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第4章 アカネと便利な魔法
【男の娘026】アカネと鳥人と獣人と鹿と
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それから私は、パン作りの担当になった。大人数の捏ねる力は令嬢であった私にはなく、お母様にお手伝いしてもらった。『発酵』魔法で、短時間で今迄のパン生地よりさらに膨らむ結果となった。
「さて、もういい頃かね。」
お母様がオーブンから、パンを取り出す。焼きたてのパンがでてきた。香ばしい香りがして、いまにも食べたくなってくる。私のお祖父ちゃんって麦は作ってたけど、パン作りまではしてなかったんだよね。
近くにパン屋さんもない田舎だったから、焼きたてのパンて食べたことないんだ。
「さっ、アカネちゃん。ちょっと試食してみようか?」
「はい、お母様。」
と言って、手で湯気がでているパンを触ろうとする。
「あつっ」
私は、あまりの熱さに思わず手をひっこめた。
「ふふっ、そりゃ熱いさ。なんといってもオーブンから出したばかりだからね。はいっ」
お母様は濡らした布巾を渡してくれた。
「でも、お母様は素手で掴んでますよ。」
「そりゃ、私はね。最初の頃はアカネちゃんみたく、熱かったわよ。でも段々と回数を重ねるごとにね。皮膚が負けてられないよって強くなっていくんだよ。それで、今は少しくらいの熱さは大丈夫なのよ。」
私は、濡らした布巾で手を冷やしながら、熱いパンに
「フーッフーッフーッフーッ」
と何べんも息を吹きかける。熱さが和らいだかな?と、指でおそるおそるツンツンしてみる。うん、熱くなくなったね。手で掴んで早速試食に入る。一口サイズにパンをちぎって口の中に入れる。
「熱い、でも柔らかくて美味しい。」
「そうでしょ。アカネちゃん。やっぱり料理は出来たての熱々が美味しいからね。パンも冷やしてだすことが多いけど、出来たてが一番よ。でも、私がこれまで作ったパンよりもフカフカしてその分美味しさが増しているわね。アカネちゃんのお蔭ね。」
「へへへっ」
と私は褒められたので照れてしまう。そうやって試食という、美味しい特権を使いながら二人で楽しく、夕食の準備を進めていった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「お~い、母さんちょっと手伝ってくれ」
どうやら、お父様が帰って来たみたいだ。お料理は後は温めるだけにしてあるので、今は調理器具を『7人の小人』に手伝ってもらって、片づけている最中である。
『7人の小人』さんは張り切って、お仕事しているよ。ふふふっ、さっき召喚しなおした時にご褒美にホットケーキを少しずつ上げたら、みんなすっごく嬉しそうな表情をして、一生懸命に食べてたから。
やっぱり手伝ってもらったら、その分召喚した人にも何かしてあげたいからね。お父様が帰って来たので、「バイバイ」して、小人さんたちを送還した。
私とお母様はエプロンをつけたまま、外に出た。外にはお父さま、マッシュ兄さんに、羽根の生えた人?コンドルっぽい?と猫耳をつけた人が数人いた。これが亜人族の人なのかな。へ~、日本のコスプレしている人たちよりも少し野獣?野生味が溢れているね所々に傷もあるし。
「あなた、おかえりなさい。どうしたのかしら?」
「母さん只今。ちょっと彼らが大物を仕留めたので、ここまで運んで来てもらったんだよ。血抜きはその場でしてきたけど、解体は私らだと美味しい所をダメにしてしまうから。上手な母さんにお願いしたんいんだ。」
「あら、そういうことなのね。で、あなた、その獲物はどれかしら?」
「奥様こちらになります。」
コンドルっぽい人が獲物を出してきた。
「あら、まるまる太ったキリマン鹿じゃないの。これは美味しそうね。」
「だろ~、この時期には珍しいのに運よく見つかってね。こりゃご馳走だと急いで帰ってきたからな。」
お母様はさっそく、肉切り包丁を持ってきて、解体をし始める。私は、ちょっと生き物を捌く姿というか、生き物が死んでいる姿に抵抗があったので、距離を取っていた。みんな動物の死体があるのに、何の違和感もなく、ただ普通の日常の光景だと言わんばかりにその光景を受け入れている。
私って、魚も捌いたことないからね。どうも生き物が死んでいる状態に対して、抵抗があるな。私はなるべく鹿を捌く光景を見ないようにして、調理場に行って、肉を置けるお皿を取りに行ったりしてごまかした。
「あなた。そちらの皆さんは夕食は一緒に食べていくのかしら?」
「奥様、お気遣い大変ありがとうございます。私達は、自分たちの群れで食べます。同じ場にいた、仲間たちが今日はご馳走だと息巻いて待ってますから。」
「あら、そうなの残念ね。美味しい料理が出来たのに。あっ、アカネちゃん。さっき出来たパン多めに作ってあるからいくつか包んで持たせてあげて。」
「はい、お母様」
私は再び調理場に行って、先ほど焼いたパンをうちで食べる分以外を紙袋にいれていきます。ちょっと膨らみすぎたせいか。明日の朝の分まで出来ていたんだよね。明日の分は、また後で焼けばいいよね。
「はい、お母様お持ちしましたわ。」
「あなた、アカネちゃんが作ったパンよ。すっごく美味しいからお渡ししてあげて。」
「さて、もういい頃かね。」
お母様がオーブンから、パンを取り出す。焼きたてのパンがでてきた。香ばしい香りがして、いまにも食べたくなってくる。私のお祖父ちゃんって麦は作ってたけど、パン作りまではしてなかったんだよね。
近くにパン屋さんもない田舎だったから、焼きたてのパンて食べたことないんだ。
「さっ、アカネちゃん。ちょっと試食してみようか?」
「はい、お母様。」
と言って、手で湯気がでているパンを触ろうとする。
「あつっ」
私は、あまりの熱さに思わず手をひっこめた。
「ふふっ、そりゃ熱いさ。なんといってもオーブンから出したばかりだからね。はいっ」
お母様は濡らした布巾を渡してくれた。
「でも、お母様は素手で掴んでますよ。」
「そりゃ、私はね。最初の頃はアカネちゃんみたく、熱かったわよ。でも段々と回数を重ねるごとにね。皮膚が負けてられないよって強くなっていくんだよ。それで、今は少しくらいの熱さは大丈夫なのよ。」
私は、濡らした布巾で手を冷やしながら、熱いパンに
「フーッフーッフーッフーッ」
と何べんも息を吹きかける。熱さが和らいだかな?と、指でおそるおそるツンツンしてみる。うん、熱くなくなったね。手で掴んで早速試食に入る。一口サイズにパンをちぎって口の中に入れる。
「熱い、でも柔らかくて美味しい。」
「そうでしょ。アカネちゃん。やっぱり料理は出来たての熱々が美味しいからね。パンも冷やしてだすことが多いけど、出来たてが一番よ。でも、私がこれまで作ったパンよりもフカフカしてその分美味しさが増しているわね。アカネちゃんのお蔭ね。」
「へへへっ」
と私は褒められたので照れてしまう。そうやって試食という、美味しい特権を使いながら二人で楽しく、夕食の準備を進めていった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「お~い、母さんちょっと手伝ってくれ」
どうやら、お父様が帰って来たみたいだ。お料理は後は温めるだけにしてあるので、今は調理器具を『7人の小人』に手伝ってもらって、片づけている最中である。
『7人の小人』さんは張り切って、お仕事しているよ。ふふふっ、さっき召喚しなおした時にご褒美にホットケーキを少しずつ上げたら、みんなすっごく嬉しそうな表情をして、一生懸命に食べてたから。
やっぱり手伝ってもらったら、その分召喚した人にも何かしてあげたいからね。お父様が帰って来たので、「バイバイ」して、小人さんたちを送還した。
私とお母様はエプロンをつけたまま、外に出た。外にはお父さま、マッシュ兄さんに、羽根の生えた人?コンドルっぽい?と猫耳をつけた人が数人いた。これが亜人族の人なのかな。へ~、日本のコスプレしている人たちよりも少し野獣?野生味が溢れているね所々に傷もあるし。
「あなた、おかえりなさい。どうしたのかしら?」
「母さん只今。ちょっと彼らが大物を仕留めたので、ここまで運んで来てもらったんだよ。血抜きはその場でしてきたけど、解体は私らだと美味しい所をダメにしてしまうから。上手な母さんにお願いしたんいんだ。」
「あら、そういうことなのね。で、あなた、その獲物はどれかしら?」
「奥様こちらになります。」
コンドルっぽい人が獲物を出してきた。
「あら、まるまる太ったキリマン鹿じゃないの。これは美味しそうね。」
「だろ~、この時期には珍しいのに運よく見つかってね。こりゃご馳走だと急いで帰ってきたからな。」
お母様はさっそく、肉切り包丁を持ってきて、解体をし始める。私は、ちょっと生き物を捌く姿というか、生き物が死んでいる姿に抵抗があったので、距離を取っていた。みんな動物の死体があるのに、何の違和感もなく、ただ普通の日常の光景だと言わんばかりにその光景を受け入れている。
私って、魚も捌いたことないからね。どうも生き物が死んでいる状態に対して、抵抗があるな。私はなるべく鹿を捌く光景を見ないようにして、調理場に行って、肉を置けるお皿を取りに行ったりしてごまかした。
「あなた。そちらの皆さんは夕食は一緒に食べていくのかしら?」
「奥様、お気遣い大変ありがとうございます。私達は、自分たちの群れで食べます。同じ場にいた、仲間たちが今日はご馳走だと息巻いて待ってますから。」
「あら、そうなの残念ね。美味しい料理が出来たのに。あっ、アカネちゃん。さっき出来たパン多めに作ってあるからいくつか包んで持たせてあげて。」
「はい、お母様」
私は再び調理場に行って、先ほど焼いたパンをうちで食べる分以外を紙袋にいれていきます。ちょっと膨らみすぎたせいか。明日の朝の分まで出来ていたんだよね。明日の分は、また後で焼けばいいよね。
「はい、お母様お持ちしましたわ。」
「あなた、アカネちゃんが作ったパンよ。すっごく美味しいからお渡ししてあげて。」
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