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リクトによるリンチを受けて以来、新入りは何時間もぼうっとすることがなくなった。
食事は他の子供と同じように食堂で摂り、カイリに言われなくても風呂に入ったり歯を磨いた。
急激に普通に近付いた新入りは、リクトがカイリに関わるのを阻んだ。
話し掛けられれば割って入り、度々取っ組み合いになった。
ここまでリクトにぶつかっていく子供は居なかったから、当然子供の間には困惑が広がる。
渦中のカイリはというと、それとは違った感情を抱いていたのだった。
ある日カイリが新入りの部屋に行くと、床に血まみれのリクトが倒れていた。
新入りはただリクトを見下ろしていて、手には汚れた刀を持っている。
「新入り君!? なにそれ……そんなのどうして持ってるの?」
「あぁ、これ……なんでだ? ……うん、前に貰ったんだわ」
カイリが刀について指摘したら、この要領を得ない回答である。
恐らくいくら追及しても知りたい情報は引き出せないだろう。
「なんで、リクトを……?」
「言っただろ、お前はここに居ちゃいけない」
新入りの言い分と、今の行動を繋げて考えてみる。
既に虫の息のリクトは、首を切られていた。
「お前がここを出るために、俺はやらなきゃいけねぇことがある」
新入りが刀の血を払い、カイリに向き直った。
「それにお前は連れて行けねーんだ」
つまりリクトは、カイリの為に殺されたのだ。
カイリは頭から身体が冷たくなっていくのを感じた。
新入りは満ち足りた表情をしている。
しかし自分のせいで狂ってしまったのだと、カイリにはそう思えてならなかった。
◇◇◇
梓容の呼び出しでオフィスに出向いた数時間後、朱雀は騎良と共に飛行機に乗っていた。
行き先は上海。騎良は梓容との言い争いを放棄し逃亡、朱雀は出張前に青龍のアジトに顔を出すという用事である。
カイリや二人の子供はアジトに住んでいるから、朱雀にとっては久々の家族との再会というわけだ。
「今夜は大盛り上がりだろうなァ~?」
人差し指と中指に親指を挟んだ騎良は、ニタニタと笑って朱雀を冷やかす。
だが朱雀には大盛り上がりを避ける理由があった。
「や、二人目生まれたばっかなんでそういうのは……」
「んっだその理由。ゴム使やいーだろ、なんならやるよほら。お前本当にこれからおっぱいとケツのでけー若妻に数ヵ月ぶりに会う男かよ」
騎良に差し出されたコンドームを、おっぱいとケツのでけー若妻を持つ朱雀は神妙な顔で見つめる。
彼も、豊満な妻に求められるのを断るのは辛い。
辛くとも我慢せねばならないのは、手の中の物が朱雀とカイリには無意味だからだ。
「騎良さん……俺はカイリと生でヤったことないんすよ」
「……は?」
どちらの体質かというと、どちらもというのが正しかった。
青龍の専属医によれば、朱雀の精子はコンドームを食い破るほど強く、カイリもカイリで、子宮が朱雀の精子を排除する作用をしない。
通常、子宮は精子を選抜するらしいのだが、相性が良すぎて朱雀とカイリは百発百中状態だ。
欲望の赴くままにしていたら、あっという間に大家族である。
「どうせ出来んなら生でヤったらいんじゃね!?」
「なんてこと言うんすか」
後に朱雀は日本で、カイリが三つ子を妊娠したとの電話に目を剥くこととなるのであった。
食事は他の子供と同じように食堂で摂り、カイリに言われなくても風呂に入ったり歯を磨いた。
急激に普通に近付いた新入りは、リクトがカイリに関わるのを阻んだ。
話し掛けられれば割って入り、度々取っ組み合いになった。
ここまでリクトにぶつかっていく子供は居なかったから、当然子供の間には困惑が広がる。
渦中のカイリはというと、それとは違った感情を抱いていたのだった。
ある日カイリが新入りの部屋に行くと、床に血まみれのリクトが倒れていた。
新入りはただリクトを見下ろしていて、手には汚れた刀を持っている。
「新入り君!? なにそれ……そんなのどうして持ってるの?」
「あぁ、これ……なんでだ? ……うん、前に貰ったんだわ」
カイリが刀について指摘したら、この要領を得ない回答である。
恐らくいくら追及しても知りたい情報は引き出せないだろう。
「なんで、リクトを……?」
「言っただろ、お前はここに居ちゃいけない」
新入りの言い分と、今の行動を繋げて考えてみる。
既に虫の息のリクトは、首を切られていた。
「お前がここを出るために、俺はやらなきゃいけねぇことがある」
新入りが刀の血を払い、カイリに向き直った。
「それにお前は連れて行けねーんだ」
つまりリクトは、カイリの為に殺されたのだ。
カイリは頭から身体が冷たくなっていくのを感じた。
新入りは満ち足りた表情をしている。
しかし自分のせいで狂ってしまったのだと、カイリにはそう思えてならなかった。
◇◇◇
梓容の呼び出しでオフィスに出向いた数時間後、朱雀は騎良と共に飛行機に乗っていた。
行き先は上海。騎良は梓容との言い争いを放棄し逃亡、朱雀は出張前に青龍のアジトに顔を出すという用事である。
カイリや二人の子供はアジトに住んでいるから、朱雀にとっては久々の家族との再会というわけだ。
「今夜は大盛り上がりだろうなァ~?」
人差し指と中指に親指を挟んだ騎良は、ニタニタと笑って朱雀を冷やかす。
だが朱雀には大盛り上がりを避ける理由があった。
「や、二人目生まれたばっかなんでそういうのは……」
「んっだその理由。ゴム使やいーだろ、なんならやるよほら。お前本当にこれからおっぱいとケツのでけー若妻に数ヵ月ぶりに会う男かよ」
騎良に差し出されたコンドームを、おっぱいとケツのでけー若妻を持つ朱雀は神妙な顔で見つめる。
彼も、豊満な妻に求められるのを断るのは辛い。
辛くとも我慢せねばならないのは、手の中の物が朱雀とカイリには無意味だからだ。
「騎良さん……俺はカイリと生でヤったことないんすよ」
「……は?」
どちらの体質かというと、どちらもというのが正しかった。
青龍の専属医によれば、朱雀の精子はコンドームを食い破るほど強く、カイリもカイリで、子宮が朱雀の精子を排除する作用をしない。
通常、子宮は精子を選抜するらしいのだが、相性が良すぎて朱雀とカイリは百発百中状態だ。
欲望の赴くままにしていたら、あっという間に大家族である。
「どうせ出来んなら生でヤったらいんじゃね!?」
「なんてこと言うんすか」
後に朱雀は日本で、カイリが三つ子を妊娠したとの電話に目を剥くこととなるのであった。
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