地獄タクシー Ⅱ

コノミナ

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7章 鏡鬼

鬼の仕業

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「鏡が人間の頭を食べるの?」
「いつ、どこで?」
「鏡があればどこでも」
「ああ、それは手ごわいな」
「被害者に共通点がありますか?」
魔美が浜田に聞くと
浜田はうれしそうに答えた

「一人は電車の中の18歳の
フリーターの女性もう一人は
運転中の22歳のサーキット族の二人です」
「鬼に食われた場所は?」

「女性の方は東武東上線、
男性の方は首都高速の宝町です」
「共通点は無いですね。女性は埼玉、
男性は東京の高島平に住んでいます」
「そうだな、じゃあ鏡鬼は
無差別に人を食っている事になる」

礼司は困った顔をしていた
「そうね、今のところは、
でも共通点が有るかも知れないわ」
魔美は礼司の顔を見て言うと
「そうだな」

「隊長とりあえず明日、山形に帰ります。
仕事がありますから」
「そうだな、何かあったら呼び出すからな」
「はい」

「沢村それと山野の事で
知っていることないか?」
「ええと、確かお母さんが
美容師だって聞いています」
「そうか、ん?美容院は鏡だらけだぞ」

「このまま鬼を退治しないと、
美容院は怖くていけませんね」
由美が恐ろしく感じていた
「まさか、山野は美容師に
なっているかもしれないな」

「そうですね、私と同じように
警察じゃなくて医者みたいに」
由美が言うと
「あはは、あんなごつい美容師が
いたらお客さんが逃げますよ」
格闘技の猛者、山野の姿を思い浮かべて沢村が言うと
「あはは」
五人は大笑いをした

「そうか、山野さんと言う人が経営
している美容院を探して
見ればいいのか」
「それなら、代々木にある全美連に
行けば調べられるわよ」
由美が言うと礼司は首を傾げた。

「全美連?」
「ええ、全日本美容業生活衛生同業組合連合会」
「すごい、良く名前覚えられるなあ」
魔美が言った
「うふふ」
由美が微笑んだ
「行ってみるか」
「えっ、夜野さんが?」
「そうだよ」


「きゃー、何か変」
魔美は礼司が細かい調べ物をするのが
イメージに合わなかった
「なんだよ、とにかく俺も仕事に戻らないと」
「はい、じゃあ私帰ります」
魔美が残念そうに言った
「帰るのか?鬼が現れているのに」

「だって今の段階で手がかりが無くちゃ。
鬼退治できないでしょ」
「まあな」

その日の夜
山手線の駒込駅を過ぎて田端駅へ向かっていた
酔ってつり革にもたれ掛かっていた
40歳過ぎのサラリーマンが
揺れて目を覚まし窓ガラス越しに
操車場を見ると
男は自分の顔を見た
その瞬間
「ガオ」というライオンの声のような
聞こえると
男の頭が消えて無くなっていた

手はつり革にぶら下がった首から
血を回りに撒き散らしていた


夜7時
東京駅で客待ちをしていた
夜野のところに浜田から電話があった
「夜野さん事件です。また鬼が出ました」
「何?どこだ?」
「田端駅近くの山手線の中です。
今から行きます、話し聞いてください」

「東京駅だ」
「すぐに行きます」
「近いから迎えに行くよ」
「ええー、タクシー代払うんですか?」
「当たり前だ、こっちは勤務中だ」
「わかりました」
礼司は10分もかからず
警視庁の前に着いた

「お待たせいたしました」
礼司はドアを開けた
「勘弁してください、そんな言い方」
「ところで、被害者また化粧でもしていたのか?」
「いいえ、被害者は男です」
「ん?、鏡は?スカートでも覗いていたのか?」

「いいえ、遺品には鏡はありませんでした」
「それって、ひょっとしたら、窓か?」
「かも知れません」
「そうしたら大事だぞ」
「はい、早く退治してください」
「待てよ、魔美がいないぞ」

「そうか・・・ひょっとしたら明日の朝までに
また人が死ぬかも知れません」
「うん、ところでお客様どちらまで?」
「えーと有楽町駅まで」
「おい、飲んで帰るのか?」
「いいえ、有楽町から日比谷線に乗ります」

「ああ、せこい事いってるなあ、家はどこなんだよ」
「中目黒です」
「そこまで行けよ」
「はいわかりました」

浜田はしぶしぶ返事をした
「よし、出発」
「止めて下さいよ、子供みたいに」
「あはは、ところで彼らの共通点はありそうか?」
「ちょっと待ってください」
浜田が手帳を開けるとそれを読んだ

「まず塚田道子18歳新宿の居酒屋に勤めています」
「うん」
「宝町で死んだのは東幹夫22歳、目白駅近くの
カーセキュリティーを取り付ける工場に勤めています」
「うん」

「山手線で死んだのは小西栄一42歳
池袋の百貨店に勤めています」
「共通点と言えば3人とも池袋駅が通過地点か」
「あ、いいえ東幹夫は自動車通勤ですから、
池袋は通過地点じゃないですね」
「そうか。じゃあ2人は池袋で出会っている可能性があるな」
「まあ、そうですね。でも」
「捜査が出来ないと言う訳か」
「はい」
礼司がしばらく黙っていると声を出した。

「おい」
「はい」
「鏡のある仕事はなんだ?」
「ええと、美容院、床屋、洋服屋」
「それと靴屋」
「トイレもありますよ。あはは」
「じゃあホテルもあるぞ。あはは ん?」
「どうしたんですか?」

「池袋のホテルで誰か死んでいないか?」
「どうしてですか?」
「以前、鬼の現れる原因を話したよな」
「ええ、地縛霊に血がかかると鬼になるんですよね」
「そうだ」
「わかりました」
浜田は宿直の刑事に電話をした
そしてその内容を礼司に話した
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