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第二部

魔王城を内見①

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魔王城は山の頂にありその形状に合わせて縦長の敷地をしている。
夢の国のお城のモデルになったといわれるドイツのあのお城に似ていて、いくつも塔が建ち北を向くとカタカナの"ク"のような形になっている居館にくっついている。
前に来たときは霧が出ていて天空の城っぽくてとても雰囲気があった。ただ全体的に黒い。とても怪しい。


「ここは最上階の5階で謁見の間にお前のいた部屋と俺の私室、食堂などがあり生活はこの階だけで事足りる」
「あなたの部屋もあるんだ。…睡眠はとるの?」
「いらないな」
「お風呂は?」
「必要ない」
「服は洗濯は?」
「服は洗濯している」
「あ、服は魔法じゃないんだ」
「魔法でも作れるが」
「作れるのか。魔法ってなんだろうな… ならその方が楽なんじゃないの?」
「よけいな魔力を使うのでこの体の維持に優先して回している」
「なるほど、省エネだね」


省エネといえばこの階、とてもいい風が吹いている。扇風機もないこの世界、暑い日は気持ちがいいだろう。
今日は微風のようだから心地よいのだけど前に来た時から聞きたかったことがある。


「ねえ、壁に空いたこの大穴は何?」


居館で一番長い廊下の石造りの分厚い壁に直径二メートルほどのでっかい穴が空いている。そこから外の風がバンバン入ってくるのだ。
前に来た時は強風が外を吹き荒れていて、この穴の前を通る時は魔導士がここから外に吸い出されそうになっていた。
雨降ったら廊下水浸しになりそう。


「馬鹿が『1階から5階まで階段を登っていく手間が嫌だ』と言ってぶち抜いて出入り口にしやがったんだ」


どこの馬鹿だ。
そしてこんなことして建物の強度大丈夫なのか。


「確かに階段は多いわ居館の端と端が繋がっていないわで不便ではあるがな」
「なんでそんな不便な城にしたの?」
「俺の趣味で作ったのではなく元からあった城を使っているだけだ」


居抜き店舗ならぬ居抜き城だったのか。


「じゃああえて黒い城を作ったんじゃないのか」
「元々は白かったぞ」
「え?」
「一度目の目覚めの時には城全体が黒く染まっていた。邪神の瘴気の影響なのだろう」


どういう仕組みだ。
城が瘴気ためこんじゃったの?
この城の建築材は何を使っているのだろう。


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