11 / 105
第2章 婚約破棄そして、婚約破棄と契約書
【男の娘011】ガーネットの空の旅 辺境の事情その2
しおりを挟む
「マッシュ兄さん。それでは、辺境に出てくる魔獣というのはどのような生き物なんでしょうか?」
「そうだね。都市部で暮らしていては縁のない話だね。魔獣というのは、人や家畜を襲ったり、農作物を荒らしたりする獣のことだよ。名前を言ってもわからないと思うけど、簡単に説明しておくね。辺境の地には、色々な魔獣がいるが危険で厄介なものについては、魔熊(デモンズベア)、魔猪(デモンズボア、魔狼(デモンズウルフ)の3つだね。」
なるほど、これは、日本の山に生息する動物と同じなのか。単に種族名の前に魔(デモンズ)がついているだけでは?それとも、種族名はそうなっているけど、まったく別の生き物とかかな?それとも魔法を使うから魔がつくの?
「それらは、狼は犬のようなフォルムをしている。猪は豚、熊は、パンダだな。これらはわかるかな?」
「ええ、実際に見たのは犬くらいですが、イメージはつきますわ。」
「ふむ、なら問題はないな。後で現地に着いた時に時間があるときを見て、遠くからどんな魔物かを確認してもらう。基本的には、やつらを見たら、音を発てずに逃げろの一言だな。そして、僕達大人の男性に報告してくれ。ガーネットが暮らす、住宅の近辺までは寄ってこないがそれでも、絶対ということはない。万が一に備えて確認しておいた方がよいんだ。」
「マッシュ兄さんたちなら、その魔獣とやらと戦って倒すことが出来るのですか?」
「罠をしかけて、魔法を使って、ようやくだな。それも僕一人では対処しきれない。狼でも3~4人、猪なら、追い払うだけなら2人でいける。ただ、熊はダメだ。あれは強すぎる。大の大人6人がかりでも勝てないらしい。そうですよね。父さん」
「ああ、マッシュの言う通りだ。熊だけは、勝てる気はしない。前回見つけた時は、一頭まるまるの牛を食い殺して、運んでいた。若いやつが、愛情持って育てていた、牛が食べられるのを見て、我を忘れて、鍬を持って挑んだらしいが、帰りうちにされて、無残にも死んでしまった。やつには生半可な武器では傷一つつけられん。助けようとして、充分な距離をとった状態で火の魔法を放ったやつもいるのだが、毛皮に焼け跡一つ見られなかったようだ。そして、敵意をみせたものは、即座にやられて、エサになってしまった。」
「それほどまでの被害がでるのであれば、国に救援を頼んだら討伐してもらえるのではないのですか?」
お父様は首を振った。
「辺境の地ではよくあることなんだ。よくあることなんだよガーネット。その位の魔獣では王国の軍の要請は受け入れてもらえないんだ。ドラゴンやフェンリルなどの神獣と呼ばれるものが出てこない限りはね。辺境の領主はそれを踏まえた上で領地を任されているんだよ。
「そっ、そんな。人死にが出ているのに。何もされてないなんて。。。。。」
「そういうわけで辺境の地に女性がくることは滅多にないんだよ。仕事がなくて、辺境の地で仕事をするしかない人達が危険をかえりみず、日々の生活のため、家族のために来るところなんだよ。」
どうやら、私は辺境の地をとても甘く見ていたらしい。そんな命の危険が横隣にいるような所で生活していくことになるとは。日本の山岳地帯の集落と同じような形ではあるけれども、武器も魔法を聞かない相手なんて、それ以上じゃないの?
しかも、ドラゴンとか、想像の生き物ではなく、現実にいるらしいし、熊に至ってはその足元にも及ばないのに手がでないらしい。
異世界転移や異世界転生って、もっと簡単にドラゴンやモンスターを討伐してるけど、そもそも原住民は命がけで生活しているのか。楽しそうというよりも、知ってたら怖くて来たくなかったよ。
私は怖くなって、肩が震えてしまっている。なんか、技術チートや料理チート、魔法チートで簡単に結納金返済して、自由恋愛して、素敵な男の人と結婚できると思ってたのに。全然上手くいくイメージがないよ。なんかもう、悲しくて、涙まで出てきてしまった。
それに、私の家族となるベジタル家の人はそんな辺境の地で、危険と隣り合わせの生活を送って来ていて、そして、これからも続くのだ。もしかしたら、明日?、明後日?魔熊がひょっこり。やぁって言って、隣にいるかもしれないんだ。そう考えると怖かった。目の前の二人がある日突然死んでしまうと考えたら。。。。。
死と隣合わせの日常。それは日本の近代社会で暮らしていた私とは無縁のものだった。そして、これから避けては通れない日常になった。
「ガーネット大丈夫だよ。君のことは、私が守るから、そんなに不安にならなくていいんだよ」
そういって、お父さまは私を安心させようと抱きしめてくる。温かい。不安が少しずつ取り除かれていく。抱きしめられるのは好きな男性と決めていたのに、ぜんぜんそんな嫌な感覚はしなかった。
「お父様、ありがおとうございます。おかげで落ち着きました。」
私は、涙を拭いて、椅子に座り直した。
「でも、お父様もマッシュ兄さんも死なないでくださいね。せっかく出来た家族ですもの」
「ああ、そんなに簡単に死んだりはしないよ。それにこれまでもこうやって生きてきたんだ。これからだって生き延びれるよ。ねえ父さん。」
「あぁ、ガーネット心配することはない。父さんがみんなを守ってやるからな。」
いや、そういうことじゃなくて、お父様にも死んで欲しくないんですよ。
「マッシュこの話は一旦やめよう。ガーネットを不安にさせるだけのようだ。」
「う~~ん、でも、もしもの時を考えると最低限の知識は必要なんですけどね。わかった
。しばらくは、妹のガーネットは僕が面倒をみるよ。それなら、例え魔獣が出てきても対処できるかね。」
「えっ、でもマッシュ兄さん。私のことをよく思っていないから、一緒にいるのは苦痛なんじゃありませんか?」
「はぁ~~~」
マッシュ兄さんは、綺麗に整っている赤毛の頭をかきむしった。
「ガーネット。僕は、僕や父さん、家族のために涙を流す人に対して、いつまでも疑うほど、ひどいやつだと思っているのかい?ま~そういう態度をとっていた僕も悪かったのだが。。。。もう、ガーネットに悪いイメージは持ってないよ。だって、君は僕の愛すべき家族であり、妹のガーネットなんだろ。嫌いのままでいられるわけがない。」
「マッシュ兄さん・・・・」
「そうだね。都市部で暮らしていては縁のない話だね。魔獣というのは、人や家畜を襲ったり、農作物を荒らしたりする獣のことだよ。名前を言ってもわからないと思うけど、簡単に説明しておくね。辺境の地には、色々な魔獣がいるが危険で厄介なものについては、魔熊(デモンズベア)、魔猪(デモンズボア、魔狼(デモンズウルフ)の3つだね。」
なるほど、これは、日本の山に生息する動物と同じなのか。単に種族名の前に魔(デモンズ)がついているだけでは?それとも、種族名はそうなっているけど、まったく別の生き物とかかな?それとも魔法を使うから魔がつくの?
「それらは、狼は犬のようなフォルムをしている。猪は豚、熊は、パンダだな。これらはわかるかな?」
「ええ、実際に見たのは犬くらいですが、イメージはつきますわ。」
「ふむ、なら問題はないな。後で現地に着いた時に時間があるときを見て、遠くからどんな魔物かを確認してもらう。基本的には、やつらを見たら、音を発てずに逃げろの一言だな。そして、僕達大人の男性に報告してくれ。ガーネットが暮らす、住宅の近辺までは寄ってこないがそれでも、絶対ということはない。万が一に備えて確認しておいた方がよいんだ。」
「マッシュ兄さんたちなら、その魔獣とやらと戦って倒すことが出来るのですか?」
「罠をしかけて、魔法を使って、ようやくだな。それも僕一人では対処しきれない。狼でも3~4人、猪なら、追い払うだけなら2人でいける。ただ、熊はダメだ。あれは強すぎる。大の大人6人がかりでも勝てないらしい。そうですよね。父さん」
「ああ、マッシュの言う通りだ。熊だけは、勝てる気はしない。前回見つけた時は、一頭まるまるの牛を食い殺して、運んでいた。若いやつが、愛情持って育てていた、牛が食べられるのを見て、我を忘れて、鍬を持って挑んだらしいが、帰りうちにされて、無残にも死んでしまった。やつには生半可な武器では傷一つつけられん。助けようとして、充分な距離をとった状態で火の魔法を放ったやつもいるのだが、毛皮に焼け跡一つ見られなかったようだ。そして、敵意をみせたものは、即座にやられて、エサになってしまった。」
「それほどまでの被害がでるのであれば、国に救援を頼んだら討伐してもらえるのではないのですか?」
お父様は首を振った。
「辺境の地ではよくあることなんだ。よくあることなんだよガーネット。その位の魔獣では王国の軍の要請は受け入れてもらえないんだ。ドラゴンやフェンリルなどの神獣と呼ばれるものが出てこない限りはね。辺境の領主はそれを踏まえた上で領地を任されているんだよ。
「そっ、そんな。人死にが出ているのに。何もされてないなんて。。。。。」
「そういうわけで辺境の地に女性がくることは滅多にないんだよ。仕事がなくて、辺境の地で仕事をするしかない人達が危険をかえりみず、日々の生活のため、家族のために来るところなんだよ。」
どうやら、私は辺境の地をとても甘く見ていたらしい。そんな命の危険が横隣にいるような所で生活していくことになるとは。日本の山岳地帯の集落と同じような形ではあるけれども、武器も魔法を聞かない相手なんて、それ以上じゃないの?
しかも、ドラゴンとか、想像の生き物ではなく、現実にいるらしいし、熊に至ってはその足元にも及ばないのに手がでないらしい。
異世界転移や異世界転生って、もっと簡単にドラゴンやモンスターを討伐してるけど、そもそも原住民は命がけで生活しているのか。楽しそうというよりも、知ってたら怖くて来たくなかったよ。
私は怖くなって、肩が震えてしまっている。なんか、技術チートや料理チート、魔法チートで簡単に結納金返済して、自由恋愛して、素敵な男の人と結婚できると思ってたのに。全然上手くいくイメージがないよ。なんかもう、悲しくて、涙まで出てきてしまった。
それに、私の家族となるベジタル家の人はそんな辺境の地で、危険と隣り合わせの生活を送って来ていて、そして、これからも続くのだ。もしかしたら、明日?、明後日?魔熊がひょっこり。やぁって言って、隣にいるかもしれないんだ。そう考えると怖かった。目の前の二人がある日突然死んでしまうと考えたら。。。。。
死と隣合わせの日常。それは日本の近代社会で暮らしていた私とは無縁のものだった。そして、これから避けては通れない日常になった。
「ガーネット大丈夫だよ。君のことは、私が守るから、そんなに不安にならなくていいんだよ」
そういって、お父さまは私を安心させようと抱きしめてくる。温かい。不安が少しずつ取り除かれていく。抱きしめられるのは好きな男性と決めていたのに、ぜんぜんそんな嫌な感覚はしなかった。
「お父様、ありがおとうございます。おかげで落ち着きました。」
私は、涙を拭いて、椅子に座り直した。
「でも、お父様もマッシュ兄さんも死なないでくださいね。せっかく出来た家族ですもの」
「ああ、そんなに簡単に死んだりはしないよ。それにこれまでもこうやって生きてきたんだ。これからだって生き延びれるよ。ねえ父さん。」
「あぁ、ガーネット心配することはない。父さんがみんなを守ってやるからな。」
いや、そういうことじゃなくて、お父様にも死んで欲しくないんですよ。
「マッシュこの話は一旦やめよう。ガーネットを不安にさせるだけのようだ。」
「う~~ん、でも、もしもの時を考えると最低限の知識は必要なんですけどね。わかった
。しばらくは、妹のガーネットは僕が面倒をみるよ。それなら、例え魔獣が出てきても対処できるかね。」
「えっ、でもマッシュ兄さん。私のことをよく思っていないから、一緒にいるのは苦痛なんじゃありませんか?」
「はぁ~~~」
マッシュ兄さんは、綺麗に整っている赤毛の頭をかきむしった。
「ガーネット。僕は、僕や父さん、家族のために涙を流す人に対して、いつまでも疑うほど、ひどいやつだと思っているのかい?ま~そういう態度をとっていた僕も悪かったのだが。。。。もう、ガーネットに悪いイメージは持ってないよ。だって、君は僕の愛すべき家族であり、妹のガーネットなんだろ。嫌いのままでいられるわけがない。」
「マッシュ兄さん・・・・」
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる