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2章 汗鬼
エアロビクス
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その理由は
「こんにちは」
二十歳過ぎの女性が礼司の隣に来て声をかけてきた
「こんにちは」礼司は嬉しそうに笑った
「この前ありがとうございました」
「いいえ」礼司は照れて言った
彼女には以前ウエイトトレーニングを教えた事があったのだった。
「どうですか?最近えーと名前」
「はい、真理子です」
彼女は腕の筋肉を見せた
「あはは、良い上腕二等筋だ」
「ありがとうございます」
礼司は上品な仕草と全身の髪の毛の長くモデルのように
均整が取れているボディスタイルの彼女に憧れていた
「みなさんおはようございます」
インストラクターは元気に声をかけると
音楽を流し始めた。
「彼女は美人でいいんだけど音楽の趣味が悪い、あはは」
ウォーミングアップが終わりサイドステップから
レッグカールに移って
礼司の額から汗が流れ出したその時
「キーン」
と音がしてスタジオのエアコンが突然止まった
他の連中はそれに気付かず体を動かしていて5分ほど
過ぎると室内の暑さにインストラクターが気付いた。
「すみません、ちょっと休んでください」
そう言ってパネルの室温のレベルを下げた。
すると熱風がエアコンから吹き出した。
「何これ?暑い」
聞こえた
「みなさんスタジオから出てください」
インストラクターは入り口のドアを押した
「あら?開かない」
ドアを何度も押したが開かなかった
「俺がやります」
礼司はドアを押した
「やばいこれは何かの力がかかっている」
「きゃー」
悲鳴が奥のほうから聞こえた
礼司が目をやると奥の床がドロドロに
なって一人の女性の片足がその中に
引き込まれていた。
礼司はすぐにその女性のところへ行き、足首を引っ張った
すると、そのドロドロが普通の木の床に戻った
「きゃー」
今度悲鳴を上げたのは入り口の近くにいた真理子だった
真理子の体は半分床に吸い込まれていた。
「おい」
礼司は数メートル飛び真理子の腕を引くと
床には大きな口を開けた鬼の顔が見えた
「こら!」
そう言って礼司は思い切り持ち上げた
すると下半身のズパッツが脱げた真理子を引き上げた
「きゃー」
真理子は手で股を隠した
「あはは、綺麗なお尻」
礼司は外にいた男に
「割ってくれ」
ガラスを割るように指示をした
「は、はい」
その男はすぐにダンベルでガラスを割って入って
来ると凄い勢いで熱い空気がスタジオから出て行った
「開いた」
ドアを押していたインストラクターが言うと
中にいた二十人ほどの生徒は悲鳴と共に
スタジオから飛び出した
「ありがとう」
礼司はガラスを割った男に言った
「いいえ」
「あれ、浜田?」
「はい、どうして僕の名前を?」
「俺の事知らないよな」
「はい」
「仕事は警察か?」
「え?」
まもなく警察がスポーツクラブに急行したが
誰も何も理解しなかった
次の日、大田区のスポーツ施設のスタジオで同様な
事件が起きた
「きゃー」
数人の女性が床に吸い込まれ
しばらくすると「げっぷ」と共に床から
干からびた女性の死体が湧き上がった。
皇居周りの道路ではジョギング中の女性が
地面に吸い込まれ行方不明になった
その日の夕方、礼司は青山墓地で魔美を待った。
しかし、窓も叩かれず携帯電話も通じず
そこへ浜田から電話があった
「夜野さんちょっとお話できませんか?」
「いいよ、どこで?」
「今、前にいます。あはは」
浜田はタクシーの前に立っていた
「乗ってください」
礼司の声に浜田は助手席に座った
「すみません。お忙しいところ」
「はい、どんな用件ですか?」
「実は大田区の施設で我々が遭遇した
事件が起きたんですよ」
「うん、それで?」
「我々の時には夜野さんが助けましたけど、
大田区では床に吸われてその後
死体が吐き出されたそうです」
「うん、それで?捜査はどうするの?」
「やだなあ、夜野さん。捜査なんてできるわけ無いでしょ
山のように目撃者がいるんだから」
「まあな、床板を逮捕できるわけないなあ」
「実は三日前はサウナルームの扉が開かなくなって
男性が二人亡くなっているんです」
「なるほど」
「それで、地獄タクシーの夜野さん犯人は分かっているでしょ」
「まあね、犯人は人の汗を好む鬼だろう」
「鬼?」
「ああ、人を食う鬼だ、あの時一瞬床に鬼の顔が見えた」
「どうやって捕まえる事ができるんですか?」
「鬼のノブが無いと・・・・。その前に魔美を探さないと・・・・。」
「何言っているんですか?」
礼司は少し考えるとエンジンをかけた。
「よし行くか」
「どこへ?」
「全然寺、じゃあまた」
「夜野さん、私はどうすればいいんですか?」
「あはは、あんたじゃ無理だよ」
礼司は浜田を置いてタクシーを走らせ中野に向かった
タクシーを運転しながら礼司は
魔美のいない不安に陥っていた
「魔美、このままお前が戻ってこなかったら、鬼は退治できないぞ」
礼司が中野に着くと全然寺を尋ね呼び鈴を押した。
「こんばんは」
「ああ、夜野さんどうしたんですか?」
住職の奥さんが出てきて言った
「あの良くここに来ていた魔美ちゃん
最近見かけないけど・・・・」
「魔美ちゃん?」
「はい、女子高生の」
「知らないわ、誰の事かしら?」
礼司は住職の奥さんにそっけなく返事をされた
「あいつ、人の記憶消したな」
礼司はつぶやいた
「そうそう、明日お通夜があるから
九時に来ていただけるかしら」
「はい」
そう言って玄関を出ると礼司の携帯に
付けていた鬼の根付の目が光った
「ん?」
礼司は裏手にある墓地に入った。
すると暗がりに白く光る墓石が見えた。
「おお。あそこか」
そこに行って墓石を見ると礼司は唖然とした『夜野家の墓』
「夜野家?」
礼司奇妙な感覚を感じて排石をずらし
カロート(納骨堂)を覗き込んだ
「あれ?」
礼司が懐中電灯で中を照らすと中の石板が外れていた
「しょうがねえな」
そう言って石板を元に戻した。
そこには骨壷が一つも無かった
そして礼司は排石を戻して手を合わせた。
「魔美戻って来いよ」
そう言って礼司は墓石に背を向けた
「うん」
魔美の声が聞こえた
「ん?」
礼司が振り返ると魔美が墓石の前に立っていた
「お、お帰り」
「ただいま」
魔美はにっこりと笑っていた。
そして、脇には巨大猫乱丸と
ダルメシアンのナイルが座っていた
「元気だったか」
「うん」
ナイルは脇に座って礼司の手をペロペロと舐めて
乱丸は体を伸ばして礼司のズボンで爪を研いだ
「こら!乱丸」
礼司は乱丸の頭を軽く叩きながら
「鬼が出たぞ」
「うん、知っていたけどこっちへ来れなかった」
「墓石がこっちへ来るマシンなのか?」
「こんにちは」
二十歳過ぎの女性が礼司の隣に来て声をかけてきた
「こんにちは」礼司は嬉しそうに笑った
「この前ありがとうございました」
「いいえ」礼司は照れて言った
彼女には以前ウエイトトレーニングを教えた事があったのだった。
「どうですか?最近えーと名前」
「はい、真理子です」
彼女は腕の筋肉を見せた
「あはは、良い上腕二等筋だ」
「ありがとうございます」
礼司は上品な仕草と全身の髪の毛の長くモデルのように
均整が取れているボディスタイルの彼女に憧れていた
「みなさんおはようございます」
インストラクターは元気に声をかけると
音楽を流し始めた。
「彼女は美人でいいんだけど音楽の趣味が悪い、あはは」
ウォーミングアップが終わりサイドステップから
レッグカールに移って
礼司の額から汗が流れ出したその時
「キーン」
と音がしてスタジオのエアコンが突然止まった
他の連中はそれに気付かず体を動かしていて5分ほど
過ぎると室内の暑さにインストラクターが気付いた。
「すみません、ちょっと休んでください」
そう言ってパネルの室温のレベルを下げた。
すると熱風がエアコンから吹き出した。
「何これ?暑い」
聞こえた
「みなさんスタジオから出てください」
インストラクターは入り口のドアを押した
「あら?開かない」
ドアを何度も押したが開かなかった
「俺がやります」
礼司はドアを押した
「やばいこれは何かの力がかかっている」
「きゃー」
悲鳴が奥のほうから聞こえた
礼司が目をやると奥の床がドロドロに
なって一人の女性の片足がその中に
引き込まれていた。
礼司はすぐにその女性のところへ行き、足首を引っ張った
すると、そのドロドロが普通の木の床に戻った
「きゃー」
今度悲鳴を上げたのは入り口の近くにいた真理子だった
真理子の体は半分床に吸い込まれていた。
「おい」
礼司は数メートル飛び真理子の腕を引くと
床には大きな口を開けた鬼の顔が見えた
「こら!」
そう言って礼司は思い切り持ち上げた
すると下半身のズパッツが脱げた真理子を引き上げた
「きゃー」
真理子は手で股を隠した
「あはは、綺麗なお尻」
礼司は外にいた男に
「割ってくれ」
ガラスを割るように指示をした
「は、はい」
その男はすぐにダンベルでガラスを割って入って
来ると凄い勢いで熱い空気がスタジオから出て行った
「開いた」
ドアを押していたインストラクターが言うと
中にいた二十人ほどの生徒は悲鳴と共に
スタジオから飛び出した
「ありがとう」
礼司はガラスを割った男に言った
「いいえ」
「あれ、浜田?」
「はい、どうして僕の名前を?」
「俺の事知らないよな」
「はい」
「仕事は警察か?」
「え?」
まもなく警察がスポーツクラブに急行したが
誰も何も理解しなかった
次の日、大田区のスポーツ施設のスタジオで同様な
事件が起きた
「きゃー」
数人の女性が床に吸い込まれ
しばらくすると「げっぷ」と共に床から
干からびた女性の死体が湧き上がった。
皇居周りの道路ではジョギング中の女性が
地面に吸い込まれ行方不明になった
その日の夕方、礼司は青山墓地で魔美を待った。
しかし、窓も叩かれず携帯電話も通じず
そこへ浜田から電話があった
「夜野さんちょっとお話できませんか?」
「いいよ、どこで?」
「今、前にいます。あはは」
浜田はタクシーの前に立っていた
「乗ってください」
礼司の声に浜田は助手席に座った
「すみません。お忙しいところ」
「はい、どんな用件ですか?」
「実は大田区の施設で我々が遭遇した
事件が起きたんですよ」
「うん、それで?」
「我々の時には夜野さんが助けましたけど、
大田区では床に吸われてその後
死体が吐き出されたそうです」
「うん、それで?捜査はどうするの?」
「やだなあ、夜野さん。捜査なんてできるわけ無いでしょ
山のように目撃者がいるんだから」
「まあな、床板を逮捕できるわけないなあ」
「実は三日前はサウナルームの扉が開かなくなって
男性が二人亡くなっているんです」
「なるほど」
「それで、地獄タクシーの夜野さん犯人は分かっているでしょ」
「まあね、犯人は人の汗を好む鬼だろう」
「鬼?」
「ああ、人を食う鬼だ、あの時一瞬床に鬼の顔が見えた」
「どうやって捕まえる事ができるんですか?」
「鬼のノブが無いと・・・・。その前に魔美を探さないと・・・・。」
「何言っているんですか?」
礼司は少し考えるとエンジンをかけた。
「よし行くか」
「どこへ?」
「全然寺、じゃあまた」
「夜野さん、私はどうすればいいんですか?」
「あはは、あんたじゃ無理だよ」
礼司は浜田を置いてタクシーを走らせ中野に向かった
タクシーを運転しながら礼司は
魔美のいない不安に陥っていた
「魔美、このままお前が戻ってこなかったら、鬼は退治できないぞ」
礼司が中野に着くと全然寺を尋ね呼び鈴を押した。
「こんばんは」
「ああ、夜野さんどうしたんですか?」
住職の奥さんが出てきて言った
「あの良くここに来ていた魔美ちゃん
最近見かけないけど・・・・」
「魔美ちゃん?」
「はい、女子高生の」
「知らないわ、誰の事かしら?」
礼司は住職の奥さんにそっけなく返事をされた
「あいつ、人の記憶消したな」
礼司はつぶやいた
「そうそう、明日お通夜があるから
九時に来ていただけるかしら」
「はい」
そう言って玄関を出ると礼司の携帯に
付けていた鬼の根付の目が光った
「ん?」
礼司は裏手にある墓地に入った。
すると暗がりに白く光る墓石が見えた。
「おお。あそこか」
そこに行って墓石を見ると礼司は唖然とした『夜野家の墓』
「夜野家?」
礼司奇妙な感覚を感じて排石をずらし
カロート(納骨堂)を覗き込んだ
「あれ?」
礼司が懐中電灯で中を照らすと中の石板が外れていた
「しょうがねえな」
そう言って石板を元に戻した。
そこには骨壷が一つも無かった
そして礼司は排石を戻して手を合わせた。
「魔美戻って来いよ」
そう言って礼司は墓石に背を向けた
「うん」
魔美の声が聞こえた
「ん?」
礼司が振り返ると魔美が墓石の前に立っていた
「お、お帰り」
「ただいま」
魔美はにっこりと笑っていた。
そして、脇には巨大猫乱丸と
ダルメシアンのナイルが座っていた
「元気だったか」
「うん」
ナイルは脇に座って礼司の手をペロペロと舐めて
乱丸は体を伸ばして礼司のズボンで爪を研いだ
「こら!乱丸」
礼司は乱丸の頭を軽く叩きながら
「鬼が出たぞ」
「うん、知っていたけどこっちへ来れなかった」
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