出す揚げ物料理なんかきっとみんながっついて奪い合うように食べると思うんだよ。」

「お母様マヨネーズの魔力はそんなものではありませんわ。それ以上の力を持っていますの。それに、マヨネーズはあくまで調味料ですから、先ほど言った料理との相性はすごくいいのです。さらに奪い合って食べる事態になるかもしれませんわ。」

「そこまでかい。アカネちゃんがそこまで心配するのはわかったわ。私もマヨネーズの作成方法はみないから、ちょっと仕上がったものを味見だけする。そして、それをどうするか私が判断するってことでひとまずやってみようじゃないの。」
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