【完結】TS転生で悪役令嬢に?~婚約破棄され辺境に嫁ぎ、ホットケーキで結納金返済です。~

近衛 愛

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第5章 アカネと美味しい食卓

【男の娘029】アカネとフワフワパンとベジタル家の食事

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 その後キャロットちゃんも帰ってきたので、改めて私がガーネットからアカネに名前を変えたことを説明した。

「わかりましたわ。アカネお姉様」

うん、キャロットちゃん可愛いよ~~なでなでしてあげちゃう。

食事はいつものお母さまと執事の方が作る食事に今回は私が手伝ったパンも一緒に乗っかっている。

「「「では、頂きます」」」

 みんな食事を食べ始めた。ベジタル家の食事は、貴族のものとは変わっていて、一人一皿ではなく、大皿にどっと料理が載っていて、それをみんなで小皿に取り分けて食べるピュッフェスタイルのようだ。昨日は、私の歓迎の意味もあって、豪勢な食事と一人一皿という貴族スタイルでもてなしてくれたんだって。

 で、パンの味を先に試食して知っているので、先に我が先だと言わんばかりに、パンを3つも4つも取って、口の中に急いでほうりこんで、食べている。。。

「お父様そんなに慌てなくても、パンは別に逃げもしませんよ。それより、そんなに早く食べると。」

「ごほっ、ごほっ、喉に詰まった。水、水をくれ、ゴホッ」

「ほらほらあなた、お水ですよ。ゆっくり食べないからそうなるんですよ。」

「いや失敬。みんなが味を知らないうちに食べるだけ食べようと思った私が浅はかだったようだ。」

「もう、お父様ったら。ふふっ。そんな姿見てると、ペレストさんがやってたこととあまり変わり映えしませんよ。」

「はははっ、いや流石にあそこまでぶっとんではないだろう」
とお父様はお母様の方を見る。お母様は微笑むだけで、ノーコメントだ。

「えっ、そこまでだった。いやはやすまんな。あまりにパンが上手いので我を忘れてしまった。」

「父さん。そんなに慌てて食べなきゃいけないほど、美味しいの。見た感じいつもと変わらないけど。僕も一つ。」

「私も一つ頂こうかしら。」

 マッシュ兄さんに続き、キャロットちゃんもパンを一つ手に取って食べる。私とお母様はお互いをみて、ニヤニヤしながら成り行きを見ていた。

「えっ、このパンなに?いつもと違う。」

「本当ですわ。お兄様。パンがすごくフワフワで固くありません。そのためかすごく美味しいです。」

 私とお母様は二人でハイタッチする。やっぱりね。料理を作っているものとしては、美味しいって心から言ってもらえると嬉しいよね。私は、パン作りしか手伝ってないけど。

「母さん。このパンは一体なんなの?」

 とお母様にマッシュ兄さんが聞きながら、パンを2つも3つも自分のお皿に運んでいく。キャロットちゃんも自分の分がなくなると思ったのか。2つパンを持って行く。山にして積んであったパンがどどんどん減って行き、底が見え始めた。

 バトリンたちも、二人のそんな状況を見て、もの欲しそうな目線を送っているが、あいにく家のものが我先にととっているようで、中々取れないようだ。私はお皿にパンを一つずつ取って、執事の皆さんにも配ってあげていた。私とお母様の分のパンはいらないのかって?大丈夫ですよ。私達、二人は試食と称して、焼きたてのパンを頬張ってましたから。正直言うと、お腹がパンで一杯なんですよね。サラダとスープ飲めれば今日はもういいかなって気分なんです。

 「「「これはお嬢様。お気遣いありがとうございます。では私共も頂きます」」」

3人一斉にパンを食べ始める。驚きの表情が3人一斉に出る。

「「「お、美味しい」」」
この執事の人達、実は3つ子とかって落ちはないのかな?でも、顔とか体形とかが似てないんだよね。

「マッシュ。このパンはね。お母さんとアカネちゃん二人で作ったんだよ。ちなみに焼きたてのパンはもっと美味しかったよ」

 いや、お母様そこで焼きたてのパンのことを別に言わなくても、お母様の顔を見てみると、ドヤ顔してました。もうあれです。美味しいものを一番先に食べれるのは、料理を作るお母様の特権なのよってオーラが出ています。

「えっ、お母様。このパンよりも焼きたてのパンはもっと美味しいのですか?」

キャロットちゃんがビックリしてお母様に尋ねる。


「それはそうよ。やっぱり料理は出来たてのホカホカが一番美味しいもの」

 私はこっそり、ダイニングを抜け出し、調理場に向かっていった。実は、食後にホットケーキのデザートを出し、さらにみんなを驚かせようとお母様と画策していたのだ。



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