上 下
37 / 105
第5章 アカネと美味しい食卓

【男の娘037】アカネとお弁当作り

しおりを挟む
ふぁ~~~~今日も朝が早いよ。マッシュ兄さんとお出かけするから、力を入れてお弁当を作らないとね。朝の朝食の準備もあるからあまり時間もないし、テキパキするよ。

 過発酵したタネをパン生地に混ぜると、いつものよりも膨らみが若干早いような気がするね。確か加熱すると、酵母の菌が死んじゃうって話だったから、これを乾燥させて、粉末にしたら、ベーキングパウダーの代わりになるんじゃないかな。こういう時に火と風の魔法が使えたら、急速に乾燥させて実験が楽になるんだけどな。

 あっ、いいここと思いついた。『加速(アクセラレイト)』をパン生地にかければ、急速に乾燥するんじゃないかな?あっ、でも私って魔法禁止されてるんだっけ。結構もどかしいな~思いついたことをその場で試すことが出来ないっていうのは。

 仕方ない、お弁当の準備もあるし、これは自然乾燥させておこう。まとまっていると、空気との接触面積が少ないから、乾燥しにくいし、細かく、刻んで、お皿の上に乗っけておけば多分大丈夫だよね。

 あっ、いけない、お母様がそろそろ起きてくるから、パンだけでも準備しておかないと。今回は、魔法を使わずに発酵してある。そろそろ魔法なしで出来ることを増やしていかないとね。っと、魔法を使ってないから。

『七人の小人』

小人たちが召喚された。
「みんなおはよう。」

小人たちが揃って敬礼をする。
「今日はね。ちょっとお出かけするのにお弁当作るから、少し手伝ってくれるかな?」

みんな揃ってグッジョブとばかりに親指を立ててくる。

 さて、細かい指示はしたし、私はパンを成型していく。今日作るのは、いつものパンも作るけど、食パンを作るんだ。金型がないから、長方形の綺麗なホテルの食パンにはならないけど、長ーい、太ーいパンを作って、カットして出す予定なんだ。

 これも相談案件に入るのかな?いや、昨日は既にトーストを出しているから、これに関しては必要ないよね。
「生地を捏ね捏ね捏ね~~~る
 捏ねれば捏ねれるほど
 生地がまとまって
 美味しくな~~~る。」

なんか前に見た魔女のお菓子みたいな歌になっちゃったな。ふふふっ。

「あら、アカネちゃん。おはよう。朝からえらくご機嫌だね」

「お母様おはようございますわ。あら、やだ、聞いてらしたんですか?」
お母様の肌も今日はプルプルしてるよ。なんでだろう?

「そりゃ、もう、朝の支度に降りてきたら、リズムのいい歌が聞こえてきたからね。邪魔しちゃ悪いと思って、後ろで終わるのを待ってたのさ。」

顔がちょっと赤くなる。なにそれ、ちょっと恥ずかしいよ。

「それで、何を今日は作ってたんだい?」

「はい、昨日話してた食パンを作ってみました。」

とドデーンっと長くて太いパン生地を出してみる。

「これが食パンね~フランスパンとは違うのかしら?」

「ええ、違いますよ。でも本来の形ではないんですけどね。長方形の金型に入れて焼成するのが食パンの本来のやり方ですから。上手く言ったら、お父様にお願いして準備してもらいます。」

「それは今日の朝食が楽しみだね。それはそうと、隣で作っているのはなんなんだい?」

「それはですね。マッシュ兄さんに外に連れて行ってもらうので、のんびりするためにお弁当を作っているんですよ。マッシュ兄さんの好物ってお肉ですかね?」

「あらあら、それはいいね。なら、私も今まとめてお昼の準備もしちゃおうかね。あの子は好き嫌いはほとんどないからどれも食べれるから好きに作っても大丈夫だよ。好みといえば、分厚いお肉のステーキなんかだけど、あれは冷めると美味しくないだろう。」

「ああ~なるほど。なら、コロッケか、豚カツか、から揚げなんかなら大丈夫そうですね。せっかくだし、揚げ物料理しちゃいましょうかね。丁度この間の鹿の脂身が大量にあるから、こまらないけど、ちょっと植物油じゃないからくどくなるかな?」

「へ~遂に揚げ物料理かい。せっかくだし、うちの分もやっておくよ。アカネちゃんが今作るってことは冷めても美味しいんだろう?」

「えぇ、揚げたてが美味しいのは言うまでもないですが、冷めてもいけますよ。皆さんなら炎の魔法で簡単にあっためられると思いますよ。」

「いや、そんなことは出来ないよ。私は少なくともそんなに繊細な魔法は出来ないね~。種火を起こすとかなら問題なく出来るけど、何かを温めるのは私は出来ないよ。」

「えっ、そうだったんですか?てっきり皆さん使える魔法は生活で、色々な所で使えると思ってたんですけど。。。。あっ、お母様、今ちょっとお聞きしたいんですけど、お友達に手紙を送っても大丈夫でしょうか?というかここって手紙って送れますか?」


「大丈夫だよ。アカネちゃんはちゃんとその辺弁えているから、私達が今秘密にしようとしていることは書かないと思うからね。でも、手紙はそうそうこの辺境にはこないよ。というか配達員自体うちには来ないからね。」

「そっ、そうなんですか?ではどうやって都市部や他の貴族の方と連絡を取っているのでしょう?」

「そうね。アカネちゃんが来てから、まだ来てないけど、都市とここをまたぐ行商人の人が月に1度くるんだけど、その時に配達をしてもらっているよ。あとは急ぎなら、伝書鷹(でんしょたか)を使うことがあるわね。鳥人族からお借りして、だすわね。もちろん都市からも伝書鷹でくるわよ。」

 おお~~っと、文明が遅れていると思っていたけど、スマホもない携帯電話もない、手紙すらまともにないときましたか。

「遠くの人と音声で通話する手段とかってないんですか?その特別な緊急の時だったり?」

「あるにはあるわよ。でも、国の重要施設やお偉い上流貴族の方のみだったりするわね。私らみたいな辺境貴族にはないし、あったとしても、相手がその通信手段を持っていないと、連絡の取りようがないからね。」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

公爵令嬢は薬師を目指す~悪役令嬢ってなんですの?~【短編版】

ゆうの
ファンタジー
 公爵令嬢、ミネルヴァ・メディシスは時折夢に見る。「治癒の神力を授かることができなかった落ちこぼれのミネルヴァ・メディシス」が、婚約者である第一王子殿下と恋に落ちた男爵令嬢に毒を盛り、断罪される夢を。  ――しかし、夢から覚めたミネルヴァは、そのたびに、思うのだ。「医者の家系《メディシス》に生まれた自分がよりによって誰かに毒を盛るなんて真似をするはずがないのに」と。  これは、「治癒の神力」を授かれなかったミネルヴァが、それでもメディシスの人間たろうと努力した、その先の話。 ※ 様子見で(一応)短編として投稿します。反響次第では長編化しようかと(「その後」を含めて書きたいエピソードは山ほどある)。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈 
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...