【完結】TS転生で悪役令嬢に?~婚約破棄され辺境に嫁ぎ、ホットケーキで結納金返済です。~

近衛 愛

文字の大きさ
上 下
27 / 105
第4章 アカネと便利な魔法

【男の娘027】アカネと二人の亜人と美味しいパン

しおりを挟む
「ベジタルさんそちらの美しい女性をご紹介して頂けませんか?」

 コンドルっぽい人がお父様に尋ねてきた。

「そうですな。ご紹介が遅れました。先日より、うちの家族の一員となって。アカネさんです。」

「ご紹介に預かりました。アカネと言います。皆様宜しくお願いします。」

 綺麗なお辞儀をスカートをつまみながら行った。

「アカネさん宜しくお願いします。私は鳥人族の若人集の代表をしております。ドルファンと申します。宜しくお願いします。」

丁寧な形で、握手を求めてきた。やだこの鳥人凄い礼儀正しい。私も握手をにっこりと笑いながら返した。

「アカネちゃんやね。うちは、同じく獣人族の若人集の代表ぺレストいいます。宜しゅう。」

 ペレストさんも同じく握手を求めてきた。この人は、明るい感じのタイプですね。同じく握手をし返した。

「はい、こちらが本日の焼きたてのパンになります。ぜひ、皆さまで召し上がって下さい」

「あ~ありがとう。」

「お~いい匂いがするじゃないか。どれ一つ。」

 ぺレストさんが袋を開けて、パンを一つつかみだし、そのままパンを豪快にかぶりつく。

「おいぺレスト、それは帰ってからだろう。」

「もぐっ、もぐっ」
「うん?今まだ食べたことのないくらいフワフワのパンやな。うん、美味い」


「なに、それほどなのか。」
とじーっと、ぺレストさんがパンを食べているのを見つめるドルファンさん。


「ドルファンさん、よかったら、ここでおひとつパンを食べていかれたらどうですか?」

「アカネさんありがとうございます。ではお言葉に甘えて。」

ドルファンさんは一つパンを掴み、一口サイズにちぎってから食べ始めた。

「確かに、このパンはとても美味しいです。焼いてから時間が経っていないのもありますが、それにしてもここまでのふわふわして美味しいパンは食べたことがありません。」

「なに、それほどのものかね。母さん、アカネ私の食べる分はどこにあるのかね。」

 いや、お父様。なにお客様の前で食い意地を張ってるんですか。

「あなたのは、ちゃんと夕食分ご用意してあるから、まだしばらくお待ちになって下さい。それにお客様の前で、はしたないですよ。」

「そっ、そうか。わかった。」

いや、その顔は全然わかった顔じゃないですよ。お父様。だって、ず~~っと二人の食べているパンに目がロックオンされてますよ。そんな風に見つめてたら、。。。

「あのよかったら、このパンいかがですか?」

 と、袋の中からドルファンさんが一つ取り出し、お父様に向けて差し出した。いや、そうなるでしょ。

「これはこれはドルファンさんかたじけない。ではひとつ頂きますよ。」

お母様がお父様にあきれた視線を投げかけている。いやはやごもっとも。お客さんにあげたパンをもらうってのは貴族としていかがなものかと思いますよ。

お父様は頂いたパンを一口かぶりつく。

「ふもっ、たしゅかに。もぐ。これはひゃわらはふくて、ほいひい。」

「あなた、しゃべるか、食べるかどちらかにしてくださいね。」

 もぐもぐと急いで咀嚼して、飲みこんだ。「ごっくん」

「いやはや、これは今迄食べたことのない柔らかいパンだ。今日のは凄いいい出来だね。一体どうしてこうなったんだ。」

 その言葉に反応して、ドルファンさんと、ぺレストさんも興味があるようで食べるのを止めてこちらに視線を送ってきた。

「いや、特に変わったことはしてないよ。いつもと違うのは、アカネちゃんと一緒にパンを作ったことぐらいだね。アカネちゃん。」

「そうですね。お母様。普段と同じように作りましたものね。私は少しお母様のお手伝いをしてきただけですし。」

 お父様にはあとでお話しますけど、ここにはペレストさんと、ドルファンさんがいるからね。あまり魔法を使ったということは話せないんだよ。

「そうか、となるとアカネちゃんがお手伝いすると、パンが美味しくなるのかね。うむ、今日の夕食が楽しみだ。ぐはははっはっ」

 お父様が大喜びしている。そんなに喜んでもらえたら、作った方としては嬉しいよね。お母様の方を見てみると、嬉しそうに笑っていた。

「さぁ~~切り終えたよ。ぺレストさん、ドルファンさんこっちをお持ち帰り下さいね。」

「奥様ありがとうございます。では夕食の準備もありますので、ここらで失礼させて頂きますね。」

 と一礼して、ドルファンさんが去っていっこうとする。。。でも、ペレストさんがこっちをじ~~~っと見つめて、動かないどうしたんだろう?それに気づいたドルファンさんが声をかける。

「おい、ぺレスト失礼するぞ。」

「いや、ちょっと待ってくれ。このパンは非常に美味い。俺たち獣人は、美味しいものを食べると元気がもりもりでて、その分やる気がみなぎってくるんだ。」

は~そうなんですね。確かに、疲れた後に美味しいご飯を食べれるなら疲れるお仕事も頑張れますね。

「このパンはそれに相応する美味いものだ。出来ればこれを毎日食べたいと思っている。おかみさん。アカネちゃん。よかったらウチに来て、飯を作ってくれないか?」

 なんとあろうことか、家に来てくれ宣言である。えっ、これってどっちの意味?調理人として?それとも嫁として?プロポーズなのかしら?昭和のプロポーズは俺の味噌汁を作ってくれだっけ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

処理中です...