26 / 105
第4章 アカネと便利な魔法
【男の娘026】アカネと鳥人と獣人と鹿と
しおりを挟む
それから私は、パン作りの担当になった。大人数の捏ねる力は令嬢であった私にはなく、お母様にお手伝いしてもらった。『発酵』魔法で、短時間で今迄のパン生地よりさらに膨らむ結果となった。
「さて、もういい頃かね。」
お母様がオーブンから、パンを取り出す。焼きたてのパンがでてきた。香ばしい香りがして、いまにも食べたくなってくる。私のお祖父ちゃんって麦は作ってたけど、パン作りまではしてなかったんだよね。
近くにパン屋さんもない田舎だったから、焼きたてのパンて食べたことないんだ。
「さっ、アカネちゃん。ちょっと試食してみようか?」
「はい、お母様。」
と言って、手で湯気がでているパンを触ろうとする。
「あつっ」
私は、あまりの熱さに思わず手をひっこめた。
「ふふっ、そりゃ熱いさ。なんといってもオーブンから出したばかりだからね。はいっ」
お母様は濡らした布巾を渡してくれた。
「でも、お母様は素手で掴んでますよ。」
「そりゃ、私はね。最初の頃はアカネちゃんみたく、熱かったわよ。でも段々と回数を重ねるごとにね。皮膚が負けてられないよって強くなっていくんだよ。それで、今は少しくらいの熱さは大丈夫なのよ。」
私は、濡らした布巾で手を冷やしながら、熱いパンに
「フーッフーッフーッフーッ」
と何べんも息を吹きかける。熱さが和らいだかな?と、指でおそるおそるツンツンしてみる。うん、熱くなくなったね。手で掴んで早速試食に入る。一口サイズにパンをちぎって口の中に入れる。
「熱い、でも柔らかくて美味しい。」
「そうでしょ。アカネちゃん。やっぱり料理は出来たての熱々が美味しいからね。パンも冷やしてだすことが多いけど、出来たてが一番よ。でも、私がこれまで作ったパンよりもフカフカしてその分美味しさが増しているわね。アカネちゃんのお蔭ね。」
「へへへっ」
と私は褒められたので照れてしまう。そうやって試食という、美味しい特権を使いながら二人で楽しく、夕食の準備を進めていった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「お~い、母さんちょっと手伝ってくれ」
どうやら、お父様が帰って来たみたいだ。お料理は後は温めるだけにしてあるので、今は調理器具を『7人の小人』に手伝ってもらって、片づけている最中である。
『7人の小人』さんは張り切って、お仕事しているよ。ふふふっ、さっき召喚しなおした時にご褒美にホットケーキを少しずつ上げたら、みんなすっごく嬉しそうな表情をして、一生懸命に食べてたから。
やっぱり手伝ってもらったら、その分召喚した人にも何かしてあげたいからね。お父様が帰って来たので、「バイバイ」して、小人さんたちを送還した。
私とお母様はエプロンをつけたまま、外に出た。外にはお父さま、マッシュ兄さんに、羽根の生えた人?コンドルっぽい?と猫耳をつけた人が数人いた。これが亜人族の人なのかな。へ~、日本のコスプレしている人たちよりも少し野獣?野生味が溢れているね所々に傷もあるし。
「あなた、おかえりなさい。どうしたのかしら?」
「母さん只今。ちょっと彼らが大物を仕留めたので、ここまで運んで来てもらったんだよ。血抜きはその場でしてきたけど、解体は私らだと美味しい所をダメにしてしまうから。上手な母さんにお願いしたんいんだ。」
「あら、そういうことなのね。で、あなた、その獲物はどれかしら?」
「奥様こちらになります。」
コンドルっぽい人が獲物を出してきた。
「あら、まるまる太ったキリマン鹿じゃないの。これは美味しそうね。」
「だろ~、この時期には珍しいのに運よく見つかってね。こりゃご馳走だと急いで帰ってきたからな。」
お母様はさっそく、肉切り包丁を持ってきて、解体をし始める。私は、ちょっと生き物を捌く姿というか、生き物が死んでいる姿に抵抗があったので、距離を取っていた。みんな動物の死体があるのに、何の違和感もなく、ただ普通の日常の光景だと言わんばかりにその光景を受け入れている。
私って、魚も捌いたことないからね。どうも生き物が死んでいる状態に対して、抵抗があるな。私はなるべく鹿を捌く光景を見ないようにして、調理場に行って、肉を置けるお皿を取りに行ったりしてごまかした。
「あなた。そちらの皆さんは夕食は一緒に食べていくのかしら?」
「奥様、お気遣い大変ありがとうございます。私達は、自分たちの群れで食べます。同じ場にいた、仲間たちが今日はご馳走だと息巻いて待ってますから。」
「あら、そうなの残念ね。美味しい料理が出来たのに。あっ、アカネちゃん。さっき出来たパン多めに作ってあるからいくつか包んで持たせてあげて。」
「はい、お母様」
私は再び調理場に行って、先ほど焼いたパンをうちで食べる分以外を紙袋にいれていきます。ちょっと膨らみすぎたせいか。明日の朝の分まで出来ていたんだよね。明日の分は、また後で焼けばいいよね。
「はい、お母様お持ちしましたわ。」
「あなた、アカネちゃんが作ったパンよ。すっごく美味しいからお渡ししてあげて。」
「さて、もういい頃かね。」
お母様がオーブンから、パンを取り出す。焼きたてのパンがでてきた。香ばしい香りがして、いまにも食べたくなってくる。私のお祖父ちゃんって麦は作ってたけど、パン作りまではしてなかったんだよね。
近くにパン屋さんもない田舎だったから、焼きたてのパンて食べたことないんだ。
「さっ、アカネちゃん。ちょっと試食してみようか?」
「はい、お母様。」
と言って、手で湯気がでているパンを触ろうとする。
「あつっ」
私は、あまりの熱さに思わず手をひっこめた。
「ふふっ、そりゃ熱いさ。なんといってもオーブンから出したばかりだからね。はいっ」
お母様は濡らした布巾を渡してくれた。
「でも、お母様は素手で掴んでますよ。」
「そりゃ、私はね。最初の頃はアカネちゃんみたく、熱かったわよ。でも段々と回数を重ねるごとにね。皮膚が負けてられないよって強くなっていくんだよ。それで、今は少しくらいの熱さは大丈夫なのよ。」
私は、濡らした布巾で手を冷やしながら、熱いパンに
「フーッフーッフーッフーッ」
と何べんも息を吹きかける。熱さが和らいだかな?と、指でおそるおそるツンツンしてみる。うん、熱くなくなったね。手で掴んで早速試食に入る。一口サイズにパンをちぎって口の中に入れる。
「熱い、でも柔らかくて美味しい。」
「そうでしょ。アカネちゃん。やっぱり料理は出来たての熱々が美味しいからね。パンも冷やしてだすことが多いけど、出来たてが一番よ。でも、私がこれまで作ったパンよりもフカフカしてその分美味しさが増しているわね。アカネちゃんのお蔭ね。」
「へへへっ」
と私は褒められたので照れてしまう。そうやって試食という、美味しい特権を使いながら二人で楽しく、夕食の準備を進めていった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「お~い、母さんちょっと手伝ってくれ」
どうやら、お父様が帰って来たみたいだ。お料理は後は温めるだけにしてあるので、今は調理器具を『7人の小人』に手伝ってもらって、片づけている最中である。
『7人の小人』さんは張り切って、お仕事しているよ。ふふふっ、さっき召喚しなおした時にご褒美にホットケーキを少しずつ上げたら、みんなすっごく嬉しそうな表情をして、一生懸命に食べてたから。
やっぱり手伝ってもらったら、その分召喚した人にも何かしてあげたいからね。お父様が帰って来たので、「バイバイ」して、小人さんたちを送還した。
私とお母様はエプロンをつけたまま、外に出た。外にはお父さま、マッシュ兄さんに、羽根の生えた人?コンドルっぽい?と猫耳をつけた人が数人いた。これが亜人族の人なのかな。へ~、日本のコスプレしている人たちよりも少し野獣?野生味が溢れているね所々に傷もあるし。
「あなた、おかえりなさい。どうしたのかしら?」
「母さん只今。ちょっと彼らが大物を仕留めたので、ここまで運んで来てもらったんだよ。血抜きはその場でしてきたけど、解体は私らだと美味しい所をダメにしてしまうから。上手な母さんにお願いしたんいんだ。」
「あら、そういうことなのね。で、あなた、その獲物はどれかしら?」
「奥様こちらになります。」
コンドルっぽい人が獲物を出してきた。
「あら、まるまる太ったキリマン鹿じゃないの。これは美味しそうね。」
「だろ~、この時期には珍しいのに運よく見つかってね。こりゃご馳走だと急いで帰ってきたからな。」
お母様はさっそく、肉切り包丁を持ってきて、解体をし始める。私は、ちょっと生き物を捌く姿というか、生き物が死んでいる姿に抵抗があったので、距離を取っていた。みんな動物の死体があるのに、何の違和感もなく、ただ普通の日常の光景だと言わんばかりにその光景を受け入れている。
私って、魚も捌いたことないからね。どうも生き物が死んでいる状態に対して、抵抗があるな。私はなるべく鹿を捌く光景を見ないようにして、調理場に行って、肉を置けるお皿を取りに行ったりしてごまかした。
「あなた。そちらの皆さんは夕食は一緒に食べていくのかしら?」
「奥様、お気遣い大変ありがとうございます。私達は、自分たちの群れで食べます。同じ場にいた、仲間たちが今日はご馳走だと息巻いて待ってますから。」
「あら、そうなの残念ね。美味しい料理が出来たのに。あっ、アカネちゃん。さっき出来たパン多めに作ってあるからいくつか包んで持たせてあげて。」
「はい、お母様」
私は再び調理場に行って、先ほど焼いたパンをうちで食べる分以外を紙袋にいれていきます。ちょっと膨らみすぎたせいか。明日の朝の分まで出来ていたんだよね。明日の分は、また後で焼けばいいよね。
「はい、お母様お持ちしましたわ。」
「あなた、アカネちゃんが作ったパンよ。すっごく美味しいからお渡ししてあげて。」
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる