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第二部
人と魔の世界の境①
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わたしが立っている場所は乾いてひび割れた土剥き出しの瘴気の大地。その数歩先には下草が生えている生命力のある大地。
そこでくっきり線引きされているかの様に大地の様相が違っている。
「ここが境界」
「そうだ。この境界からこちらは瘴気に満ち、足を踏み入れた只人は徐々に人であることをやめることになり、魔の者になる。果ては魔族か、はたまた知性なき人の形をした魔物か」
魔王の配下の魔族か、あるいはグールのように。
動物は魔物に。
魔王支配領域の終わり際、人の世との境界線。
わたしたちはその一地点に今、立っていた。
植物のあるあちら側が生者の世界。
こちら側が滅びに向かう世界。
この境界は世界の運命の分岐点。
わたしたちはこの分岐点を取り払ってすべて生者の世界にするために動いているんだ。
地下を確認すると魔王支配領域側は相変わらずの黒い瘴気に汚染されている。けれどそれが人の世側になるに連れてグラデーションになり薄くなっていっている。わずかな距離でこうも環境に違いが出るとは驚きだ。
「この辺りは大陸中央部のオーランド王国に隣接している。オーランド王国は徐々に魔王支配領域に国土を奪われている形だ。…ここ200年で境界がまた南下したため元々の国土の半分を失った」
「オーランド王国、確かウィルの学園時代の同期にこの国の王子がいるって聞いたかな」
「大陸中央から南のエルグラン王国までとはまた遠いな。なぜわざわざ?」
「なんでも魔王支配領域に飲み込まれそうな国を救うために、瘴気に対抗する手段を手にするためだったらしいけど…」
「ふん、勇者と聖女以外にあればこちらがとっくに見つけている」
「うん、それ以外わからなかったらしくて今も探しているんだって」
もはや勇者を連れ帰るしか手はない。
いっときそう思い詰めたオーランドの彼は、ウィルに「オーランド王国にいる自分の妹の婿に来い」と政略結婚させてしまおうとしたらしい。しかし次期エルグラン王である彼が婿に行くわけもなく、エルグラン王国の偉いみなさん(現国王のぞく)だってもちろん却下。
しかし彼はなんとしても勇者誘致策を実行に移そうと諦めなかった。
ウィルに眠り薬を盛って木箱に仕舞って秘密裏に国元に送られそうになったらしい。その時は食事に仕込まれた薬の味に気づき事なきを得たそうだけど、「二度目はない」とさすがの人のいいウィルも脅しをかけたためにその策は二度と実行されることはなかったらしい。よく一度目を見逃してあげたものだ。
そこでくっきり線引きされているかの様に大地の様相が違っている。
「ここが境界」
「そうだ。この境界からこちらは瘴気に満ち、足を踏み入れた只人は徐々に人であることをやめることになり、魔の者になる。果ては魔族か、はたまた知性なき人の形をした魔物か」
魔王の配下の魔族か、あるいはグールのように。
動物は魔物に。
魔王支配領域の終わり際、人の世との境界線。
わたしたちはその一地点に今、立っていた。
植物のあるあちら側が生者の世界。
こちら側が滅びに向かう世界。
この境界は世界の運命の分岐点。
わたしたちはこの分岐点を取り払ってすべて生者の世界にするために動いているんだ。
地下を確認すると魔王支配領域側は相変わらずの黒い瘴気に汚染されている。けれどそれが人の世側になるに連れてグラデーションになり薄くなっていっている。わずかな距離でこうも環境に違いが出るとは驚きだ。
「この辺りは大陸中央部のオーランド王国に隣接している。オーランド王国は徐々に魔王支配領域に国土を奪われている形だ。…ここ200年で境界がまた南下したため元々の国土の半分を失った」
「オーランド王国、確かウィルの学園時代の同期にこの国の王子がいるって聞いたかな」
「大陸中央から南のエルグラン王国までとはまた遠いな。なぜわざわざ?」
「なんでも魔王支配領域に飲み込まれそうな国を救うために、瘴気に対抗する手段を手にするためだったらしいけど…」
「ふん、勇者と聖女以外にあればこちらがとっくに見つけている」
「うん、それ以外わからなかったらしくて今も探しているんだって」
もはや勇者を連れ帰るしか手はない。
いっときそう思い詰めたオーランドの彼は、ウィルに「オーランド王国にいる自分の妹の婿に来い」と政略結婚させてしまおうとしたらしい。しかし次期エルグラン王である彼が婿に行くわけもなく、エルグラン王国の偉いみなさん(現国王のぞく)だってもちろん却下。
しかし彼はなんとしても勇者誘致策を実行に移そうと諦めなかった。
ウィルに眠り薬を盛って木箱に仕舞って秘密裏に国元に送られそうになったらしい。その時は食事に仕込まれた薬の味に気づき事なきを得たそうだけど、「二度目はない」とさすがの人のいいウィルも脅しをかけたためにその策は二度と実行されることはなかったらしい。よく一度目を見逃してあげたものだ。
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